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現世に転移している異世界の剣姫に、僕は召喚獣として呼びだされた〜  作者: 猫ノあすき
第五章 突破せよ通天回廊
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7-6 通天回廊 突破せよ! (END)

 中に入ると薄暗い、テニスコートほどの狭い部屋。

 その部屋の中にある一段高い四角のフィールドの端に、ずらりと並ぶ等身大の武士達……の人形。

 これまでの階層と違い、かび臭く、歩くと(ほこり)の舞う、不気味な宝物庫のような部屋だ。

 

 フィールドの正面奥には、大王のような武将、その左右に金の鎧を着た二人の武将、さらにその両隣に銀の鎧を着た武将、さらに横には騎兵、さらに横には、槍を持った歩兵………そして、床を見ると格子の線が描かれている。


 よく考えれば、ここはゲームの世界なのだ!


 僕は横のレイカに

「レイカ、この状況で突っ込んでいったの」

「だって。いつ攻めてくるかわからないし、先手必勝と思って」

 僕は腕を組んで

「どうみたって、これ将棋だよ。多分リアル将棋だ」


「将棋! 」

 レイカは、そういえば、といった表情で「だって、私、将棋したことないし」

 少し、赤くなって言い訳する。


 横からゴンゾーが

「飛車角と歩がないな」

「こちらは八人、人数を合わせてくれているのだろうか。とにかく、配置についてみないか」

「おもしろい」

 ゴンゾーがニヤリと笑う。


 女性達とルークは全くわからないようだ。

 そこで、僕とゴンゾーで相談した配置についてもらった。


 玉、ミホロ

 金、コルベット

 金、三平太

 銀、ゴンゾー

 銀、ミュール

 桂馬、ミノタウロス(僕)

 桂馬、レイカ

 香車、ルーク


 動きが早く左右の移動もある桂馬を切り込みとして、ミノタウロスとなった僕とレイカを配置し、後方をミホロたちにして前面に出ないようにした。


 相手も配置につく。

 ご丁寧に、香車の一人は消えた。


 さあ、戦闘開始だ!


 歩や飛車角もない変則将棋なので、先手でレイカが3七桂馬、そのあとミノタウロスの僕が7七桂馬と、とにかく飛び出す。相手は守りを固めている。


 そのあと、わけのわからないレイカが、6五桂馬と、盤面中央に突出した、

 そのとき相手の桂馬の騎兵も上がっていて、そこにいるレイカに突っ込んで同桂馬!

 つまり殺られる。

(あわわ! レイカだめだ! )


 レイカはルールを全くわかっていない。

 騎馬がレイカに襲いかかる………が

 突っ込んできた騎兵をレイカは叩き切ってしまった。


(ええ! そんなのあり! )


 レイカは、剣を振り。

「あたり前です、強いほうが勝つのです」 

 レイカは涼しい表情で「でも、1体だけでは、たいしたことないな。次は私の番だ」


 そう言って、いきなりレイカは突っ込む。

 結局動いているのは、僕とレイカだけだ。

 レイカは、勝手に5三に上がって、そこにいた銀を袈裟がけに切り裂くと、真正面に王の前に守る金の武者が睨んでいる。


 そのとき、レイカの体が光り、体に金の鎧が着込まれた。

「カズヤ、どうしたの」

 レイカは、自分の体を見て驚いている。

 ミノタウロスの僕はしゃべれないので、後ろにいるゴンゾーが


「成金です。相手の陣地に入ったので金になったのです」

「そうか! なんか強くなった気がする」レイカは、剣を素振りして意気揚々で

「よし! 次も私でいくぞ! 」

 なんだか、うれし楽しそうだ。


 そして、目の前の金を倒して

「王手! 」


 王の真正面に対峙した、頭金なので相手の王は逃げられない。レイカは不敵な笑みを浮かべて大将を睨み、今にも切り掛かりそうだ。


 そこに、王の横に守っている金が、レイカに挑むが、一刀両断! 

 これで敵は万事休す「(つみ)!」だ。


 なんか、めちゃくちゃだ。

 レイカが最後に王将に襲いかかろうとすると。


「まいりました! 」


 王将が頭を下げて降参した。レイカは振り上げた剣を収めるしかない。

「どうしたの」


 出番のない、退屈そうなゴンゾーが後ろから

「投了です。相手が負けをみとめたのです」

「ええーー、そうなの。もう終わり」

 あっけない幕切れ、他のみんなは暇そうに座り込んで、ミホロは半分寝ている。


 意気揚々のレイカは不服そうで、もっとやりたい、って感じだ。

 ミュールも拍子抜けと言った感じで、ホーリー・スラッシュが見られず、少しがっかりしているようだ。


 その後、降参した王将が頭をあげると。

「どうぞ、こちらへ」

 そう言って、盤面を下がり、部屋の奥の扉の前に立つ。


 僕たちも揃って付いていくと、レイカが少し緊張して。

「このさきがもしかして」


「さよう、勝者の聖座(みくら)である。コンプリートであーる」


「コンプリート……」 

 レイカの目に涙が浮かび上がる。

 この二百年、この時を目指して耐えてきたのだ。


 レイカが振り向くとみんな笑顔だ、コルベットも涙ぐんでいる。

 僕はミノタウロスのままなので「ウッホ、ウッホ」と斧をかざして喜んだ。

 レイカは僕を人間に戻すのを忘れているのだが、気づいて人間に戻してくれた。


 さらに、ここで、みんなのステータスが、かなり上がった。

 それは、桁違いの上がり方で、ボーナスゲームだったのかも知れない。


 みんな、思い思いにレベルやスキルを上げる、ミュール、ゴンゾー、ルークはレベル90、コルベットは数種類の大魔法を習得し、ミホロは不服ながらも聖母なみの白魔導士となり、三平太は数百体の傀儡を操れる死軍のスキルを会得した。どれも、チートレベルだ。


 レイカは相変わらずレベルを上げず、ゴールドに替えている。

 ちなみに、ミノタウロスだった僕はレベルマックスなので何も起こらない。召喚獣だからなようで、ちょっと残念だけど、ドラゴンになれたし、まあいいか。


 その後、レイカは皆に促されて開いた扉に向かうと、奥に階段があり、僕たちはその階段をあがる。

 振り返ると、さきほどの王将が、深く頭をさげ、静かに扉を閉めた。


 淡いろうそくの灯に照らされた、螺旋階段を登りつめ、最後の扉を開ける。

 いよいよ、感動の通天回廊の制覇(コンプリート)

 僕たちは扉の外に出て、通天回廊の頂点に立った…………が!


 全員、思わぬ状況に蒼白な表情で

「そんな、うそでしょ」


「マシですか……」 


「何かの間違いだろう」


 それが、僕達がやっとの思いで、たどり着いた頂点での第一声だった。


お読みいただき、ありがとうございますm(_ _)m

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