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44完 俺の読みどおりに完全勝利

「私なんかの命と引き換えに降伏するわけないでしょっ バッカじゃないのっ」

 アイリが呆れている。


「さあて、貴様はどうかな。簡単にアイリを見捨てられるのか」

 バッカスは俺を見据える。


「参ったね……バッカスなんかに俺の気持ちを見抜かれるとはな。確かに俺はアイリを見捨てることなんかできない。アイリは俺の命より大事だから」

 俺は頭を掻く。


「だろ。貴様はとんだ甘ちゃんだ。メス一匹の方が自分より大事とはどうかしてるぜ、クク」

 バッカスは得意げに笑う。


「陛下……優しいっ」

 アイリはじーんと感動している。


「ふん、貴様を始末してオレ様が王になってやるよ。で、代わりに帝国に頭下げて降伏してやる。王国存続のために働くなんて、オレ様、マジで偉いな」


「おい、俺を殺した後はちゃんとアイリを解放しろよ」


「もちろん、約束は守ってやるよ。やれ、殺せ」

 バッカスが魔法剣士2人に命じる。


 俺が殺された後でバッカスがアイリを解放するるはずない。バッカスにとってアイリは憧れの女性。嫌がるアイリを押し倒して、レイプするに決まっている。


 魔法剣士2人の剣が光を帯びていき、バチバチと電流が走る。雷系魔法を剣に掛けたようだ。

 斬られたら剣の威力に加えて魔法のダメージも受けて、死ぬ。


「しっかし、バカ過ぎじゃないかバッカス。俺の命より大事なアイリを無防備にさせておくと思うか」

 俺は目でアイリに合図した。

 アイリが軽く頷く。


「はあぁ、何をわけわからんことを」

 バッカスがきょとんとする


麻痺(パラライズ)ッ」

 アイリが右手の平でバッカスに触れて叫ぶ。


 バッカスの全身に電流が走り、痙攣した。


「ぐはあああぁぁ」

 麻痺が全身に及んでバッカスは崩れ落ちる。地面に倒れ伏した。


「おのれっ」

 とっさに魔法剣士2人が俺に斬りかかってくる。


 ざんっ――

 ざしゅっ――


 俺は【剣聖】の能力発動。腰に下げたロングソードを抜き放ち、一瞬で2人を斬り捨てた。


 ロングソードを鞘に収める。

 俺とアイリは、地面に仰向けでピクピク泡を吹いて悶絶しているバッカスを見下ろした。


「お見事ですっ 全て、陛下の読みどおりでしたねっ」

 アイリがはしゃいでいる。


 俺は、バッカスのような賊が王妃アイリを人質に取る事態を想定していた。


 アイリと何回目かに閨をともにした際、【麻痺】を獲得した。アイリが得意な補助系魔法の一種だ。


 【麻痺】は護身用にアイリに授与しておいた。だからいざとなればアイリは【麻痺】を食らわせて逃げられる。


 リープなんて魔法がある世界だと、突然奇襲を受けてしまう。用心するのは当たり前だ。


「アイリは大丈夫か。どっかナイフで切られてない?」


「大丈夫ですっ でもバッカスなんかに触られてしまいました。申し訳ございませんっ 私の体は陛下のものなのにっ 馬鹿バッカスめっ」

 アイリは忌々しげにバッカスの顔を踏みつけた。


「気にするな。アイリが無事で良かった」

 

 相手に【麻痺】をかけた瞬間に、ナイフでアイリが傷つく恐れがあった。できれば平和的に解決したくて人質解放交渉してみたが、バッカス相手では無駄だった。


「どうしますか、このバカ?」

 アイリが俺に聞いてくる。


「バッカスはノルデン王国の男を呪いで死滅させた首謀者だ。あっさりと処刑するわけにはいかないな」


「おっしゃるとおりです。夫、恋人、父、息子を殺された女性たちの悲しみ、恨みは想像を絶しますっ」


「みんなが少しでも復讐できるようにしよう。バッカスを牢に繋いで、希望者はバッカスを鞭打ったりできるようにする。バッカスが死にかけたら回復魔法をかけてやるんだ」


「いいですねっ 生かさず殺さず、痛みを与え続けられるようにしましょうっ 鞭打つ人で毎日、行列ができそうですっ」


「バッカスがリープで逃げられないように、牢屋は魔法石で魔法障壁が張られた所にしておこう」

 俺は、バッカスを監禁して、罰を与え続ける方法を考えて楽しくなる。


 聞いた話では、この世界にはリープが使える魔法使いを拘束する特殊な牢屋があるという。


 バッカスを救出しようという物好きは現れないだろう。

 もう一人の首謀者マルーにとって、バッカスはもはや用済みのはずだ。


 マルーにとってバッカスは呪いを発動させる魔法石と魔導書を調達してくる使いっ走りに過ぎない。

 闇堕ちして、邪悪に染まったマルーは、バッカスを助けてやろうと思うまい。


 バッカスは目で何かを訴えている。麻痺状態で動けないが意識はある。

 「止めてくれ、許してくれ」と懇願しているのだろう。

 

