4 ビキニアーマー無双
◆◇◆
俺はレオーナ、アイリと一緒に王宮の廊下を走る。
「野盗どもは、我が国に女しかいないと聞きつけて来たんでしょう」
「国境は氷で閉ざされてるんじゃないの?」
「山の雪を掻き分けたんです。女を犯すためなら何でもやる野獣どもですから」
「どうやってやっつける?」
「ご心配なく。私一人で始末してご覧にいれましょう」
レオーナは力強く応えた。
王宮の玄関先には馬が二頭引かれていた。
「俺は馬に乗れないよ」
「私が乗れますっ 陛下は私にしがみついていて下さいっ」
アイリが馬に飛び乗る。
「う、うん」
俺は馬に跨って、アイリの腰に両手を回して握った。
アイリって細い。胸はおっきいのに。
めっちゃやわらかい。俺は初めて密着する女性の体にドキドキする。
「行きます」
アイリが手綱を振る。
馬が駆け出した。
大通りを進んで行く。
レオーナは先を走っている。
俺が野盗のいる所に行く必要はないんだが、レオーナの武勇を見てみたい。
馬が雪の積もった道を走る。
アイリの上に顔を出した俺。少し吹雪いていて、冷たい風が当たる。
市街地の外れに来た。
「きゃああああああああ」
女性の悲鳴が響く。
行く手にボロボロの服を着たオッサンの集団が見える。野盗だ。
野盗の一人が女の腕を引っ張っている。
「男がいねえなんて最高。女を犯し放題だぜ」
「へへ、国中の女を、俺たちで孕ませてやろうぜ」
汚い髭面の男たちが下卑たことを大声で言っている。
野盗の数は50人くらい。
レオーナが右手で背中の大剣を抜いて、振りかぶる。
「たあああああ――――」
馬で駆け抜けざまに気合一閃。
女の腕を引っ張っている野盗が、脳天から真っ二つにされた。
レオーナは野盗の群れに馬で突っ込んでいく。
「なんだ!?」
「うおっ」
馬で2人の野盗を撥ね飛ばした。
レオーナは馬から飛び降りて、大剣を構える。
「なんだ、このエロい服着たお姉ちゃんはよ」
「わざわざ自分から犯されに来やがった」
野盗たちは仲間を撥ね飛ばされても、さして動揺していない。
むしろ自分の取り分が増えたと思ってそう。
「へっへっへ」
野盗たちが舌なめずりして、レオーナを取り囲む。
ナイフや剣をレオーナに向けた。
俺とアイリはちょっと離れたところで馬に乗っている。
レオーナが心配になるが、俺たちには見守ることしかできない。
レオーナには怯んだ気配なし。
「悪党ども、死ぬ前の祈りを今すぐ済ませるんだな」
「ああん」
「何わけわからんことをほざいてるんだ」
「この女は俺が最初にいただくぜ」
「ひゃっはー」
一斉にレオーナに襲い掛かる。
「ふふ」
微笑しながらレオーナが大剣を横に一閃。
野盗たちは体を上下に真っ二つにされた。
「つよ!」
俺はレオーナの無双に目を見張った。
「さすがは王国最強の戦士ですっ」
アイリも驚嘆。
「我が国を汚すことは許さん。てやあっ」
レオーナは残りの野盗に殺到。
次々と斬り倒していく。
あっという間に大通りにいた野盗たちを殲滅してしまった。
俺の背後に、槍や剣を持った女性たちが次々とやって来る。全員がビキニアーマー姿。
「歩兵隊のみなさんですっ」
アイリが嬉しそうに話す。
ビキニアーマーが歩兵隊の制服のようだ。
「寒くないんだな……」
「鍛え抜かれた精鋭ですからっ」
レオーナが歩兵隊に指示を出す。
「付近の民家に野盗どもが潜伏しているかもしれん。一軒ずつ捜索するのだ」
「「「はい」」」
歩兵隊員が元気に応えて、近くの家に走って行った。
俺は野盗が襲来してヤバいんじゃないかと気を揉んだ。
だがレオーナはじめ歩兵隊のおかげで一人の女性も汚されることなく、駆除してしまった。
強くて、規律正しい女性たちに守られているとわかって、安心である。
彼女たちと俺が閨をともにしたら……
ただでさえ強いレオーナたちに【能力授与】ができて、みんなが一騎当千に強くなる?
まさか300人と……?
ちらっとだが、俺は不純な想像をしてしまった。
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