4−3 王都決戦
「グホーー」
ドラゴンとなった僕は一声叫んで、ラムーアに挑もうとすると。
「カズヤ、あいつを倒したら、とっておきのご褒美だよ! 」
レイカ姫のお言葉………
(ええ! 今のって僕と知ってて、言ってくれたんだよな。リアルの僕にご褒美くれるんだよな! )
こうなったら、死んでもやるしかない!
でも、健全ライトノベルのご褒美は、ヒロインに膝枕され、デコチュー程度で終わってしまうパターンじゃないのか………
人間の本能的な欲求と自我との葛藤、さらににその深層心理に潜む歪んだ愛情を描き、誰もが想像し得ない結末。○川賞も視野に入れた高尚なこの文學小説で、そんな落ちはないよな!
((個人的には、ノクターンへの移行を渇望))
◇ 閑話休題
レイカの言葉で、気持ちだけは活力みなぎった僕は単騎でラムーアに挑んだ。
まずは、下から相手の喉元に、アッパーカットのような強烈な体当たり!
いきなりの奇襲で、ラムーアは地響きとともに尻餅をつくように倒れたが、こっちもダメージを喰らい、反動で城壁の上に吹き飛ばされた。
その時、ふと王宮の外を見ると、街の中が悲惨な状況になっている。
ゴンゾーとミュールは瀕死で、シンドボルグが加勢し、傀儡も残りわずかになっている。あのフィギュアも、ゾンビ状態で戦っていた。
しかし、街中にうじゃうじゃいた数千の魔獣はほとんど一掃されている。彼らだけで倒したとは、すごいとしか言いようがない。
それでも、まだ相当数は残り、多くはゴンゾーやミュール達に集中し危険な状況だ。他にもあちこちで魔獣が散発的に街を襲って、逃げている人が沢山いる。助けに行きたいが、今の僕はラムーアに傾注しないといけない、まったく忸怩たる思いだ。
さらに、ルークのいた塔の展望台が破壊されていた。敵も鬱陶しいスナイパーをいつまでも放っておくはずない。
ルークに何かあったら、お母さんのミランダさんに申し訳ない。でも、機転のきくルークのことだ、上手く逃げているだろう………そう、思うしかない。
そうしてる間もゴンゾー達は、市民を庇って魔獣と応戦しているが、レイカが戻るまで、とても持ちそうにない。
僕は、たまらず助けに行こうとすると、ラ・ムーアが起き上がる。
(ゴンゾーごめん! }
胸が締め付けられる思いでラムーアに向かったが、見ると、ゴンゾーが怪物に斬られている。これは、さすがにやばい。
(神様ーー! )
祈るしかない
そのとき
----王都の外から、歓声が聞こえる----
----聞き覚えのある歓声----
突然、王都の門にいる魔獣を蹴散らして騎馬隊が乱入してきた。
魔獣を蹴散らし、津波のように王都の中に進撃してくる、その勇壮な騎馬隊の掲げる見覚えある御旗は………
「ローレシア! 」
涙が出てきそうだ。
ローレシアは自国の復興もまだだろうに、救援に来たのだろう。
そして、先頭に立つ甲冑の騎士は、脳筋イケメンのグランブル。でも、今だけはカッコよく見えるぞ。
なんとか、ゴンゾー……というより、ミュールのところにたどり着いたのが見えた。
◇
とりあえず胸を撫でおろしたか、人のことをかまっている暇ではない、ラ・ムーアがこれまでにない勢いで王宮に近づいてくる。
(なんとしても、レイカのフォーリー・スラッシュの発動まで王宮を守り抜かなくては)
ヘロヘロで怖いけど、僕はラ・ムーアに向かっていく。
巨人ラムーアとドラゴンの壮絶な取っ組みあいの死闘………だけど、体の大きさも力も、ラ・ムーアのほうが上手だ。炎を吐いても魔力が減っているので威力が低く、容赦なく殴り飛ばされる。
地面に投げ飛ばされると、ドラゴンも大きいので数軒の家が崩れ、家の人には本当に申し訳ない。
半分失神状態で、壊れた家を下敷きに倒れていると
「頑張れドラゴン! 」
「まけるな」
みると、民衆が僕を応援してくれる。怪我をしている人も多いのに僕を励ましてくれる。
ゴンゾーやシンドボルグ、傀儡の軍団、ローレシアの騎馬隊達も、民衆を守って懸命に戦っている、
(僕も頑張らないと)
かろうじてだけど、今の王都でラ・ムーアに立ち向かえるのは僕だけなのだ。
再びラ・ムーアに突進しようとしたけど僕も限界だ。体は傷だらけ、目が霞み正直つらい。
その時、目の前にラムーアの拳が迫ってきた。
「ゲホガーーー! 」
一瞬、視界が真っ暗になり、痛恨の一撃をくらってしまった。
体がしびれて動かない。
ノックアウトされ地面に倒れたボロボロのドラゴン、民衆から悲鳴があがる。
吹き飛ばされ、動けない僕を横目にラ・ムーアは王宮を破壊し始めた。
(まだ、三十分も耐えていない。レイカが戻るには、まだ一時間以上必要だけど、もう限界だ。情けない……)
王宮が容赦なく破壊されていく。でも、体が動かない、息もするのが、やっとだ。
(くっそー、動け! )
立ち上がれない………涙がでてくる。
お読みいただき、ありがとうございます。




