第五話
家に帰る途中で罠を作る際に必要な蔦を見つけてそれを確保しながら帰宅した。
因みに帰宅途中遠くに鹿らしき動物を見た。
弓か何かあれば狩りをするのもいいかもしれない。
肉はタンパク源だから是非とも確保しておきたい。
食事といえば、あの毒々しいキノコ。
ただ炒めただけなのにめちゃくちゃ美味かった。
日干しにして乾燥させた後だし汁を取ってもきっと美味しいはずだ。
まぁ残念ながらそこまでの量は取れなかったし日干しをするための板もないので無理だが。
果実はまぁ、野性の果物だからか少し固くそして酸っぱかった。
食えない訳では無いがあんまり食いたいと思えるものでもないな。
くっ…日本の食生活の充実性が伺える。
まぁ腹は満たせたからいいけど。
妹?
もちろん今は離れてますよ。
流石にずっとくっついているわけじゃない。
家の中では流石に個々に動いている。
「さて、ぱぱっと罠を作りますかね」
とは言っても何を作るかはまだ決めていない
縄にかけて吊る方か、籠を作って餌で誘き寄せる方か…
「お兄、何考えてるの?」
「ん?ああ、いやどの罠にするかを考えててな」
「弓は作れないの?」
「弦の部分が蔓じゃ流石にダメだろ…」
「靴紐はダメなの?」
「長さが足りない」
「うーん…」
だが弓は確かに欲しいかもしれない。
遠距離から狙えるから危険が少ないし、今の身体のスペックなら材質さえしっかりしていれば恐らく動物の皮膚ぐらいなら易々と貫ける気がする。
「あっ!」
「どうした?」
「魔法でどうにか出来ないかな?」
「…………」
俺としたことがうっかりしていた。
確かにここは異世界で魔法が存在している。
こんな初歩的なミスをするとは…
どうも物事を地球での方で考えてしまうな。
「その案採用」
「やった!」
でも待ってくれ妹よ。
俺が集めた竹とかどうするんだ…
というか女神様?
(……)
おいこら無視すんな。
はぁ…やれやれ。
「んじゃまぁとりあえず魔法の特訓するか…」
「お兄、私もやる!」
妹もやる気だ。
ここは兄としての威厳を見せなければな。
早速外に出て特訓開始だ。
「ふむ…」
ドラ○エかファ○ファンどちらでイメージをするべきか。
「とりあえず、メ○ミ」
そこそこデカい火球が手元に出現する。
意外と熱さは感じないな。
自分の魔力で作ったからかな?
とりあえず気に向かって投げてみる。
軽く投げたつもりがメジャーリーガーも真っ青な豪速球になって的にした気にぶつかって爆ぜる。
「やべぇ…」
物凄い勢いでぶつかったせいか三メートル近くあった木が粉々に砕けながら燃えた。
ブ○イって結構えげつない魔法使ってたんだな…
メ○ミでこれならメラ○イアーとかイオグ○ンデとか周囲への被害が計り知れないな。
絶対使わないでおこう…
というかこんなの動物に放ったら食材の確保どころじゃない。
ドラ○エ禁止。
となるとやはりファイ○ァンのイメージでやるべきだな。
あっちは割と周囲への配慮が行き届いた魔法が多かった。
死の宣告とか石化とか実際にあればえげつない状態異常が多々あったけど…
良くエ○ナで解除できたな。
というかフェニッ○スの尾の優秀差がすごい。
いやいや、そうじゃなくて…
イメージは初級ぐらいでいいかな?
「サ○ダー」
手元から地面と平行に一筋の光の筋が飛んでいって木に命中する。
「おお、なかなかちょうどいい威力!」
流石ファイ○ァン!
