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マーリンの成果

<開拓者等級>

個 : (炭)⇒鉛⇒鉄⇒銅⇒銀⇒金⇒白金 (名付きの犯罪者or犯罪クラン = 水銀)

連 : 鉛⇒鉄⇒銅⇒銀⇒金⇒白金

※連はパーティーと同義。光沢級(銅から)に入ってくると一人前。身分証明にもなる、それなりの地位。



<魔獣等級>

・灰(クラス1)

・鈍(クラス2)

・橡つるばみ(クラス3)

・墨(クラス4)

・黒(クラス5)

・漆黒(クラス6)

・黒銀くろがね(クラス7)

※等級の由来は採取される魔臓の色から。等級の中でも上位下位は「濃淡」or「上下」で分別されます。

「散開しろ!」


 響いた声に若い二人が反応して弾けるように左右へ飛んだ。我々とベニメリヌとの距離は既に三十メートルほどに縮まっている。


(さて熊はどちらに向かうか)


 若さ故か一瞬戸惑ったような動きをしたベニメリヌだったが、すぐに進路を決定して突進を敢行する。

 向かう先は ―ヨウだった。


「やはり感付くか」


 そう簡単に易しいルートにはハマってくれぬが、少なくとも現状は最悪とはほど遠い。


(老獪さは無い。素晴らしいな)


 口の端を持ち上げて笑み、狙いを定めて一言唱えた。


鉄槌(ナターン)


――


 マーリンとてヨウが現れてからの一年間、ただアウトプット役に徹していたわけではない。


 いやむしろ、異世界人としての知識や魔状の常識が無いが故の柔軟さを一番間近で触れてきたからこそ、最新知識が集積しない辺境では考えられぬ程、マーリンの魔状は進歩していた。

 それはごく一部ではあるが、この世界の最新技術を超えていた。

 

 粒子をより密集させ結合するほど固体は硬質化する。しかしその分重量は増して遅くなる。

 

―と、思っていた。


 しかしヨウは声高に叫ぶのだ。

『魔子』という存在がどれほど万能であるかを。


 魔子は意思一つ、正確に言えば体内の魔素によって操縦可能な物質であり、分子や原子に留まらず物体に作用させることさえ容易であり、膨大な魔子を行使して纏う事さえすれば、巨大な岩さえゼロエネルギーから秒速300mで弾き出す事が可能なのだ。

 よくある土魔状は、地面の土壌を魔子により結集・結合させること。そして結合生成した物体に含まれる魔子を運動エネルギーに転用し、土の凶器を射出していた。結合させることに使用した魔子を射出するためにも重複使用することで行使スピードを上げるという点は素晴らしいが、その分使用できる魔子は限られるため速度は然程速くならない。

 もちろんこれまでの土魔状師も馬鹿ではない。むしろエリート共の集まりである。ならば作り上げた物体を魔子で覆うことによって速度をあげられないか、ということは当然考える。

 しかしこの思想は現在一般的でない。なぜならば「鉄槌(ナターン)」や「流砂の刃(オリスヘーク)」に魔子を纏わせても、一定の速度向上は見られるものの程なく頭打ちになったためだ。魔子を入念に覆うほど確かに速度は上昇するが、時間と魔子をかけたにしては効果が薄い。であれば硬質化に使用できる上に速度も上がる結合時に魔子を投入するほうが効率的に正であると最終的に結論付けられた。


 だがヨウはこの常識に難癖をつけた。


『そもそもですね、例えば「鉄槌(ナターン)」なんて地面からぶっとくて固い棍棒が突き出して延々と的にぶち当たるまで伸び続ける代物ですよ。そんな長大な物体全てに魔子を纏わせるだけでも大変なのに、そんな重量のある物質をある方向に飛ばすだけでなく、空中に支えるためにだってエネルギーを使用するわけです。魔子からすれば過重労働なんですよ』


