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現世に転移している異世界の剣姫に、僕は召喚獣として呼びだされた〜  作者: 猫ノあすき
第六章 魔神復活(王都の惨劇)
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3 聖剣プレアデス

 翌日、ハヤセJrは聖剣プレアデスを破壊、もしくは持ち帰るため、兵隊や石切職人を連れてオルフェス山の麓にあるポーの所に向かった。


 オルフェス山は、緩やかな緑の丘陵地の中にポツリと突出する、花崗岩の白い岩肌が露出した小高い岩山で。かつて、その山頂でレイカは秘術「次元断層」を撃ち放った。

 ハヤセは、その山を見上げながら、ポーの居るあばら屋に向かった。以前、剣を抜こうとして抜けなかったとき以来、数年ぶりだ。

 しかし、ポーの住居につくと。


「ポーがいない……」


 ハヤセは周りを探したが、人の気配がない。

 族にでも襲われたのだろうか。にしては、荒らされた形跡はなく、食器などが出しっぱなしで、準備して出ていったのではなく、突然拐われたか、連行されたような感じだ。


 そして、プレアデスの聖剣は、岩に突き刺さったまま残っている。

(以前ポーは、聖剣に布をかぶせて大切に養生していたが、抜身で野ざらしのまま刺さっている。それに、なぜポーがいない)


 連れ去られたとすれば、ガイア教の可能性が高い。

(だとすれば、間違いなくカーズだろう。聖剣プレアデスのことも知っているとなれば)


 ハヤセは、周辺を注意深く探りながら、不可解に思っていると、まずは兵隊が作業を始めた。 

 大きな鉄のハンマーで剣を砕こうとする。


(まあ、無理だろうな)

 ハヤセは、そう思いながら眺めていると。 

 兵隊が容赦なく巨大な鉄のハンマーを撃ちつけるが、逆に跳ね返されて、後ろに吹き飛ぶように倒れた。


 その後、他の者に代っても同じで、剣を破壊するこができない。兵隊は、両手を横に広げて「だめです」と言った表情をハヤセに向けた。

 なんらかの、術式が施されているのだろう。これは、想定内のことだ。


 ハヤセはうなずくと、石切職人が大きなノミとハンマーで聖剣の周りの岩に亀裂を入れて砕き始めた。

 その後、2日がかりで、プレアデスの刺さった岩を切り出し。岩ごと荷馬車に乗せて王都に向かった。


 王都に着いたハヤセは、サグリンとカーズに疑われないよう、あえて岩に刺さった聖剣プレアデスを見せて、聖堂の地下に運び込むことにした。


 サグリンとカーズの前で少し緊張しながら、被せていた布を取ると、サグリンは初めて見る聖剣を眺め始めた。カーズはすでに聖剣を見ているはずなので、ハヤセはカーズに話しかけた。

「オルフェス山に、ポーがいなかったのだが。なにか知らないか」

 明らかに疑っている口調で聞くと


「まあ、お察しのとおりですよ」

「……殺したのか」

「いえ、いざという時に、まだ使いみちはあるので、とっておいてますよ」

 ハヤセは少し皮肉を込めて


「……抜け目のないことで」

 そう言うとすぐに「それでは、聖剣は地下に持っていきます」

 さっさと剣に布をかぶせ、地下に運んで行った。


 聖剣を地下に置いたあと、ハヤセはそのまま地下牢に行ってみた。

 だいたい教会に地下牢がある事自体おかしい、まともな宗教ではないことが伺える。暗く、ジメジメした石積みの牢獄の奥にポーはいた。


 かなりやつれ、腕や体は傷だらけで、髭のない面長の白い顔は、目がくぼみ青あざが痛々しく、死人のような虚ろな表情で動かない。

(拷問だけでなく、自白の魔法もかけられただろう。レイカ姫が見たら、卒倒するだろうな)


 声をかけても返事がない、というより自分がハヤセと知って、無視しているように見える。  

 しばらく粘ったが、完全にシカトされ拉致があがず(まあ、ガイアに(くみ)している者に話しなどないのだろう)

 仕方なくその場を立ち去った。


「とりあえず、リアルで麗華にこの一連のことを伝えないと……夏休みの登校日に会う約束もしているし」

 そう考え、そのままログアウトした。


 リアルに戻って数日後、麗華と会う約束をしていた登校日に生徒会室に来てみたが。


「白鳥さんは休みなのか」

「はい、家族と海外旅行だそうですよ」

 女生徒が羨ましそうに言う。


 早瀬は愕然とした。

(おそらく旅行ではないだろう)

 さらに、それとなく和也のことを探ると、和也も休んでいる。こちらは、理由までわからないが、偶然ではないだろう。


 ハヤセは歯噛みする思いだ。

 聖剣が奪われたことのほか、大事なことを伝えられない。


(こうなったら、どうしようもない。残念ながらレイカ姫、そしてエクアドル王室は見捨てるしかない。俺も、今やハヤセ商会の会長として、数千人規模になった商会を維持する義務がある。会員達の家族のこともあるのだ……麗華………いい女だったのにな。まあ、仕方ない)


 ため息をついて、再びストレイン・ワールドの世界に戻って行った。

 ラ・ムーアの復活は目前だ。


 

お読みいただき、ありがとうございます。

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