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16 キキィと閨をともにする

 ◆◇◆


 夜9時過ぎ。

 俺はいつもより早い時間に寝室にいる。

 

 バスローブ姿でベッドに三角座り。

 隣はキキィ。ピンクのパジャマ姿で寝そべっている。


 子供は寝る時間だが、キキィはまだ目が覚めている。

 サイドテーブルの明かりがぼんやりと周囲を照らしている。


 キキィがハルザ同盟に行って、援軍を連れてくる。

 他に海戦で勝つ方法はない。


 国の存亡は外交にかかっていると言っても、言い過ぎではない。

 古来から外交によって戦争に勝利したケースは数えきれない。


 三国志の赤壁の戦い。弱小の劉備が勝てたのは、孫権と同盟したからだ。

 天才軍師・諸葛孔明が孫権の重臣たちを説き伏せた。


 ハルザ同盟に送る使者は、諸葛孔明のような大舌戦を繰り広げねばならない。


 神聖ロマン帝国から、ハルザ同盟に使者が送られている可能性もある。決してノルデン王国の味方をしないようにと釘を刺してくる。


 ハルザ同盟の指導者たちと、神聖ロマン帝国の使者を言い負かす。

 成し遂げられるとしたら、聡明で、人脈のあるキキィだけ。


 わかっている、わかってはいるのだが、俺はどうしてもキキィを抱くことができない。

 アイリには「俺に絶対に催淫を使うな。使ったら俺はノルデンを出て行く」と言ってある。


 催淫の魔法で狂って、幼女を犯すなんて鬼畜な所業はしない。


 かと言って、キキィに瞬間移動能力を授ける必要があるのは確か。

 どうしたもんか……


 キキィは自分に、ノルデン王国の命運が託されているとよくわかっているはずだ。

 本来10才の女の子に任せるべきことじゃない。

 責任の重さに、キキィには逃げ出したいと思う部分もあるだろう。


 だが、キキィは逃げ出さない。自分しかやれないとわかっているから。


 あ、そうだ……

 閨をともにするって、エッチするってことじゃないんじゃ。


 閨って、文字通りに解釈するとエッチするってことなんだけどさ。


 エッチしなくても、一晩一緒に寝るだけで能力が獲得できないのかな。

 そうだったら素晴らしい。


 キキィで試してみよう。キキィとはお話して過ごすのだ。


「キキィは偉いよ。10才で宰相を務めるなんて……しまった、子供扱いしちゃいけないんだった」

 俺は慌てて口を両手で塞ぐ。いきなり失言してしまった。


「いえ、心の準備はしていましたよー 思ってたよりずっと早かったですけど」

 キキィは子供扱いをスルーしてくれた。


「宰相になるつもりだったってこと? お父さんの後を継いで」


「はーい。お父さんは私を王国初の女性宰相にするつもりで教育しました。ちなみに宰相の地位は世襲じゃありませんよー いっぱい勉強して、仕事の実績を積みなさいって言われてました」


「とても立派な人だね、キキィのお父さんは」

 俺の前世の国と大違いだ。ジジイしか総理大臣にならないゴミの国だった。


 若い女性が総理大臣になっていたらガラッと変わっていたのかな。もっともジジイに媚びる女性しか政治家になれない国だったから、大して変わらなかったかもしれない。要するにどうしようもない国だった。


「ノルデン王国は小国。国を守るためには性別に囚われていてはいけない、というのが父の持論でした。だから女性にも教育を受けさせ、軍隊にも入れるようにしました。女性歩兵隊の創設は父の功績でーす」


「おお、レオーナさんたち歩兵隊がいるのはキキィのお父さんのおかげだったんだ」

 俺は感謝の気持ちでいっぱいになる。


 屈強な歩兵隊300人がいなかったらノルデン王国の治安は崩壊。

 野盗が跋扈する世紀末な世界になっていたはずだ。


「けっこうな数の女性が学校に通っていたおかげで字の読み書きができます。彼女たちが文官として内政を支えてくれていますよー」


「大助かりだ」

 ぶっちゃけ俺にできることは少ない。ほぼ全てキキィ父娘のおかげで、国を運営できている。


「もっとも魔法学校に通えたのは、ルナさんのように特別な才能があった女の人だけ。魔女の育成が課題だ、と父は嘆いていました」

「改革に抵抗は付き物だからね。キキィのお父さんは十分すごいよ」


「ありがとうございます。私も父を尊敬していました……うう……」

 キキィが涙声になって来た。

 しまった。キキィの思い出を刺激してしまった。


「ごめん」

 俺って女性が楽しい気分になる会話ができないんだよね。非リア充だったから。


「ぐすっ 父は私に高校の勉強だけじゃなく、家庭教師を付けてくれました。武術、魔法、数学、古ノルデン語、ロマン語……武術と魔法は全くダメでしたけどね」


「大変だったんだね」

 教育虐待に聞こえるな。上流階級の家の子は没落しないよう必死だ。


「学校じゃ、いつも年下の女のくせに生意気だってイジメられました。友達はいません。別にいらないですけど、ひくっ」

 キキィがしゃくり上げる。

 強がっているけど、本音は友達が欲しかったんだろう。


「飛び級したんだもんね。同級生はみんな年上だったわけだ」

 俺は学生だった時も、社会人になってからもボッチだった。キキィの寂しさはわかる気がする。


「私がくじけて泣いている時は、父は良い子良い子してくれましたー だから私は頑張れていたのに。ううううう……」

 キキィは亡くなった父親を思い出して、涙が止まらなくなってしまった。

 カバーに顔を押し付けて泣いている。


 俺はキキィに掛ける言葉が見つからない。


 あまりにも偉大な父親だから、もっとキキィは父親から学びたかったはず。

 いきなり国を治める重圧を背負わされて、キキィはたまらなく不安なのだ。


 焦った俺はキキィに右腕を回して、肩をなでなでした。

 「気持ち悪いっ」て、払いのけられる気がした。

 前世で幼女にやったら犯罪だ。


 でもキキィは嫌がらない。

 

 俺は恐る恐る左手で、キキィの頭を撫でた。

「良い子良い子、キキィは良い子だな」


「ぷっ 何ですかそれ、お父さんのマネのつもり?」

 キキィは呆れているが、声には笑いを含んでいた。


 キレられなくてホッとする。

 ちょっとだけ空気が和んだ。


「ごめん、止める」

 俺は手を引っ込めた。


「ううん。もっとして欲しい」

 キキィがカバーから顔を上げる。目に涙を溜めて俺の方を見た。


「いくらでも良い子するぞ。キキィは本当に良い子だからな」

 俺はキキィの頭を撫で撫でしまくる。


「にゃあ」

 恍惚とした笑顔を浮かべるキキィ。

 頑張っているから、キキィは褒められたい子なのだ。


 俺はキキィをいっぱいよしよししてやった。

 キキィが満足してからは、俺もベッドに寝そべった。


 キキィは俺の前世でのことを聞きたがる。異世界に興味があるらしい。


「……俺は実に恐ろしい国にいた。ちょっとでも目立つと叩かれるから、みんな息を潜めて生きているしかない」


 …………


 いつの間にかキキィは寝ていた。

 俺の前世の話なんか面白くないもんな。


 子供は早く寝るものだし。


 キキィはすやすや寝息をしている。


 キキィの寝顔はかわゆいな。

 娘が産まれたらこんな感じなんだろうか。


 これはこれで十分に新鮮な体験だな。


 幸せな気分で俺も寝ることにした。


 くーくー

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