29 没落した悪役令嬢2
◆◇◆
何時間も経ったような感覚がした後で、催淫がようやく解けてきた。
俺はマルーを散々に弄んでしまった。
最高の妻アイリがいるのに……
自己嫌悪に陥って、虚ろな目で三角座りをしている。
マルーは右隣りで仰向けに寝そべって、顔を赤くしている。
「陛下、素敵でした♡ 私、陛下のことが大好きになってしまいました♡ 本当に側室にしてくださいね♡」
微笑を浮かべながら話す。
一言ごとにハートマークがついて聞こえる。
やば……三角関係。
「申し訳ないけど、俺に側室はなしだから」
きっちり釘を刺しておかねばならん。
「王国全ての女性が妻なんですね♡ さすがです♡」
「違うって……」
俺は否定したものの、アイリやキキィは妊娠可能な全ての女性と閨をともにさせようと企んでいる節がある。
「新しい能力【アルティマ】を獲得しました。閨の相手または自分に授与してください。考慮時間は3分です。時間を過ぎた場合は自分に授与されます」
女性の声が聞こえた。
最強クラスの魔法っぽいけど、俺にはよくわからない。
「マルー、【アルティマ】ってどんな能力かわかるかな」
「ええっ⁉︎ 万能属性の単体攻撃魔法だと思います」
マルーが跳ね起きる。
「おお。マルーは持ってないよね」
「もちろん持ってませんよ!」
マルーは興奮している。
俺はマルーに鎌をかけてみた。正体は超ド級魔法使いで、アルティマくらいもう持ってるみたいにうっかり本音を漏らして欲しかったが、洩らさなかった。
「アルティマはどんな効果があるの?」
「万能属性ですから、特定の属性に魔法耐性のある者でも防ぐことはできません。しかも魔法防御力を上げる補助魔法を無効化してダメージを与えます。くらったら即死じゃないでしょうか」
「防御不能の魔法ってことだ……強いな」
俺はマルーに授与していいのか躊躇ってしまう。
もしもマルーが裏切り者だったら、俺の背後からアルティマをズドンだ。
「ねえ陛下ぁ♡ 私に授与して下さるんですよねぇ」
マルーがおねだりしてくる。
「う、うん……」
「私、アルティマで帝国軍をいっぱい討ち取って、父や兄の仇を取ります。そして陛下のお子を産んで、サザン家を存続させるんです」
熱く語るマルー。
帝国軍を討つと言うマルーに授与しないとは言えない。
子を産んでもらうことについてはスルー。
「マルーに授与」
俺は唱える。
マルーが輝く。
「アルティマを獲得できました。うれしい♡」
マルーが抱き着いてくる。
「無理しないでね」
俺が能力を授与したばっかりに、マルーが敵将を討ち取るため、単身で突撃とか無謀なことをしないか心配になる。
マルーはドレスを着直す。
「私は側室ってことで、いつでもお召しになって下さいね♡」
上機嫌で寝室から出て行った。マルーは俺の話を聞いてない。
入れ違いにアイリが入って来る。
アイリはベッドまで小走り。
「先生ええぇ」
泣きそうな声を漏らしながら、いきなり俺に唇を押し付けた。
ちゅっ ちゅっ んちゅ ちゅ
俺達は何度も口づけをかわした。
「ああもう、マルーちゃんと先生が閨をともにしたなんて、気が狂いそうですっ」
アイリが顔を離して叫ぶ。
「だったらマルーを寄こすなよ」
「しょうがないじゃないですかっ きっとマルーちゃんの方が、私より何もかも素敵なんですっ」
かつてなく嫉妬で頭がおかしくなっている感じ。
「違うって」
「先生のマルーちゃんとの記憶を消したいっ 記憶を消す能力を授与してくださいっ」
「ああ。俺も消したい。アイリ以外の全女性の記憶を」
本当に俺はアイリと純愛に生きたいんだよ。
「私を可愛がってくださいっ 記憶を消す能力を獲得しましょう。戦いの役には立ちませんが、私には必要ですっ」
「望むところだ」
俺たちはキスをたくさん交わして互いの愛を確認する。
◆◇◆
アイリと深く愛し合った。
「新しい能力【全員魔力向上】を獲得しました。閨の相手または自分に授与してください。考慮時間は3分です。時間を過ぎた場合は自分に授与されます」
女性の声が聞こえた。
「すまんアイリ、記憶を消す能力ではなかった……」
俺は申し訳なさそうに告げる。
「いいじゃないですかっ 魔法使い隊のみんなの魔力を一時的に向上させる補助系能力法ですよっ」
「俺がもらっとく。アイリの能力を増やせなくて悪いが」
俺は魔法使い隊と一緒に崖の上で全体の指揮を取る。
【全員魔力向上】を使うのは俺の役目だ。
俺の体が輝く。
「【全員魔力向上】を獲得しました」
女の声が聞こえた。
また一つ成長した気分。
「素敵っ♡」
アイリが抱きついてきた。アイリからもらった能力だけど、アイリも俺の成長を喜んでくれている。
「ちゅっ 先生ぇ大好き♡」
「俺も」
アイリは、マルーのことをもう気にせず、機嫌を直してくれたみたい。
エッチシーンは規制で書けなくて、がっかりされてそうで申し訳ございません。
ブクマ、ご評価をつけて応援いただき、万が一に書籍化したりしたら書き足したいなと思います。
なにとぞよろしくお願いいたします。




