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26 田舎娘と閨をともにする2

「オラはもうすぐ売られていくことになってただ。お姉ちゃんたちから、男の人にどう接すればいいか教わってた」

 ゾフィーが俺に抱きついてくる。ゾフィーは餅肌でヒンヤリとした。


 まずは男に肌をくっつけてラブラブな気分になれ、と教わっているのだろうか。

 生きていくために、不純な知識を授けられるなんて、可哀そうに……


「お姉さんたちはつらいお仕事を我慢してるんだ。君が真似をすることはないよ」


「ふぇ? お姉ちゃんたちは喜んでるべ」

「んなわけないでしょ」


「お姉ちゃんは毎日美味しいご飯が食べられる。うちじゃあ、水みたいな粥しか食べられないのに」


 ああ……

 毎日男たちに汚されるのが、家にいるよりずっとマシだと言うなんて。

 つくづくゾフィーらの境遇に同情する。


「でも国の男がみんな死んで、お姉ちゃんたちは家に帰って来た。仕事がなくなって途方にくれてる。このままだとみんな飢え死にだ」


 そうだった。女を買いに来る男が全滅してるんだ。

 娼館は廃業。いいことだが、女の子の雇用を確保せねば……

 俺は傍にゾフィーがいるのに新たな内政問題に考えを馳せてしまう。


「今度はオラがお姉ちゃんたちに恩返しする番だ」


 ゾフィーがカバーの中に潜り込んで行く。


「え、え、何するの」


「王様を頑張ってお慰めする」

 ゾフィーが俺の股間を触ろうとする。


「だめっ」

 とっさに払いのけた。

 ゾフィーがまるで娼婦のように働こうとしている感じがして切なくなる。


「オラに任せてけろ」

 ベッドカバーの下でゾフィーと俺の手が取っ組み合いをする。


 ギイイ

 扉が開く。


 アイリが顔を出した。

「予想どおりですね。陛下はゾフィーの身の上を聞いてしまって同情していらっしゃる。ゾフィーの方は嫌がるどころか、やる気まんまんだと言うのに」


「おかしいよっ こんないい子たちが身売りさせられるなんて」

 俺はゾフィーの両腕を握って押さえ込んでいる。


「陛下は手を出そうとしなくて、ご立派です。男だったら、売られて来た女の子に同情するふりをしながら、内心では見下して欲情するものだと思いますが」

 アイリは感心している。


「止めて止めて。お願い、外に出て」

 俺は体を舐め回してくるゾフィーに叫ぶ。


「陛下は女の子を金で買うゲスじゃありませんからね」


「アイリ、お金をゾフィーに渡して帰ってもらってよ」


「我が国に無駄にばら撒くお金はありませんっ」

 びしいっと言い返される。


「うう……」


「ゾフィーに、きっちり能力を授けてください。魔法使いのお給金で一家が食いつなげるんですっ 陛下のなさることは国を守ることであり、人助けですっ 催淫っ」

 アイリが俺を指差して唱える。


 ドキンと激しく鼓動がして、かあああっと体が熱くなる。


 アイリがブツブツ言いながら離れていく。

「貧しい子がいる世界に、陛下を転生させたことは誠に申し訳なく思います。身売りする女の子をなくすのは将来的な課題として取り組みましょう」


 アイリが出て行って、扉が閉まる。


 俺の体が勝手に動く。

 ゾフィーの腕を掴んでいた手を離す。


 自由になったゾフィーがカバーの下で蠢いている。


「えへへ、オラ、初めてだけど頑張ってご奉仕する」


 ◆◇◆


 俺は放心状態でベッドに倒れていた。健気なゾフィーに、俺はなんてことを……


「新たな能力【創造(クリエイト)ゴーレム】をを獲得しました。閨の相手または自分に授与してください。考慮時間は3分です。時間を過ぎた場合は自分に授与されます」

 女の声が俺の頭の中に響く。


「なにいいいいぃ」

 俺は超びっくりして跳ね起きる。


 右隣でハアハアしているゾフィーを見下ろした。


「この子が……この子が……」

 国を救うんじゃ……


 先日、ゴーレムを作れる魔法使いの養成が必要とわかった。


 ガレー船の漕ぎ手、鉱山労働にゴーレムを使う。

 国の防衛と経済の基盤となるのだ。


 ゴーレムを創れる能力は我が国に奇跡を起こすはず……



 だがもしゾフィーが裏切り者だったら、どうする。

 一瞬、冷静になる。 

 

 いや……


 この純朴なゾフィーが裏切り者ということはあるまい。


 俺はゾフィーに【創造ゴーレム】を授与した。

 ゾフィーは声が聞こえたみたいで、身を起こす。


「あ、ありがとうございます。オラに能力を授けてくれて。ゴーレムって何だかわかんないけど」


「君は土系統の魔法が得意なのか」


「?? オラ、土にまみれて、農作業してたからかな」

 ゾフィーが笑顔を見せてくれる。


 この少女は国の希望だ。

 俺はゾフィーを抱きしめた。


「俺は、君の家族が幸せに暮らせる国を作ると約束する。だから力を貸してくれ」

「? オラたちがまた身売りできるようにしてくれるのか」


 ゾフィーは身売りされて行った方が幸せだと思い込んでいる。

 無知で素直な子が、哀れで愛おしい。

 絶対に大事にすると決めた。

お読みいただき、ありがとうございます。


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