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6 エピローグ

 目が覚めると、僕は人間の姿に戻っていた。

 体の節々が痛む。

 でも、なんだか心地良い……特に頭の下に枕のような柔らかく、温かい………


「ええ! 」

 僕は、レイカの膝枕に寝ているのだ!


 しかも、今は モフモフではない! 慌てて起き上がろうとすると

「いてて! 」

 体中に激痛が走る。するとレイカは


「まだ、寝てなきゃだめでしょ」

 そう言って、僕の頭を自分の膝枕に抑え込んだ。


 横で、大きなとんがりウイッチハットを目深にかぶったミホロが腰に手をあてて

「今回は特別だよ」

 レイカも笑って僕を上から覗くように見ている。そして、眼前に仰ぎ見る大きな膨らみはレイカのお胸ではないのか!


「これは夢だ………」

 そう呟くと、レイカは

「夢じゃないよ。大活躍だったよ、勇者カズヤ」

 涙が出るお言葉。もう死んでもいいです! 


 そこに瀕死のポーが戻ってきたので、膝枕も一瞬で終わりだ。

(ご褒美はここまでか……デコチューもないのか)

 小声でぼやくと、聞こえていたミホロが、手を挙げ


「レイカ姫センセー! 変態どすけべカズヤが、デコチューもないのか、とぼやいていまーす」

 ミホロにチクられた僕は焦って

「ええ……それはその……」


 しどろもどろになっていると、先程から険悪な表情のコルベットが

「何を(ほう)けたことを。膝枕だけでも愚民には恐悦至極、喜びのあまり絶命するところだ。そうだ死ね! 」

 そう言って、魔法杖から火炎を放ってくる、主人公で功労者で怪我人の僕にだぞ!


 逃げ回る僕を知り目に、ポーはレイカに

「今回は不甲斐ないことで、申し訳ありません」

「いえ、こうして私を待っていてくれただけでも、嬉しくて」

 ポーの手を握って涙ぐむレイカ、なんかいい雰囲気だ。


 その様子に、僕が妬かんだ表情で情けない顔で焦っていると。ゴンゾーが、にやけながら

「おい、何を焦っている」

「あ……焦ってなど……」


 すると、ゴンゾーは

「わからないか、ポーは宦官だ」

「宦官! 」


「そうでないと、貧困の庶民の若者が王女のそばに、仕えられると思うか」

 確かにそうだ。それで、どことなく中性的な感じがしたのか。そう思うと安心したが、そんなことを思う自分も少し情けない。

 そこに、もうひとり思わぬ奴がやってくる。アラブの商人のような裾の長い服で、やたら財宝を飾りまくっている、派手な奴……


「ハヤセ! 」


 みんなは「よくも、のこのこと出て来られるものだ」と言った、厳しい表情を向ける。レイカも同じだ。

 だけど、僕はハヤセの前に行って


「助かったよハヤセ。礼を言うよ」


 みんな唖然とし、ミホロが

「どうしたのカズヤ、そこまでお人好しなの。敵に寝返った裏切り者だよ」

 他のみんなも、うなずいているけど、僕は笑顔で


「ハヤセは聖剣プレアデスを守ってくれたんだ。ハヤセがいなかったら、プレアデスはサグリンの手中にあって、僕たちは全滅だった」

 そうだったのか、といった表情のみんなに、ハヤセは苦笑いし


「カズヤがそれを言ってくれるとは思わなかったよ。僕が言っても信じてもらえなかったかもしれないしね。そのとおり、聖堂に持っていったのはレプリカで、本物を王宮に戻したんだ。結構、冷汗ものだったよ」


 それを聞いたレイカは、見直して

「そうだったの! ごめんなさいハヤセ君」


 僕はあえて敵に塩を送った。たとえ恋敵でも、厚労ある相手は素直にリスペクトする器量の大きさを見せつける。という、姑息な思いなのだ。


 すると、レイカが思惑通り

「でも、それに気付いたカズヤ君もすごいわ」

 フフフ、やはりここまで引っ張ってきた僕とレイカの信頼は揺るがない。しかも、本来なら糾弾すべき相手を褒める人間の大きさを、見せつけられたはずだ。


 すると、ハヤセは

「それはそうと、レイカ姫は学校で合う話をしてたのに、なぜ戻ってこられなかったのですか。そこで、聖剣を王宮に戻している話をするつもりでしたのに。それで、やむなく、色々画策してオルフェスまで出向いたのです」

