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2 救世主の到来

 僕は再びドラゴンになって王都に向かうが、聖剣プレアデスを確保できなかったのは計算外だった。

 レイカのホーリー・スラッシュの威力は絶大だが、以前、通天回廊のラスボスを一撃で瀕死に追い込んだものの、(とど)めまで刺せていない。


 ラ・ムーアは間違いなく通天回廊のラスボスよりも強い、今のレイカが持っているミスリルソードでは心許(こころもと)ないが、レイカは二百年ぶりに帰って来て瀕死の王都を前に、立ち止まることはできない。


 言葉少ないレイカ………

(だいたい、ハヤセがなんとか出来なかったのか。こんなことしていたらリアルの麗華に嫌われるぞ)

 と思うが………


”麗華が早瀬を嫌う”


(これはこれで、悪い展開ではないぞ、ムフフ………)と、自分のことしか考えない、ケツの穴の小さい僕だった。


 王都が見えてくると、いたるところで煙が上がり、その上空で餌に群がるカラスの群れのように、魔獣が飛び回っている。


 レイカが叫ぶように

「王都の空に魔獣がいる! カズヤ、フレアーであの魔獣を一掃して」

「グホーーーー」

 一声叫んで強烈なフレアーを発すると、王都の上空を一線の炎の帯が貫き、左右に連続噴射して上空の魔獣を一掃した。

 あい変わらず、凄まじい威力だ。


 王都の上空に入ると、破壊された街の中を魔獣に追われ逃げ惑う人々が見える。さらに、王都の中心の王宮ではラ・ムーアが外壁を破壊し、今にも中に入ろうとしている。


「マジですか! めちゃくちゃ大きい。冗談でしょ」

 ミホロが叫ぶと、ゴンゾーが唸るように

「高さ100mくらい、あるんじゃないか」

 

「カズヤ、ラ・ムーアにもフレアーを放って! このままだと、王宮に入られる」

 レイカの指示で、ドラゴンの僕はラ・ムーアに向けてフレアを放つと、その火炎の帯はラ・ムーアに命中して巨大怪物ラムーアは後ろに倒れ、なんとか侵入するのを阻止できた。


 でも、倒れただけで、さほど効いていないようだ。

 僕のフレアーで倒せないなんて、これではコルベットのエクスプローションでも難しい。あとは、レイカのホーリー・スラッシュしかない………


 そのまま王宮の横を通過すると、城壁の上の騎士達が僕たちを見ている。みんな、ボロボロで、レイカが手を振ると、騎士たちも手を振ってくれた。

 さらに、王宮内には人がいっぱいだ、(かくま)っていたのだろう。それより悲惨なのは、王宮の外で逃げ惑う人達だ、魔獣が容赦なく襲いかかっている。


「なんてこと! 」

 レイカが悲痛な声で叫ぶ。ミュールも剣を握りしめ、今にも飛び出しそうだ。


 すると、背中に乗っているコルベットが

「王宮は結界を張っていたようだが、魔導士が疲弊して結界が機能していない。このままだと、魔獣やラ・ムーアが侵入する。私が宮殿を守るので、姫はその間にラ・ム―アを相手にしてください」

 レイカはうなずいて

「わかりました。お願いします」


 すぐに、コルベットが魔法杖に乗ろうとすると、ルークが寄ってきて

「コルベットさん、僕をあの王宮の一番高い塔の物見櫓に連れて行ってください、あそこなら王都を一望できそうです」

 王宮の中央にある、ひときわ高い塔は王都やその外からも見えるシンボルみたいなもので、ルークはそこから王都の魔獣を狙撃するつもりだ。

 いいぞ! ルークなら、王都全体が射程圏内だ。


 コルベットが にやりと笑い

「そうだ、ルークこれを持て」そう言ってアイテムの中から、金の装飾の矢筒を渡した。

「これは、魔力が尽きるまで無限に矢が出てくる矢筒だ、しかも矢は摩滅の矢で魔獣に絶大な威力がある」


 ルークは驚いた表情で受け取ると

「ありがとうございます! 」

 満面の笑顔で受け取ったルークを、コルベットは魔法杖の後ろに乗せ、塔に向かって飛んで行った。


 ルークは配置につくと、三平太に強化してもらった銀の弓ウインチェスターを構え、矢をつがえると王宮の外にいる魔獣に狙いを定める。

 その後ルークは、民衆を襲う魔獣を次々と撃ち抜いた。


 街の中では魔獣に襲われ、命乞いをする人、子供を抱えてうずくまる母親、もうダメだと思ったとき、突然怪物が倒れる。何が起こったのか分からず、一瞬呆然としたあと、倒れた魔獣の背中に摩滅の矢が刺さっていた。


 助かった民衆が周りを見るが、その矢を誰が、どこから射ったのか、わからないようだ。

 まさか、遥か彼方の霞むほどしか見えない王宮の塔から射ってきたとは、だれも想像しないだろう。


 一方王宮は、ラ・ムーアの攻撃で外壁が半分以上壊され、数百人の魔導師で防御結界を維持しているが、ほとんど機能せず、魔獣の侵入をやすやすと許し無防備な状態となっている。

 そこに、ラ・ムーアが起き上がって、再び王宮へ侵入しようとする。


 迫りくるラ・ムーアを前に、魔法杖に腰掛けた魔女が飛来し城壁の上に降り立った。

 銀の刺繍をあしらった白のローブが(ひるがえ)り、美脚を惜しげなく露出し、豊満な胸と、緋色の髪を風になびかせ、重厚な魔法杖ゾディアック・ソウルを手にする姿は神々しい女神の降臨のようだ。

 衆目は見上げるというより見惚れている。その姿を見た騎士や魔導士、さらに下でひしめいている民衆達は息をのみ


「まさか……大魔法使い、コルベット……」

 全員呆然としている。噂に聞くまさかの大魔法使いの参戦だ。

 コルベットは余裕の表情で、シンドボルグ達の前にくると

「よくぞ、王宮の陥落を阻止した忠義の兵たちよ。あとは、まかせておけ」そう言ったあと、ゾディアック・ソウルを掲げ

「みな、下がっておれ! 」


 コルベットの力強い言葉に、涙しているものも多い。

 詠唱を始めると周囲に光が乱舞し、それは王宮全体を覆い尽くす。


 その規模に全員、言葉がない。

 コルベットは一人、城壁の高台に立ち、王宮全体に結界の魔法を張り巡らした。魔導士数百人の防御結界より遥かに強力だ。

 これで、空からの魔獣は侵入できず、ラ・ムーアの侵入も跳ね返している。

 王宮の者たちは、その威力に唖然としている。

 

 シンドボルグはフラつきながら

「ありがとうございます。おかげで助かりました」

 コルベットは振り返り

「私はレイカ姫の命令で来ただけだ」

「やはり、レイカ姫……大魔法使いまで傘下に加えるとは、さすがだ」レイカの名にシンドボルグは思わず声が震える。


 その間もラ・ムーはコルベットの強力な結界を突破しようと攻撃する。

 しかし、さすがのコルベットも、ラ・ムーア相手では王宮を守るのが精一杯のようで、攻撃する魔法まで使えないようだ。


 かろうじて王宮は持ちこたえているにすぎず、桁違いの怪物ラ・ムーアに対しコルベットの結界もそう、長くは持たないだろう。



お読みいただき、ありがとうございますm(_ _)m

次の投稿はお盆あけにしたいと思います。

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