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22 ルナと閨をともにする1

 ◆◇◆


 魔法使いの子たち50人と俺は閨をともにしないといけない。

 最初は、魔法使い隊長ルナだ。


 俺がバスローブ姿で寝そべっているベッドに、ルナが灰色のローブと下着を脱いで入ってきた。


 初めて見るローブを脱いだルナ……

 綾〇レイのようなショートカットを想像していたが、背中まで伸びた長い銀髪である。

 女性は髪が見えると可愛さが引き立つ。

 

 隣で三角座りをする。

 横目でルナの裸を見ていた。ルナは起伏のない体形をしている。背も低いから、子供にしか見えないんだけど……


 アイリの話では、ルナは俺たちと同じ18才。女の子じゃなくて、大人の女性として接するようにと言われた。

 しかし、ルナはロリっぽいからものすごく抵抗感がある。俺は緊張しまくり。

 

 ルナは普段と変わらず落ち着いているけどさ……


 俺は緊張をほぐすためにもルナと会話することにした。

「ルナは魔法に詳しいよね。俺は聞きたいことがあるんだ」

「なに?」


「実は……ノルデン王国の男を全員死なせた呪術を俺に使われないか心配なんだ。使われる恐れは本当にないのかな」

 ぶっちゃけ俺はこの世界に転生してから気が気でない。


 俺は男だから、呪術を使われたら死ぬ。

 でもってノルデン王国に男は完全にゼロ。滅亡だ。


「心配はない」

 ルナは答えはいつも簡潔。


「どうしてそう言い切れるんだい」

「呪術はおおよそのところ見当がついている」


「え、そうなんだ。さすがだね。どんななの」


「ノルデン王国の周囲の地上、海上に五芒星の形で魔法石を配置する」

「ふんふん」


「魔法石は家くらいの大きさ。海上では大きな船に積む」

「なるほど。魔法陣を描いたんだ」


「さらに魔法使いが古代の禁呪を唱える。五芒星の中の男はみな死ぬ呪い」

「ひいい。ルナは使えるの? その禁呪」


「呪文はわからない。でも私が読んだ古代魔法の書物からすると、その禁呪の存在が推定できる」

「じゅあ、敵の魔法使いは禁呪が書かれた書物を持っているんだね。やっぱりまた使われるんじゃないの」


「巨大な魔法石を5つも消費する。魔法使い自身にも何かしらの呪いがかかる可能性がある。何度も使える呪術ではない」


「使うのがめっちゃ大変な呪術なんだね。だったら俺一人を抹殺するためだけなんかに使うはずないか」

 ようやく俺は胸を撫でおろすことができそう。

 男を死滅させた上でノルデン王国に侵攻しようと、ものすごく大がかりな陰謀が巡らされていたわけだ。


「俺には不思議に思えるのは、五芒星の形にどうやって魔法石を配置したんだろうね。ぴったりの位置に置く必要があるんじゃないの?」

 この世界で測量技術が発達しているようには思えない。GPSで位置を測定なんてことはできないはずなのだ。


「呪術を起動するためには、五芒星の中心に強力な魔力の持ち主がいないといけない。中心に魔法使いがいたはず。魔法使いが魔力を飛ばして、距離と方角を測定した」


「え……てことは。ノルデン王国の中に裏切り者がいたってこと?」

「敵の魔法使いがリープして来て、またリープで脱出したかもしれないけど」


「まだ国内に潜んでいる可能性はあるの?」

「ある。魔法使いは女。女じゃないと、男を死滅させる呪いに自らかかってしまう」


「そりゃそうだよな。じゃあノルデン王国の女性の中に紛れているかもしれないわけだ」

「いると考える方が自然。徹底的にノルデン王国を滅ぼすために」


「む……帝国軍が攻めてきた時に、国内を滅茶苦茶にするつもりなんだな」

 国内外で呼応して攻撃しようとしてくるだろう。


 国境で帝国軍を防ぐだけでも大変なのに、背後を突かれるとヤバすぎる。

 でも男を全員殺すなんてことをやってのけた極悪人なら、俺達が困ることをやってくると見るべきだ。


「魔法使い隊の中に、裏切り者がいるかもしれない」

 ルナが呟く。


「――そんな近くに!?」

 俺は魔法使い隊と一緒にノルデン隘路の崖の上にいて全体の指揮を執る。俺と数メルトルしか離れてないところに、裏切り者が立っていることになる。

 

「裏切り者は帝国軍を勝たせるために、魔法使い隊を壊滅させ、次に歩兵隊を壊滅させる。そのために潜入している可能性がある」

 ルナはもっともな推測を述べる。


 確かに……俺が裏切り者だったらそうする。

 自らの強力な魔法を使って、近くにいる魔法使い隊をまず屠る。次に魔法に対して無防備な歩兵隊を屠る。


 歩兵隊が壊滅すれば、ノルデン隘路を抜けて、帝国軍がなだれ込んでいく。

 国内に残っているのは戦う能力のない女性ばかりだ。

 全員が蹂躙されてしまう。


 俺はめちゃくちゃ焦ってきた。

「ルナには見抜けないのか。裏切り者はとんでもない魔力を持っているんだろ」


「無理。魔力は隠すことができる。適正試験にギリギリ通るぐらいに魔力を落として、正体を明かしはしない」

 ルナは即答。


「……参ったね」

 俺はがっくりとくる。

 裏切り者が近くにいたら不安でならない。超大ピンチじゃん。

 

「陛下が魔法使い隊と閨をともにする時に、裏切り者を見つけ出せばいい」

 ルナが気軽に言う。


「ええええ」


「女は男と過ごす時、普段と違う姿を見せるらしい」

 淡々と話すルナは他人事な感じ。


「いやいや無理だって。俺は女性の正体を見抜くなんてことできないから」

 俺じゃなくたって、女の心がわかるなんて言う男はいないだろう。


 できるという男がいたら、とんだナルシストだ。

 男にとって、女ってのは永遠の謎なんだよ。


「他に方法はない」


「……せいぜい頑張る」

 女性と閨をともにするだけでもしんどいのに、さらに裏切り者発見のミッションが加わった。


 会話が行き詰まってしまった。

 無口なルナと会話できただけでも満足すべきなんだろうけど……どうにも打ち解けた感じにならないや。

 もうちょっと話すことは……


「ええと、ルナは俺と閨をともにする必要あるのかな。百年に一人の天才だったら、十分に強いでしょ。新しい能力を獲得しなくてもいいんじゃ」

 俺としては閨をともにせずに済めば越したことはない。


「私は能力が欲しい」

 ルナの返事には力がこもっていた。


「どうして……」

「私は帝国を滅ぼしたい」

 初めてルナから意思を感じた。


「ルナは帝国に恨みを抱くことがあったのか」


「……私は国境近くの貧しい村で生まれ育った。国境を接する帝国と小競り合いが絶えない場所。5才の時のことだった」

 ルナがポツポツと話し出した。

お読みいただきありがとうございます。

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