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『第3回 下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ大賞』シリーズ

サイコロよ、1の目を出して!

作者: 佐藤そら
掲載日:2021/12/20

 わたしは今、息を切らし、先輩のもとへと走っている。

 それは、昼休み。大好きな先輩からの呼び出しだった。



「1分遅刻だ」


「だって、さっきの授業終わるの遅かったんだもん」


「だってじゃない。せっかくお前の気持ちに応えてやろうと思ってるのに」


「えっ!? 先輩それって、わたしと付き合ってくれるってことですか!?」


 先輩はニヤリと笑うと、ポケットからサイコロを取り出した。


「1の目を出せたらな」


「えー! 意地悪ー!」


「どこがだ。確率は6分の1だぞ?」



 今、この目の前のサイコロを振って、1の目が出る確率は6分の1。

 1の目さえ出せたら、わたしは先輩と付き合える!?


 わたしは願うようにサイコロを振った。


 1が、1が、出なかった……!


「3……」


「残念だったな」


「そんな! もう一回! もう一回チャンスをください!」


「なら、また明日、昼休みにここに来い」


 先輩はそう言うと立ち去った。



 わたしは、翌日もサイコロを振った。

 でも、1の目は出なかった。



 わたしは、次の日も、その次の日も、サイコロを振った。

 やはり、1の目は出なかった。


 わたしには運がないらしい。




「今日こそは!」


「ホント、お前必死だな」


 先輩は鼻で笑った。


「ひどい!」


「そんなに付き合いたいのか? 俺と」


「もちろん、付き合いたいです!」




「そんな奴、やめとけよ」


 わたしの様子を見てたらしく、幼馴染のアイツが話しかけてきた。


「うるさいな、あんたには関係ないでしょ!」


「ったく、俺にでもしとけば?」


「な、何言ってんのよ! バカ!」




「残念。コイツ、俺のだから」



 何よ! 付き合ってくれないくせに!

 あぁ、もう!

 今日も1が出なかったじゃない!




「先輩! さっきのなんなんですか! 俺のって。結局先輩は、わたしと……!?」



 一瞬、何が起きたか分からなかった。

 時が止まった気がした。

 自分の鼓動だけが聞こえた。


 先輩は、わたしがそれ以上何も言えないように、口づけで口を塞いだ。


「な、な、何するんですか!!」


「しっかしお前、ホント運のない奴だな」


「それは……」


「さっき出した目を足して、全部でいくつだ?」


「えぇ? えっと、最初の日に3を出して、次に5、それから……全部で21」


「ま、二重に1を出したってことにでもしといてやるよ」


「へっ?」


「何回も言わせんなよ。今日からお前は俺の彼女だ」


「ウソ! ホントに?」


「誰かさんに、取られても困まるからな」


 先輩は少しかがむと、わたしの頭に手をのせ、わたしの目を見てそう言った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 先輩かっこいいって言うところなのかもしれませんが、余裕ない先輩がかわいかったです!! 大好きな子取られるの困っちゃうんだな〜と思うとニヤつきました!おふたりどうぞお幸せにっ!! [一言] …
[一言] ツンデレ先輩だ〜♡
2021/12/20 19:14 退会済み
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