4-1 王都決戦
僕は、首の後ろにまたがるレイカを乗せたまま、王宮に迫るラ・ムーアに向かった。
レイカはラ・ムーアを凝視して。
「カズヤ! フレアーを放って動きを止めて近づいて、そこでホーリー・スラッシュを撃つ」
「ぐほーーー!(わかったーーーー)」
聖剣プレアデスなしでの、ホーリースラッシュは心もとないが、とにかく今の最大威力の技だ。
レイカを乗せた僕は一声叫んで、ラ・ムーアの正面からドラゴンフレアーを放った。
巨人は一瞬たじろぐ程度で、しっかり踏ん張って立っている。
かまわずホーリースラッシュを討ち込む間合いに肉薄するため、僕はフレアーを連発して突っ込んだ。
その間にレイカは、腰にたてがみを結んで僕の頭の上に立って剣を抜く。
次第にラ・ムーアの巨体が眼前に迫ってくる。
ほとんど特攻隊だ、正直むちゃくちゃ怖い。
周りの王宮や、王都の民がラ・ムーアに突撃するドラゴンの僕たちを刮目している。もう、やけくそだ!
レイカの掲げる剣先が黄金の光を発すると、ドラゴンの体全体を包み込み光の塊となって、ラ・ムーアに襲いかかる。
「テェーーーイ! 」
レイカが気合を入れて、巨大な光の剣を振り下ろすと、次の瞬間、太陽のような光の暴発!
一瞬、王都全体がフラッシュに覆われた。
地上で戦っているゴンゾーやミュール、周りの者たちもその太陽を思わせる発光に、手をかざして振り仰ぐ。
「あれが、ホーリー・スラッシュ……凄まじい」
ミュールは言葉がない
「エクスプローションのような範囲攻撃とは違う、剣特有の一点破壊の威力としては、比類ない」
ゴンゾーも初めて見るホーリースラッシュに震える声でつぶやく。
光とともに発生した爆炎が次第に消え去ると、ドラゴンの僕はラムーアと交差して上昇する。
振り返るとラ・ムーアを袈裟懸けに切り裂いていた。あの巨人に、初めて効果的なダメージを与えたと言える。
巨体がぐらつき、片膝をついて倒れ始めた。
「やったぞ! 」
誰もがそう思った………
だが、まだ立っている。
巨人はゆらりと立ち上がると、徐々に傷口が再生していく。
(マジか……)
皆な青ざめた。
「だめか……」
レイカは苦渋の表情だ、連続して放つことができれば仕留められただろう。しかし、もう一回発動するMPのチャージにかなり時間が必要だ。
その間に間違いなく再生する。
「やはり、プレアデスの剣がないと……」
これ以上戦って勝てる見込みはなくなった。
もう他に手はない、その間もラムーアの傷が回復していくが、他にダメージを与える強力な攻撃はない。
僕のフレアーも、さっき全力で撃ち放ったので、しばらく使えない。だいたい、僕のフレアーでは足止め程度しかできない。
あとは、コルベットだけど
王宮を守るコルベットは、後ろで疲弊している王宮騎士団をみて
「不甲斐ないこいつらなど、ほっといて姫に加勢しておくべきだったか」
ニガニガしく言う。
しかし、コルベットが守っていなければ、今頃王宮は壊滅していた。
とにかく、早く次の攻撃をしなければならない、見る間にラ・ムーアは再生する。
「カズヤ……どうしよう、もう成すすべがない」
いつも強気のレイカが弱音をはいた。
見るとレイカは肩で息をしている、ホーリー・スラッシュは自身もかなり疲弊するのだろう。しかし、決定的な手はない。
やるとすれば、もう一回ホーリー・スラッシュを撃つまでの時間稼ぎ。といっても、今のホーリー・スラッシュの一撃で仕留められないとなれば、次を放ってもだめなのは明白だ。
その間、敵はのんびり待っていてはくれないだろう。
それに、僕の体力も結構きてるので、レイカのチャージが貯まるまでなんて、とてももたない。
どうする……万事休すだ。
考えろ!
ドラゴンの脳みそは恐竜と違い人間より大きい、ミノタウロスのときより思考は冴えている、いや人間の時よりも冴えている気もする。
考えろ!
なにか、突破口があるはずだ。
だめもとでも……
ラ・ムーアが立ち上がる。
もう、数分で完全復活だ。
戦いの当初から大聖堂の上段で高みの見物をしているやつが、時々視界の隅に入る。
サグリンだ、背後にハヤセもいる。
サグリンは勝ち誇った表情で、笑いながらこちらを見ている。横にはぐったりしたポーを、見せつけていたが……
カーズがいない。
カーズが他の場所ということは、ここでサグリンを討ってもカーズが生き延びればラムーアの攻撃は続く。そのことも考えて戦いの場から離れているのだろうか……いやそれだけではないだろう、なにか悪い予感がする。
うかつに、攻撃してもこちらの体力を削がれるだけだ。
大聖堂では、相変わらずサグリンがふてぶてしく笑っている。ハヤセも髙見の見物だ、コノヤローと言いたい………が
ハヤセはサグリンの後ろで、なぜか苦虫を噛みつぶしたような表情だ。
なぜ、そんな顔をしている。
改めて見ると………
「気づけ、馬鹿野郎! 」
と言っているように見える………
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