キャラも可愛いし魔法もなかなか優秀とか流石の一言だわ。
いや、別にドラ○エが悪い訳じゃない。
寧ろ殲滅したりするのにはこっちの方が優秀であることは間違いないし。
某竜人の一般女性キャラは結構可愛いと思う。
ってそれは今はいいんだよ。
「まぁイメージが大事ってのは結構俺にとっては楽でいいな」
「お兄、狡いよ」
となりで頑張ってイメージしてる妹はガスコンロみたいな火を出したりしている。
まぁ、料理好きだからそういうイメージが浮かんじゃうよね。
「じゃああれだ雷をイメージしてみればいいんじゃないか?」
「うーん…こうかな?」
すると頭上の空に薄暗い雲が出来上がる。
そして…
「あばばばば」
「お兄?!」
前にある木に落ちた雷は、地面を伝って俺の所にまで来たらしく感電した。
「…いてぇ」
この身体のスペックじゃなかったら下手したら死んでるなこれは…
「お兄、ごめんね…」
明らかにしょんぼりして目じりに涙を浮かべている妹の頭を優しく撫でながら声をかける。
「気にすんなそういったのは俺だからなこういう事もあるって」
「うん…」
そう言いながら俺の胸に顔を埋めてピッタリとくっついてくる。
「今日はもう風呂に入って寝よう」
「うん…」
俺から全く離れる気のない妹を片手で抱き上げると、少しびっくりした表情を浮かばたあと首に腕を回して首筋に顔を当ててくる。
息が首にかかってなんともこそばゆい。
家に入るとゆっくりと妹を降ろしてやる。
「先に風呂に入るか?」
「ううん、後でいい」
「そうか」
そういうと俺からサッと離れいそいそと個室に戻る妹を見ながら俺も部屋に戻って着替えの準備をする。
妹を待たせる訳にはいかないのでと脱衣所に向かって服を脱ぎ風呂場にはいる。
「流石にシャワーは無いか」
当然といえば当然だがありがたいことに浴槽とソープ系はそのまま残っていた。
水を貯めるのはもちろん魔法でやる。
イメージ的にも割と簡単だからな。
心地よい温度の水を魔法で作り出し浴槽に貯め、体を洗い風呂に入る。
「あぁ…生き返る」
異世界で風呂に入れるとは贅沢だな。
「お兄?」
脱衣所から妹の声がする。
「なんだー」
「えっと…なんでもないよ」
「そうかー」
「うん」
風呂が気持ち良すぎて語尾が伸びる。
外からは恐らく梟だと思われる鳥の鳴き声が聞こえて、家の中からは服が擦れる、まるで誰かが脱衣しているような音が聞こえる。
ん?
「ちょっと待て、鏡華」
「ん、何お兄?」
「まさか…まさかとは思うが…」
と言い終える前に風呂場のドアが開く。
そちらに目を向けると日に焼けていない白く綺麗な肢体を見せる妹の姿があった。
「ちょっ…」
「お兄は気にしなくていいよ?」
「無理だから!」
「私は気にしてないから大丈夫だよ」
「いや…はぁ、わかったよ…」
流石に兄と妹とはいえ、二十と十六が一緒に風呂に入るのは不味い。
どうして妹はここまで貞操観念が緩いのか…
兄だからと気を許してくれているのはありがたいが俺も一応男なんだがな。
「そう?」
「ああ…もう一緒に入る事はお前の中で確定事項なんだろ?」
「うん」
でしょうね。
大体、妹が二文字で言う時は絶対に引かない。
もはや諦めの境地だ。
「失礼します」
そんなことを言いながら風呂場に入ってくる妹。
なるべく見ないように窓の方を見る俺。
なんかこっちに来てから妹が随分と俺に甘えてきている気がするな…
前の世界でも手を繋いで歩いたりとか、一緒に出かけたりはしていたが随分と変わったものだ。
やれやれ、世の中の連中が見たらリア充だのと言ってくるのだろうが…
相手は義理とはいえ妹だ、そんなことをする訳にはいかない。
「お兄」
「なんだ?」
「お湯出して?」
「自分でできるだろ…」
「お兄に洗って欲しいかな」
なんてことを言うんだこの妹は…
「…お湯は出してやるから洗うのは自分でやれ」
そう言って片手を風呂からだし手からシャワーのようにお湯を出してやる。
「お兄私の事嫌い?」
「なんでそうなるんだ…寧ろ世界で一番大事だよ」
「じゃあ洗って?」
と言うと俺に背中を向けてくる。
これは…一体俺はどうすればいいんだ。
まだ五話そして初日です。
いやぁ展開が早いこと早いこと…
因みに皆さんはエ〇エフ派ですか?ファ〇ファン派ですか?私はもちろんエ〇エフ派です。
なぜ呼び方を変えているのかは自分とは違うキャラとして主人公を書いているからですねぇ。