 それは、マジか………


 ということは、ハヤセと会っていれば、難なく聖剣を手に入れられたということだ。

 これはまずいぞ………


 それにはレイカも言い返せず

「それは………」

 言い淀み、僕を見るレイカに、ハヤセは「なるほど」といった表情で


「どうせ、どこぞの、ケツの穴の小さいつまらぬ奴の嫉妬心で「会いに行くな」とでも、言われたのではないですか」

 レイカも、真っ赤になった。


 ハヤセは呆れた表情で

「まったく、おかげで苦労させられましたよ……でも、レイカ姫を、はじめ王国が無事で良かったです」


「ごめんなさい」

「いえ、レイカ姫が謝ることはないですよ。どこぞのケツの穴の小さいやつのせいですから」

 そこまで繰り返し言うか、レイカは苦笑いする。


 さらにハヤセは

「王都はまだ混乱していますが、レイカ姫が戻られ、ラムーアを倒し、獣人を虐げていたガイア教も居なくなり、これからはよい王都に復興できるでしょう。わが、ハヤセ商会も全面的にレイカ姫をバックアップします」

「ありがとう、ハヤセ君、やっぱり頼りになるね」

 レイカが笑顔で答える


(ええ……いつのまにか、ハヤセが第一功労者になって、仕切られている……)

 僕が何も言えず呆けて無言でいると。

 ミホロが「何やってるの」って顔で、あきれた表情だ。


 するとレイカが、情けない表情の僕に

「そういえばカズヤ、ご褒美まだだね、それはリアルに戻ってからね」


(ええ! 膝枕がご褒美ではないのか! おお、これは期待できるぞ)

 笑顔になった僕に、みんなが呆れ笑いをしている。


 こうして、僕たちはやっと落ち着ことができた。

 するとミホロが少し寂しげに

「これで一段落だね。長い冒険だったけど、終わり、なんだよね」


 どんな旅でも終わりがあり、そこに別れはつきものだ。でも、終わりがあるから、次の旅を始めることが出来る。そして、新たな出会いがあるたろう。


 冒険は一度しかない人生の極上のスパイスだ。そこに吹く風は心を洗い、奏でる全ての言葉は交響曲になる。

 辛いことも多かったけど


「楽しかったよ。また、皆で冒険をしようぜ! 」


 僕の言葉に、ゴンゾー、ミホロ、ミュール、三平太、コルベット、ルーク、そしてレイカは、笑顔で頷いてくれた。


 その後……

 レイカは、両親の王と王妃に感動の再会を果たした。


 ミュールは王宮騎士団に戻り、シンドボルグと共に王都の復興に尽力するそうだ。


 コルベットは、レイカのそばに居たいようだが修道院も心配で、助けに来てくれたローレシア軍の脳筋イケメンのグランブルと帰って行った。でも、週一で王宮に魔法杖で飛んで来てレイカと雑談している。


 ルークは、お母さんのミランダさんのいる精霊の森に帰った。


 三平太は、なぜかバッグ・パッカーのようになって、修行の旅に出ると言う。まあ、リアルの学校で会えるし、いいけど。


 そして、ゴンゾーとミホロは、僕と一緒に下町で相変わらず、スローライフを送っている。時々ルークが遊びに来て、ミュールがお忍びで酒を飲みに来る。


 こうして、再び平和な世界が訪れ、幽閉剣姫レイカと七人の勇者のミッションをクリアーした。


 しかし、通天回廊の十四の月は、それぞれに物語を秘めて、今も輝いているだろう。


 ストレイン・ワールドには、まだまた未知の世界が広がり、ゲームはコンプリートしていないのだ。

 

(END)


 ………最後に、おまけを少々

お読みいただき、ありがとうございますm(_ _)m

次回で最終回になります。

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