1. オルフェスへ
再び、カズヤ目線で最終章に入ります。
最終決戦を前に、僕の背中に乗っている仲間達の今のレベル、そして持っている武器などを確認しておこう。
♡ 剣士_レイカ[Lv14] 17才?:ミスリルソード
♡ 剣士_ミュール[Lv93] 18才: 聖剣ジャスティスプレヤー
♂ 格闘士_ゴンゾー:[Lv87] 30才: グラン・トマホーク
♡ 黒魔導師_コルベット[Lv100ovr] 24才: 魔法杖ゾディアックソウル
♡ 白魔導師_ミホロ[Lv84] 14才: バオバブの魔法杖
♂ 弓使い_ルーク[Lv90] 15才: 白銀の弓・ウインチェスター
♂ 傀儡士_三平太[レベル85] 17才 : 等身大美少女フィギュア2体
♂ 剣士(召喚獣)_カズヤ[Lv16] 17才 : バッタ物の中古レイピア
ということで、通天回廊から僕 (カズヤ)はドラゴンになって、エクアドルに戻ってきたのだ。
1. オルフェスへ
ドラゴンの僕は徹夜で海を越え、目指すエクアドル大陸を見定めた。
さらに大陸に近づくと港が見えてきたが、街は騒然としている。
「港の上にガーゴイルが群れている」
レイカが指差して叫ぶように言う。
見ると、港の上空に鳥の群れのように、魔獣が近づいている。
「カズヤ、フレアーを放って! 」
僕は、うなずいて口を大きく開いて炎を放つと、強烈な火炎のブレスが眼前から放出される。
それは、港の上に群れている魔獣に命中し、魔獣達が一瞬にして消え去った。
改めて、強烈な一撃に僕自身も怖くなる。
そのまま、港の上を滑空すると、港に大勢の人がひしめき合っている。多分、王都などから逃げてきたのだろう。
すると、港の人達が僕たちに手をふったり、万歳したりして飛び上がって叫んでいる。
もしかして………これは、僕たちが救世主、ヒーローの登場なのかも。
なんて、浮かれているときではない。
王都の方向では、いくつもの黒煙があがっているのが見える。ラ・ムーアが復活し魔獣たちが暴れているのだろう。
急がなくては!
◇
このまま僕は王都に向かおうとしたが
「カズヤ! オルフェス山に急いで!」
そうなのだ、レイカはプレアデスの聖剣を装備しないといけない。
レイカに言われ、はやる気持ちを抑えて進路を東にそらし、オルフェス山に向かった。
波のようにうねる緑の丘陵地の中に、小さな小山が見えてきた。
そこに、ポーの家があるのだが………様子がおかしい。
着地すると、ポーはおろか誰もいない。さらにプレアデスの剣の刺さった岩もなくなっている。
「どうしたの………荒らされた感じでもないし」
レイカが焦るように周りを探す。僕も人間にもどされ、皆で家の中や周りを探したが、何も見つからない。
「ガイア教に連れ去られたのだろう」ゴンゾーがうなるように言いながら、剣の刺さっていた岩のところに行くと
「剣の刺さっていた岩の一部が切り出された感じだ。どこかに持ち去ったのだろう」
僕もうなずいて
「誰かが切り出して持ち運んだのか、それともポーが移したのか」
できれば後者であってほしいが……
そこに、人影が
◇
ミホロがその人影を見ると、叫ぶように
「この人、ギルドにいた! 」
いけすかないイケメン、とまでは言わない。
アラブの商人のような着物を着たハヤセが立っている。
ハヤセは近づいてくると
「これは、白鳥さん……ではなく、レイカ姫。カズヤまでいたのか」
さらにハヤセは、僕の後ろのメンバーを見て
「ほほー、大魔法使いコルベットまでいるのですか。それに、皆さんのレベルも相当なもので。ギルドで会ったときとはだいぶ違いますね。でも、カズヤは相変わらずだな」
なんか、嫌味たらしい。ほっといてくれ。
しかし、ハヤセはこれだけのメンバーなのに、さほど驚きもしない、全て知っていたかのような口ぶりだ。
レイカは、この状況でハヤセが出てくることに警戒し
