23 ルナと閨をともにする2
俺はルナの話を聞いて、過去に起きた事件を頭の中で映画のようにイメージした。
◆◇◆
深夜。
帝国軍の歩兵が村に突然襲撃して来た。
「奪い尽くせ。若い女は殺すな。男は殺して構わんぞ」
隊長の男が大声で指示を出す。
寝ていた村人は跳ね起きて家から飛び出す。村は柵で囲まれている。どこかの出口から逃げようと殺到した。だが全ての出口が帝国軍によって塞がれていた。
「国境警備隊に知らせるんじゃ。火矢を射ろ。ぐはっ」
村の長老が叫んでいるうちに、胸に矢が突き刺さった。
若い男が弓を引き絞り、火矢を真上に射る。国境警備隊の見張りが気づいてくれれば救援が来る。
だが到着にはかなり時間がかかるし、警備隊が帝国軍を追い払えるかはわからない。
「きゃああああ」
「やめてー」
10代の女のたちが次々と捕らえられる。
「ひっひっひ、上玉ばっかりじゃねえか。ノルデンの女はさすがだな」
帝国軍の兵士たちは女の腕を掴んでニヤニヤしている。
「ああ、オレたちがたっぶりと犯してから、奴隷に売り飛ばしてやる。こりゃ高く売れるぜ」
「やめてくれい、ワシの可愛い孫を離してくれ」
村の老人が兵士にすがりつく。
「ジジイに用はねえ。はよ死ね」
兵士が老人を蹴り飛ばし、剣を突き刺した。
村中の家に火をつけられて、女を守ろうとする男たちは殺されていく。
地獄絵図が繰り広げられた。
ルナはボロボロの服を来て、台所の竈門の中でうずくまっていた。
父親が斬られた時の痛みにうめく声、母や姉が連れて行かれる時の悲鳴を聞いた。
兵士が台所を捜索している。麦の入った袋を見つけて運び出す。ルナは「竈門の中は調べないで」と願って震えていた。
「竈門の中に隠れてやがるぞ」
見つかった――
ビクッと心臓が跳ねる。
竈門の中に手が伸びてくる。ルナは足をつかまれて引きずり出された。
「なんだ、ガキか」
ガッカリする兵士。
「こいつも女だ。やっちまおうぜ」
「マジか。へへっ いっぺんガキを犯ってみるのもいいか」
醜く顔を歪ませた兵士がルナを引きずっていく。
村の広場に連れて行かれた。
広場では、大勢の女たちが兵士に地面に押し倒されていた。
中央に篝火が焚かれており、裸にされた女たちを照らしている。
ルナの姉や、よく遊んでくれる近所のお姉さんたちまで。みんな犯されて泣いている。
「へっへっへ」
兵士がよだれを垂らしながら、ルナを押し倒す。
「おじさんに任せとけ。痛いのは最初だけだ。すぐに気持ち良くなるからよぉ。でもガキだと痛いままかもな、へへっ」
覆い被さって、両手で服を引き裂く。
その時――
ルナの中で何かが破裂した。
自分の体が輝き出し、光が周囲に広がっていった。
◆◇◆
「いったいこりゃ何が起きたんだ」
村に駆けつけた国境警備隊は、広場で顔を見合わせた。
村の女たちが裸で抱き合って震えている。帝国軍の姿は一人もいない。
黒焦げになった肉片が散らばっている。
「これは……魔法……」
灰色のローブを着た男が呟く。
「あ、あの子が突然光って」
女性がルナを指さす。
広場の端っこで、無表情なルナがうずくまっていた。
生き残った村の人間の話では、ルナを中心に放射状に光が広がったという。
「まさかこの子が解放させた魔力によって、帝国軍の男全員が炎上して、弾け飛んだってのかよ」
もう一人のローブを着た男がルナの方を見て言う。
「村の人間には危害を加えていない。無意識に敵だけを滅ぼして、村の人は無事なように制御するなんて」
「信じられない……」
国境警備隊の魔法使いの男は驚愕した。ありえない魔力の使い方だ。国中の魔法使いにこんな芸当ができる者はいない。
「この子はとんでもない魔法使いになるのかもしれない」
「ああ。上に報告しなきゃな」
帝国軍を殲滅した一件で、ルナは特例で幼年魔法学校に入学することになった。
その後、百年に一人と言われるほど圧倒的な才能を示す。幼年学校、士官学校を飛び級で卒業。14才で王国魔法使い隊のエースになっていたという。
◆◇◆
「ルナが村の人たちを守ったんだな。5才なのに。さすが天才だよ」
俺はルナの話に驚くばかりだった。
「守れてはいない。父や兄、ほとんどの村の男が殺された。女はみんな犯されてしまっていたし」
「くそ。帝国軍め」
鬼畜の所業に吐き気がしてくる。獣としか言いようのない奴らが、今また大挙して攻め寄せようとしている。
「私はあの夜を忘れない。二度と姉たちを犯させはしないし、父や兄を殺されたことは悲しくてしかたない」
ルナが初めて自分の願いを明らかにしてくれている。人間として、普通の感情だ。クール系のルナは外見は物静かだけど、内には正義の気持ちを秘めている。
「お、おう、絶対に守ろう」
俺にはルナが能力を授与してもらいたいという理由がわかった。
ルナもみんなを守るため、自分がもっと強くなりたいのだ。ルナの純粋な思いに打たれて、俺も胸が熱くなる。
アイリ以外の女の子と閨をともにするのは不本意だけど、なんとか自分をその気にさせないと。
女性の方が体を許してくれるって言ってても、俺はシメシメみたいな気分にならない。
色んなことを考えてしまって、欲望に素直になれないんだよね。
「ええと、ルナには付き合っていた男の人はいなかったんだよね」
俺は多分いなかっただろうと思いつつ、念のため確認する。
「いなかった。なぜ、そんなことを」
キョトンとするルナ。
「恋人がいたら寝とったみたいになるからな。俺は申し訳なくなる」
「よくわからない」
「気にしないでくれ」
きっとルナは男を好きになったことがない。そしてルナは性的なことに関心がなさそうだ。男女が閨で何をするかは知識として持っているくらいなんだろう。
寝とっちゃわなくても、不倫の罪悪感は残る。やっぱりルナと体を重ねることは気が進みはしない。
いつもはアイリに催淫をかけてもらって、理性を消して無理やりやっているけど……
催淫を使ったら、俺は獣になってしまう。ルナを組み伏せて、荒々しく犯すことになる。
ルナがトラウマになっている村のレイプシーンを呼び覚ましてしまうかもしれない。
催淫は使っちゃいけない。
俺にルナに精一杯優しくしないと。
「最初にキスしよ」
俺はルナに唇を寄せた。
ルナは嫌がらなかった。俺たちは軽く唇を触れ合わせる。
俺はルナとちょっとは心が通っているように感じて気が楽になった。
優しく、優しく……
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