彼女は肺を背負っている

「生きたいなら、身体を私に提供してくれないか」

　蒸気機関の発展により栄華を極めている国、チェイル共和国。その一角に存在する貧民区で息絶える直前だった少年「スイフ」は、人体実験の材料を探しにきていた女性技師「アジギト・ウル」に命を助ける代わりに、身体を提供しろと取引を持ち掛けられる。
　それを了承したスイフは人体に蒸気機関、人工臓器を取り付けられた。それはスモッグ被害に苦しむチェイル共和国からすれば、身体から取り出してでも欲しいものだった。

　共に暮らしていたアジギトが一向に戻ってこないために、スイフは単身で共和国へ捜索に乗り出す。かつての故郷である貧民区で情報を集めていると、不自然に大きな箱を背負った少女と出会う。その箱には双頭の蛇。設計者がアジギトであることを示すマークが付いていた。



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