10 妻は俺に尽くしたい
◆◇◆
「新たな能力【精力回復】を獲得しました。閨の相手または自分に授与してください。考慮時間は3分です。時間を過ぎた場合は自分に授与されます」
女性の声が聞こえた。
なんでまたエロスキルなんだよ。
アイリの仮説どおりではある。
同じ女性と連続して閨をともにした場合は新たな能力は得られない。だが女性を入れ替えれば、また新たな能力を得られるとわかった。
しかし、なぜアイリが相手だとエロスキルばっかりなんだ。
レオーナさんの時は、ちゃんと武人にふさわしい【弱点攻撃】という能力だったのに。
清純そうなアイリが実はエロい子だからなんかなぁ?
確かにベッドでは、意外にエロいことをするけどさ。
恥ずかしすぎるから、アイリに教えたくない。
同じ女性と閨をともにしても、新たな能力は獲得できないようだと嘘をつこうか。
「陛下、能力は獲得できましたか」
アイリが身を起こして、真剣な目を向けてくる。
「いや、その……」
口ごもってしまう。
「獲得できたんですね。何の能力ですか」
アイリには俺の挙動でバレてしまっている。
それに複数回、閨をともにして能力が得られるかどうかは重要な情報だ。特に強化したい女性とは繰り返し閨をともにすればいい。
嘘はつけない。
「精力回復……」
うつむいて呟いた。
「素晴らしい! 私に授けて下さいっ 早く早くっ 3分経っちゃいますよっ」
「わかったよ。アイリに授与!」
俺はやけっぱちになった。
アイリは精力回復を催淫と合わせて俺に掛けまくるつもりだ。
でもって、一晩中いや一日中でも女性と閨をともにさせる。
ぞっとする。
俺の肉体は18才。
オスとして最も盛んな時期である。
だがさすがに1日5回もできなかった。
アイリは精力回復を使い続け、俺は際限がなくなるのかもしれない。アイリによって酷使される種馬……
もはや俺が俺でなくなっていきそうだ。
俺が俺であるうちに……
うーん、なんか頭がおかしくなりそう。
「本当にいいのかよ、俺が他の女の人と閨をともにしまくらせてっ」
俺はまたキレてしまった。
「陛下には申し訳なく思います。お優しい陛下の心を無視して」
「もう勘弁してくれ……」
俺はアイリと狂気の道を突き進むと決めたはずなのに、もう揺らぐ。
部屋が静まり返った。
「うう……ううう……」
アイリが啜り泣く。
しまった。俺が先生なのに、教え子のアイリにあたってしまった。
「ご、ごめん。言い過ぎたよ。つらいのはアイリの方だってのに」
「いいんです。私は……ぐすっ」
「わかってる。今は非常時なんだ。仕方ないんだよな」
俺はアイリを向いて呟く。
「陛下、お願いです……時々は私を抱いて下さい。そして、いつか平和が訪れたら、私だけをいっぱい可愛がってください」
アイリは笑顔で涙を流した。
「ああ、もちろんだ……俺はアイリだけを愛している」
「ありがとうございます……次の女の子を呼んで来ますねっ」
アイリは涙を指で振り払って、ベッドから降りる。
サイドテーブルに畳んでおいたドレスを手に取る。
「待って」
俺はアイリを引き留めた。
悲しみに耐えているアイリを慰めたくて、もっと会話を交わしたい。
「アイリも転生者だ。アイリはどんなギフトを持っているの?」
とても重大なことなのに聞いてなかった。
俺の【能力授与】は、なんだかんだですごいギフトに思えてきた。アイリが同等のものを持っていたら心強い。
アイリは体はドレスで隠して振り返る。妻になっても、俺に裸を見られるのは恥ずかしいらしい。
「よくぞ聞いて下さいましたっ 私のギフトは【王佐】ですっ」
アイリは目を輝かせている。
「……それは一体」
「王を助ける能力を早期に獲得できる、だそうです。夫に尽くしたい私にぴったりなギフトじゃないですか」
「本当だね。具体的にはどんな効果があるんだろう」
俺はアイリの性格に合ったギフトであることは認める。しょぼい俺を立ててくれて、尽くすことばかり考えているアイリは最高の嫁だよ。
「まだよくわかんないんです」
アイリが小首を傾げる。
俺はガクッとなった。
「だって、陛下が転生する前は、夫がいないからか能力をぜんっぜんっ獲得できなかったんです。神官学校に通ったものの、私が使えるようになった魔法は小回復だけでした。私、才能ないのかなーって、しょぼーんとしていました」
「はは、これからってことだね。アイリはやればできる子だから」
俺は空笑い。
本当のところ、アイリの【王佐】のギフトはハズレスキルかもしれない。どうにか気を取り直さないと。
「はいっ 催淫と精力回復。陛下が私と閨をともにして獲得した能力が補助系なのは、私の【王佐】のギフトに反応したからじゃないかと思います。ようやく私のギフトが役に立ちそうじゃないですか」
「な、なるほど……」
正直なところ、催淫と精力回復はネタ的な能力なんだけど……アイリが喜んでいるから、うなずいておく。
「私、どんどん能力がもらえて感激しているんです。先生の教え方が上手で、私の成績がどんどん伸びて行った時みたい」
アイリはご機嫌になっていく。
ちょっと気まずい空気になっていたから、俺は胸を撫でおろす。
アイリはドレスを着終えて、扉の方へ歩いていく。
「次の子を呼んできますね。私は王佐の者として、催淫と精力回復、いっぱい使っちゃいまーす。ふんふんふーん」
アイリは鼻歌まじり。
自分の役割が確立していくのが、うれしいみたいだ。
次はどんな女の子がやって来るんだろう……ドキドキ
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