「ハヤセくん。いったいこれは」
「剣のことですね。実はサグリンに岩ごと奪われたのです」
「剣もだけど、ポーは」
レイカは心配そうに聞くと、ハヤセは周りを気にしながら
「ご心配なさらず、ポーさんは、大聖堂でかくまっています」
かくまっているというが、実際は拘束したのだろう。レイカは続けて
「ラ・ムーアが復活していると聞いています。王都はどうなっているの」
「お察しの通りと思いますが、ラ・ムーアが復活し王都は大変なことになっています。それと、聖剣は宝物庫ですが……」
そのとき
「そこまでです! ハヤセ」
さらに、もうひとり出てくる。それは忘れもしない、忌々しい魔道士
「カーズ! 」
全員に緊張が走り、武器を手にした。
特にコルベットの表情が鬼のようになる。修道女を虐殺した相手だ。
一瞬のにらみ合いのあと、カーズはニヤリと笑い
「まってください。今、私をやると……」
さらに背後から、数人のガイア教の僧兵が、後ろ手に縛られた男を突き出した。
「ポー! 」
レイカが、叫ぶように言う。
相変わらず、色白で女性的な雰囲気だけど、以前よりかなり、やつれている。
カーズは、ポーの横に立つと
「さすがに、今のあなた達に私が勝つ見込みはありません。人質でもいないと、うかつに出てこられませんよ」
すると、蒼白な顔のポーが弱々しい声で
「姫様……申し訳、ありません」
「ポー」
変わり果てたポーに、レイカは涙目で、拳を握って震えている。八つ裂きにしたい気分だろう。
レイカは、ハヤセに向かい
「ハヤセくん! どうして」
するとハヤセは自分は関係ない、と言った白けた表情で
「いやーすみません。最近の王宮の没落や腐敗がひどいもので、ハヤセ商会もガイア教につくしかなかったのです」
王宮がそんな状況とは知らなかった。
だとすれば、ハヤセの行動もわからないでもない。やつは、商人なのだ、政治、義理や恩情で動くこともない。
しかし、友達ではないのか、レイカ狙いではないのか……それとも全て打算なのか。
すると、カーズは
「さあ、早くもどるぞ。確かにハヤセの言う通り、こいつらが、戻ってきたことは確認した。これ以上ここにいる必要はない」
どうやら、僕たちの存在を確認するためのようだ。しかも、ハヤセが提案したようだ。
さすがに、僕も黙っていられず。
「おいハヤセ、お前はどっちの味方だ」
「まあ、ゲームでのこと、どうでもいいじゃないですか。それより、私はカーズに、ここで待ち伏せしないように進言しておいたのですよ。とにかく、ラ・ムーアには聖剣がなければ敵いません。その聖剣も、みなさんが聖堂に行ったところで見つかりません。逃げることをお勧めします」
そう言われて、逃げられるはずはない。王都には両親や家臣、そして民衆がいるのだ。
「ハヤセくん……」
レイカは怒るというより、裏切られたといった悲しげな表情だ。
「それと、レイカ姫、再度言いますがこれはあくまでゲームです。リアルにまで、敵対感情を持ち込まないでくださいね。それと、くどいようですが、大聖堂に剣を奪いにくるような、馬鹿な真似はされないほうがよいですよ。大聖堂で聖剣のある宝物庫は、絶対にわかりませんから」
一応、忠告のつもりだろう。
カーズは
「いらぬ、ことを言うな」
「これはすみません、絶体絶命の主人公に ”冥土の土産に教えてやろう”ってやつですよ」
とぼけるように言う。
◇
そのあと、カーズとハヤセはポーを連れて、移動魔法陣で去っていくのを苦々しく見ているしかない。
「やっぱりあいつ、嫌な奴。待ち伏せしなかったのは自分のおかげだなんて、恩着せがましい! きっと、私達の力量を見極めておこうと思っただけだよ」
ミホロが、魔法杖を握りしめて毒づいた。
言葉少ないレイカは、王都の方で立ち上る黒煙を見つめ
「急ぎましょう」
ここで考え込んでいる暇もない。
お読みいただき、ありがとうございます。




