迎え撃て
<開拓者等級>
個 : (炭)⇒鉛⇒鉄⇒銅⇒銀⇒金⇒白金 (名付きの犯罪者or犯罪クラン = 水銀)
連 : 鉛⇒鉄⇒銅⇒銀⇒金⇒白金
※連はパーティーと同義。光沢級(銅から)に入ってくると一人前。身分証明にもなる、それなりの地位。
<魔獣等級>
・灰(クラス1)
・鈍(クラス2)
・橡つるばみ(クラス3)
・墨(クラス4)
・黒(クラス5)
・漆黒(クラス6)
・黒銀くろがね(クラス7)
※等級の由来は採取される魔臓の色から。等級の中でも上位下位は「濃淡」or「上下」で分別されます。
「おー……? 二人とも来たね」
「遅くなりました。様子はどうですか?」
「雑魚がちらっと出てきただけだな。本命はまだだけど、ヤバい感じはする」
背負われたマーリンを不思議そうな目で見た後、あえて突っ込まなかったクレアに感謝しつつ状況を確認した。
「あの二人はどこだ」
「ゼンジとジンっすか? あっちですよ。離れたところにいますね」
聞いて思わず悪態を吐いたマーリンさんは、驚いた顔の俺らに向かって指示を出した。
「あいつらもここに連れてこい」
「? 彼らは開拓者ですし、あっちで魔獣が出てきた時のために離れていたほうがいいんじゃ」
疑問を口にしたヨウに、聞かれた男は渋面で返した。
「普通で言えばそうだ。しかし今回は特殊である可能性がある」
「というと?」
「なぜ選りに選って立村祭で魔獣が現れたのか。それはあの兄弟がこの村に訪れたから、という可能性が、確率は低いが存在するからだ」
「微レ存ですね」
「なんだと?」
「いえなんでも」
「続きをどうぞ」と手の平を向けると、不審げな顔をしつつマーリンは見解を述べようとした。が、その前にクレアが口を挟んだ。
「あいつらのせいかも知れない、ってどういうこと? もう何度も来たことあるけど?」
質問されたマーリンはクレアに正対し、経緯をかいつまんで話した。
事情と遠吠えの魔獣について理解するにつれ、クレアの目は鈍く輝き出す。
「もしそれが本当なら……悪いけどあいつら殺すよ」
「悪く思う必要など無いな。熊が来る前に殺しておくのも手だ」
「なるほど。あいつらの死体を転がしとけば、それ食って満足して帰る可能性もあるよな」
物騒なことを考え始めた二人をヨウは止めなかった。
事実であれば、少なくとも自分の村が危険にさらされたクレアは殺す権利さえある。そう思う自分は、既にこの世界の考え方に染まりつつある証拠であった。
「にしても、クラス5すか」
「おそらくだが、ほぼ間違いないだろう」
「ヘケット村最大の危機だなぁ」
焦燥に欠けるような台詞を吐いたクレアに向けて、マーリンが確認した。
「勝つ気はあるか」
「……わかんないですね」
言葉を重ねようとしたマーリンに被せるように、「たださ」と彼女は言葉を紡いだ。
「勝てなくても、死んでも守り切るよ」
そして、射貫くような眼差しで白髪の魔状師を睨んだ。
「あんまり舐めんなよ。ジイさん」
強烈な視線を浴びたマーリンは「ふん」と鼻から息を吐き出し、口元をゆがめた。
「なら別にいい。お前がいるかいないかで戦況は大きく変わるだろうからな」
「期待してくれてるわけだ」
今度はクレアの口がにやりと笑う。今さらだが元々怪しかった敬語らしきものさえ無くなっていることを、ヨウは指摘しようか迷っていた。
「俺とお前とゼンネル。そしてヨウ。こんな辺境にしては戦力的には悪くない。むしろ奇跡だろう」
「もうそろそろ来るだろ? どういう配置でいく?」
マーリンは頷いた。
「クレア、お前が前衛だ。だが無理はするな。クラス5の大型魔獣はお前の想像の倍以上に強く速い。まずはスピードに慣れ、被弾を避けることから始めろ。少しでも入れられそうと感じたなら安全マージンを取った上で突っ込め。―守り切ると言ったな。ならばこの柵を抜かせないことを大前提に、長期戦も覚悟してやれ」
序盤で一撃を見舞うことは期待できない。言外にそう言われたのだが、クレアは黙って頷いた。
ここにいる三人が目指すところは一致している。
「俺が後衛と指示を担う。足は動かんが声くらいならば張れる。遠距離からの魔状も仕掛けるが、もし魔獣が怯んだときは二人とも一撃を狙え。ゼンネルは門下の人間を指揮してベニメリヌ以外の魔獣を広範囲で殲滅してもらう」
「ヨウも? こう言っちゃなんだが一撃の威力を考えれば俺の支援役のほうがいいんじゃね?」
対魔獣での剣技で言えばそうかもしれない。
しかし俺は剣だけではない。マーリンさんも承知しているのか、こちらを向いて要件だけ述べる。
「ヨウ。お前はイケると思ったらあの中級雷魔状の準備を始めろ。……あれから過程は短縮できているか?」
「あの頃から二割程度は速度改善してます」
「よし。ならばお前はクレアの支援と隙をついた攻撃。および中級雷魔の攻撃役だ。―ふ、前後衛役の練習だな」
何事かツッコもうとしたクレアはしかし、そのまま声を発することは無かった。
重量と速度の乗った足音と、木々を圧し折る破砕音が近づいてきたのを悟ったのだ。
「くるぞ」「わかってら」
<開拓者等級>
個 : (炭)⇒鉛⇒鉄⇒銅⇒銀⇒金⇒白金 (名付きの犯罪者or犯罪クラン = 水銀)
連 : 鉛⇒鉄⇒銅⇒銀⇒金⇒白金
※連はパーティーと同義。光沢級(銅から)に入ってくると一人前。身分証明にもなる、それなりの地位。
<魔獣等級>
・灰(クラス1)
・鈍(クラス2)
・橡つるばみ(クラス3)
・墨(クラス4)
・黒(クラス5)
・漆黒(クラス6)
・黒銀くろがね(クラス7)
※等級の由来は採取される魔臓の色から。等級の中でも上位下位は「濃淡」or「上下」で分別されます。