『……言いたいことは分かった。しかし今の理論は魔子付与による効果が薄い理由付けにしかならんぞ』

『だから解決するんです。纏った魔子に懸かる負荷を一つ減らすだけで、おそらく充分なブレイクスルーになります』

『ぶれ? まあいい。減らすのは空中に支えるという負荷の方か?』

『そうです。明らかに不要な労力です。別に(つち)が空を奔らなければならない理由などないでしょう。ならば標的に直撃する直前まで地面を滑らせたほうが効率的です。摩擦の問題はありますが、一般的に支えがあったほうが速度が増します。抜刀術と同じです』

『バットウ術とはなんだ?』

『あー……、これは魔状とは関係ないですが、聞きますか?』

『言え』


『えー、抜刀術とは。そうですね、剣術の一種です。抜剣術と言った方が良いかもしれません。鞘に納剣した状態で構え、抜剣する動作と共に斬撃を繰り出します。鞘の内を滑らせることによって、剣閃速度を上げる方法ですね』


 ふむ、と顎に手を当て考える。


『それは、本当に早くなるか? お前も言ったが摩擦によって速度が減衰しそうだが』

『まあそこは諸説有りです。しかし同エネルギーで推進する場合、摩擦さえなければ早いのは地面の上です。飛ばす物がものすごい軽量の場合は別として』

『そこは試してみるか。しかしお次は摩擦の問題が出てきた』


『ですね。でもこの世には、―魔子があるじゃないですか』


――


 初撃の「鉄槌」が恐ろしい速度で地面を奔る。鉄槌という名より鉄蛇がふさわしい見目の魔状が、魔獣まで続く魔子のレール上を黒い光線の如く疾駆する。

 近づく魔状に反応したベニメリヌが視界に捉えた時には既に残り五メートルまでの位置であった。

 その瞬間、鉄槌は勢いそのままカタパルトで発射されたように地面を蹴り獣の中央に強烈な一撃を与えた。


 間一髪で防いだ肉厚の掌から、鈍器で殴ったような身の竦む音が辺り一面に木霊し、掌ごと巨体を弾き飛ばした。


「流石にやるね!」


 思わず興奮した声を出したクレアに対して、マーリンの反応は苦かった。


「……改良版ならばもしや、と思ったんだがな」


 分かっている。

『黒色』等級がそこらの魔獣とは一線を画す(たぐい)であることは。

 しかしこの(よわい)にして驚異的に伸びた土魔状の威力に自信があったのも確かだった。


 確かにダメージは与えた。以前までの「鉄槌」であれば弾き飛ばされていたのは魔状の方だったろう。

 それが改良された「鉄槌」では明らかに奴の腕を損傷させ、そればかりか身体にまで一撃を与えたのだ。クラス5に単体での魔状でだ。


 しかし人間に例えれば拳で思い切り掌を殴った程度のダメージであったことに、マーリンは軽いため息を吐いた。


「まあいい。次の俺の攻撃では血反吐を吐かせてやる」


 順番は守らねばなるまい。

 いつの間にか近くに戻ってきていたヨウがぼそりとつぶやいた。


「――あと少しで撃てます」


 今度は弟子の番だ。お膳立ては既に済んだ。


(次の一撃は刺激が強いぞ)

<開拓者等級>

個 : (炭)⇒鉛⇒鉄⇒銅⇒銀⇒金⇒白金 (名付きの犯罪者or犯罪クラン = 水銀)

連 : 鉛⇒鉄⇒銅⇒銀⇒金⇒白金

※連はパーティーと同義。光沢級(銅から)に入ってくると一人前。身分証明にもなる、それなりの地位。



<魔獣等級>

・灰(クラス1)

・鈍(クラス2)

・橡つるばみ(クラス3)

・墨(クラス4)

・黒(クラス5)

・漆黒(クラス6)

・黒銀くろがね(クラス7)

※等級の由来は採取される魔臓の色から。等級の中でも上位下位は「濃淡」or「上下」で分別されます。

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