「さあ、陛下、キスを」

 アイリが身を寄せてくる。


 キスをバッカスに邪魔されたんだった。


「愛してるよ、アイリ」

「私もです」


 俺たちはキスをした。

 バッカスに見せつけるように何度も唇を重ねて、舌も入れた。

 

 唇を離した時、唾液が糸を引いたのがエロかった。


 アイリがバッカスにドヤ顔を向ける。

「私は王様のものなのっ わかった?」


 俺もバッカスを見る。

 バッカスは、がくっと力尽き、うなだれた。目からは涙が流れていた。


 最後の悪あがきも失敗し、アイリは身も心も俺のものと思い知らされた。そして、これから半永久的に拷問のような苦痛を受けるとわかって絶望したのだ。


 俺は歩兵隊員にバッカスを牢屋に連れて行くよう指示する。


「終わったな。全ての戦いが」

 俺は海に視線を戻し、感慨に浸る。


 転生して2ヶ月ほど。【睡眠不足解消】を使って、寝る間もなく働いた。

 やり甲斐搾取ばかりで、虚しさしかなかった前世と違って、今の俺は達成感で満たされている。


「王国を守り抜くことができました。全部、先生のおかげですっ ありがとうございますっ ぐすっ」

 アイリは感動で打ち震えている。

 俺を先生と呼ぶ時は、アイリの心の底からそう思っている時だ。


「俺だけじゃない。アイリもよく頑張った」


 アイリが首を振る。

「いいえ、先生の【能力授与】と、敵の動きを読み切る戦略眼のなせる技ですっ 先生は女性を成長させて、ベストパフォーマンスを発揮できるようにする最高の指導者ですよっ」


「褒めてもらえると、教育者の端くれとして光栄だな」

 まあ俺は前世で、アイリを育てた立派な実績がある。謙遜しているが、本当は端くれなんかじゃなく名教師なのだ。


「みんな、先生に感謝しまくりで、先生のことが大好きになってますよ」


「ふふ、でもな……俺はアイリだけの先生でいたいんだ。もう少し落ちついたら新婚旅行に行こう」


「えっ――」

 アイリが俺の提案に息を呑んでいる。


「海を見てたら、海の向こうに行ってみたくなる。どっか一緒に行かないか」


「もちろん行きたいですっ 先生と新婚旅行だなんて夢みたい」

 アイリは結婚に憧れがあった。新婚旅行にも人一倍憧れがあるはずだ。


「よし。だったら、さっさと残務を片付けよう」


「戦勝パレードに、食糧の輸入、鉱山の復興、新しいメイドさんの採用。やることはたくさんありますね」


「む……なかなか暇にならないな」

 大小さまざまな仕事が山積みだ。つくづく王様は大変だよ。


「帰りましょう、王宮に。今晩は、私だけをいっぱいいっぱい可愛がって下さいねっ」


 アイリはとってもご機嫌。

 俺とアイリは手を繋いで帰った。


 ◆◇◆


 俺たちは転生して初めて何の憂いもなく、二人だけの熱い熱い夜を過ごすことができる。


 アイリと裸でベッドに並んで腰掛けている。


「先生、私……避妊の薬草は飲んでいません」

「え……」

「戦いが終わったから、いいですよね。私、先生の子を授かりたい」

 アイリが赤い顔を向ける。


「……」


「先生、大好き♡」

 アイリは俺に有無を言わせない。

 抱きついて、唇を重ねて来た。

 

 最高の教え子が愛しくてならない。

 俺も夢中になって、何度も何度もキスを交わした。

これで第1巻完結です。お読みいただきありがとうございました。


続きを10万字ほど書き溜めてありますが、推敲が足りない気がしておりますので、今後は週1くらいのペースで投稿させていただきます(社畜が毎日投稿はしんどいものがありました)。


ブクマ、ご評価いただきますと、今後の投稿に向けて気合が補充されます。

下部の星マークでご評価出来ますので!


☆☆☆☆☆→★★★★★


こうして頂くと泣いて喜びます! なにとぞよろしくお願いいたします。

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