第九話
ちょっとズラズラと書いてたらなんか重複してそうな気がしてきたけど…いいよね?
だって義妹が可愛いから!
冒険者ギルド…いい響きだと思う。
魔物を討伐してランクを上げて、最高の冒険者になって名を馳せて。
そして、冒険の途中で出会う綺麗な美少女達…
様々な困難を抜けて深まる絆。
そして、美少女達と夜を過ごし更に…
みたいなものを昔中学の頃ちょっとワクワクしながら妄想していた記憶がある。
勿論今俺はギルドの前に居てそれを実際に見ている訳だが、年甲斐もなくやっぱりくるものがあるな。
ただ、別に美少女と出会わなくても別にいい。
だって鏡華が世界で一番可愛いし最高の嫁であると俺は思っているし。
魔物討伐?
論外だ、鏡華にかすり傷一つでもつける可能性のあるそんな危険な生物の所に近寄りたくない!
冒険なんて以ての外だ。
鏡華のこの綺麗な手に武器を持たせて戦わせたり、鏡華の艶のある足を薄汚い洞窟に踏み込ませたり、鏡華のこの天使にも引けを取らないこの完成された顔を盗賊達の討伐に向かって曇らせてしまったり…
絶対に認められません!
「智?顔怖いよ?」
「おっと、悪いちょっと鏡華をどう守ろうか考えてたんだ」
「えへ、ありがとう」
その笑顔百点!
でもきっと鏡華の事だ、俺を思ってきっと気丈に振舞ってくれるんだろう。
本当に俺にはもったいない嫁だ。
……
やはり冒険者なんてやらずに森で静かに暮らすべきか?
そんな無理をさせてまで俺は冒険者になりたいかというと全くこれっぽっちも思わない。
というか鏡華に返り血一滴も、魔物のうるさい鳴き声もたとえ薄皮一枚の傷でさえ付けさせたくない。
別に監禁して俺が全て管理したいわけじゃない。
それこそ鏡華が悲しんでしまう。
楽しく日々を幸せに暮らさせてあげたい。
その為にはやはりある程度のお金が必要だ。
だけど傷ついてほしくない…
「ねぇ智?」
「どうした鏡華」
「智が考えてる事は分かるよ?でもね、私にも出来ることなのにそれをしないって、それじゃ対等になれない…智にだけそんな重荷を背負わせられないよ…私は智の隣に居たいの後ろで守られてるだけじゃ嫌なんだよ?」
「鏡華…」
悲しげに俺を見つめてくる鏡華。
……
そうだよな、俺が鏡華に傷ついてほしくないのと同じで鏡華も俺に傷ついてほしくないんだ。
俺だけがやれば、俺だけが手を血に染めればいいって思っていたが。
鏡華にはそれはとても辛く苦しいことなんだ。
「ごめん鏡華…そうだよな俺達は一緒に共に生きると決めたんだもんな」
「そうだよ、だからその智が背負ってる重荷を半分は私に背負わせてほしい」
鏡華が優しい、それだけで俺の重荷なんてどこかに飛んでいってしまうというのに…
「ああ、分かった…ただ一つだけ今したいことがあるんだ」
「どうしたの?」
「抱きしめさせてくれ、鏡華が愛おしい過ぎて耐えられそうにない」
「こんな所でするの?」
確かにここは大通りで、人が多く動き回っている。
雰囲気的には最悪だろう。
だけど…
「俺は今鏡華を抱きしめたい」
「…分かったキスもする?」
「それをしたらもう俺はそのまま宿に鏡華を連れて行ってしまうかもしれない」
「お盛んな夫だね」
「鏡華が可愛すぎるのがいけない」
「じゃあ、仕方ないのかな?」
「ああ、回避不可能だ」
そして二人で抱きしめ合う。
視線を感じるがそんなの知ったことではない。
ああ…キスしたい、愛したい。
この俺より少し小さいのに俺の中では大きな存在をいつまでも感じていたい。
(あの、いつまでそんなこと続けてるんですか?街に来てからほとんどそんな感じですけど)
……
せっかく二人の愛を確かめあっているのに邪魔をしてくるじゃないよ女神様。
(はいはい、いいから早くギルドに行って冒険者稼業ぱぱっと終わらせれば家でもっと長くイチャイチャできますから)
確かに…
十理ぐらいある。
そっと抱きしめるのをやめて鏡華の顔を見る。
その顔は可憐で気高い向日葵のようだ。
名残惜しい…が…
「ギルドに入ろうか」
「はーい」
二人は一緒に扉をくぐる勿論恋人繋ぎは継続中だ。
って言うかどうしよう…タイトル的にハーレム目指そうかと思ってたんだけど…気持ちが昂りすぎて義妹ちゃん一直線だよこれ…他のヒロインの入ってくる余地…なくない?