5 聖剣プレアデスの輝
「ドラゴンカズヤ! 立って!」
ミホロの声だ、
「ゲホーー」
でも、僕は情けない声しか出ない。
このまま王宮が瓦礫になるのを、見ているしかないのか。
「カズヤ! 立ってよ! これまでも、カズヤは幾度とない危機を乗り越えたでしょ。スコルピオン戦のとき、ローレシアの戦い、熱水大墓、そして通天回廊、みんなカズヤのおかげで危機を乗り越えたんだよ」
ミホロが両手を握って喚いている。
僕も起き上がろうとするけど「ケホーー」かすれた声しか出ない。
「立ってよカズヤ、そうしないとみんな死んじゃう…………!」
ミホロが声をからし、涙声で叫んだとき。
突然、ミホロは意識を無くしたように朦朧とし、体が黄金に輝きはじめた。
その眩い彩光は神々しく、神の降臨を思わせるような輝き………これは、間違いない!
(ホーリー・ブライト! )
ミホロは意識のないトランス状態で杖を掲げると、僕の体も同じ輝きに包まれる。
(えええーーー! 傷が癒える、力が湧いてくる。すごいぞ! )
体が軽くなり起き上がれる、傷も治り、完全復活で立ち上がった。しかも、めちゃくちゃ気持ちいい。
(ミホロ、助かった! )
ミホロは輝きが消えると気絶し、その場に倒れるのをゴンゾーと、ミュールが抱えた。ゴンゾーは僕を見て「行け! 」と促している。そんなゴンゾー達も回復している。
完全復活した僕は
「ガホーーー! 」
再び声をあげ、ラムーアに突進する。
王宮を破壊するラムーアに横から、猛突進で体当たりすると、さすがにラ・ムーアものけぞった。
再び、ラ・ムーアとドラゴンの壮絶な取っ組み合いが始まる。
あとはレイカを待つだけ、だけど王宮もかなり破壊され、レイカの入った塔も破壊されている。
大丈夫だろうか………心配だけど、人のことを気にしている余裕はない。
◇
その後、取っ組み合いは一時間以上続いた。
ミホロがいなければ、とっくに王宮は壊滅していただろう。
でも、僕もさすがに限界になってきた。
(レイカはまだ、なのか……ミホロは気絶したままだし)
力は圧倒的に、ラ・ムーアの方が上だ、僕は時間稼ぎにしかならない。
次第に押されてくる。
結構時間を稼いだつもりだけど、まだのようだ。
ミホロがせっかく回復してくれたのに、かなりぶん殴られ、失神寸前だ。
めちゃくちゃボコられたあと再び地面に倒れ、ラ・ムーアが倒れた僕を踏んづけて王宮に向かう。
もう、巨人の行く手を塞ぐものはない。
(こんどこそ、ここまでだ………)
そのとき、塔の下からペガサスが躍り出てきた、天翔ける白馬に騎乗する黒髪の剣姫
(もしかして…………もしかして、やっと、キターー! )
ペガサスはラ・ムーアの脇を可憐にすり抜け、倒れている僕のそばを交差して飛び去る。その時レイカが微笑んだ。
「カズヤ! ありがとう! 」
そう、口が言っている。
(やったのか! )
ペガサスは全速力でラ・ムーアとの間合いを取るため、大きくカーブして天空を翔る。
同時にレイカは聖剣プレアデスを抜刀し、ラ・ムーアの正面で対峙すると空中に静止し、狙いをさだめた。
レイカが剣を大きく天に向けて掲げると、刀身が黄金の光彩を纏い始める。先程の剣とは桁違いの光だ・
荘厳なる剣、神の降臨を思わせる輝き!
これが聖剣プレアデス、僕は瀕死の状態だけど、気分は最高だ。
(聖なる斬撃、ホーリー・スラッシュ! これでデカブツもおしまいだ)
なんだか、前にも言ったセリフ。死亡フラグかもしれないけど、なんだか満足だ。
レイカは難敵を睨み、両足でペガサスの脇腹を叩くと、気高き神馬は頭をあげて嘶き、恐れを知らず全速力で巨人に向かっていく!
左手に手綱を握り、右手に輝く剣を掲げ、黒髪をなびかせてラ・ムーアに挑むレイカ。
ペガサスはさらに加速し、矢のように真正面から突き進む。
聖剣の輝きが巨神と交差した瞬間、太陽の爆発を思わせるような閃光!
天空を大きな光が覆い、僕も周囲の民衆達も直視できない凄まじい爆光!
(これが、聖剣プレアデスのホーリー・スラッシュ! すげー! すごすぎる! )
フラッシュバックのような光の中、巨人の体が真っ二つになっている。
大聖堂のサグリンが、目を見開き真っ青になっているのが一瞬見え、すぐに奥に消え去った。
そこまでは見た……また、ここで終わりか。
光の戦士レイカ
やっぱり、カッコイーな、レイカ
そして、いつもように、いいところで僕は気を失った。
お読みいただき、ありがとうございます。




