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現世に転移している異世界の剣姫に、僕は召喚獣として呼びだされた〜  作者: 猫ノあすき
第五章 突破せよ通天回廊
76/100

6 スワンヒルをあとに、

 翌朝、準備を整え聖堂の前に整列した。

 魔神ラ・ムーアの復活でエクアドルが危機なので、とにかく急がないといけない。

 ここで、皆のステータスを確認しておくと。


・カズヤ:剣士 Lv15 ※召喚獣 Lv60

・ミホロ:魔道士 Lv60

・ゴンゾー:剣士 Lv70

・ミュール:剣士 Lv90

・三平太:技工士 Lv80 ※傀儡 Lv60

・ルーク:アーチャー Lv90

・コルベット:魔道士 Lv100以上

・レイカ:剣士 Lv 15

(敬称略、パーティー加入順)


 といった状況だけど、Lvは主に体力、魔力、俊敏性などの基礎指標で、基本的にこれが強さと言っていいけど、まれにレイカのように、Lvを上げなくても強い場合がある。

 こうした場合、剣の破壊力が低く防具なしで戦うようなもので、それを補うには相当の熟練度が必要だ。

 もって生まれた才能に、二百年技を磨き上げた剣技のたまものだろう。もし、これでレイカがLvを上げたら……ほんと、恐ろしい。


 聖堂の前で集まった僕たちの前で、レイカはあらためて。

「それではみなさんのパティーに入れていただきます。よろしくお願いします」

  深く頭を下げるレイカは、昨夜のことは何もなかったように普段どおりだ。


 いい機会なので僕は

「それじゃあ、これからはレイカがリーダーということで」

 これまで、いろいろパーティーに入っては辞めてきたが、リーダーは精悍な奴らばかりだった。ここはどうみてもレイカのリーダ―が妥当だし、僕も気が楽だ。

 すると、レイカは腰に手をあて


「何を言ってるの、ここに来た七人は、カズヤの仲間でしょ。そして、カズヤをリーダーでここまで来た。ここで私がリーダーの座を乗っとるわけにいかないでしょ」


「ええ! 僕はリーダーというより添乗員的なもので、皆はレイカを助けるために来たのです。レイカがリーダに決まってるよな」

 そう言って、みんなに振り向くと、皆はなぜか、唖然としている。

「ど……どうしたの」


 僕が皆を見渡すと、ミホロが

「カズヤ……なんでレイカ姫を呼び捨てに。それに、昨日まであんなにガチガチだったのに」

 どうも、リーダー云々(うんぬん)より、僕とレイカが、敬称略で親しげに話しているのに、皆は唖然としていたのだ。


 僕はレイカを見て、真っ赤になり

「ああ、僕たちは同級生だし、召喚獣でもあるし」

 と言ったものの、レイカは歯に噛むように笑っているだけで、知らんフリ。


 コルベットとミュールは納得いかないようで憮然とし。ミホロとゴンゾーは、昨夜なにがあったと言いたげだが、さすがにレイカの手前で、突っ込むことができないようだ。

 あとの二人(ルークと三平太)は相変わらず(ほう)けているだけ。

 でも………何もない。


 そんなこと議論している暇もなく、うやむやのうちに、これまで通り僕がリーダーというか、代表者ということになった。

 こんな、最強チームのリーダーが僕だなんて場違いだけど、まあ窓口みたいなものだろう。


 そこに、妖精が羽の生えた馬をつれてきた。

 ミホロが目を丸くして

「ペガサス! 本物だ」

 他の連中も感激している。


「剣姫のペガサスをモンスターカプセルに封じてお持ちください」

 妖精がペガサスを封じ込め、レイカにカプセルを渡した。


 レイカは、口元を震せながら。

「これまでありがとう」

「こちらこそ、姫様のおかげで、スワンヒルの妖精も増えてきて、次第にもとの楽園に戻りつつあります」

 妖精は涙目だ。二百年連れ添ってきたのだ。僕も妖精さんには、お世話になった。


「姫様、お元気で」 

 レイカも涙を浮かべ、言葉が出ないようでうなずくだけだった。


 そして、妖精に見送られ、僕らは聖堂をあとにする。

 レイカ、そして僕もそうだが、なんども振り返り、慣れ親しんだ聖堂と妖精に別れを告げ、通天回廊に向かった。


 ただ、最後に妖精がさりげなく言った「もとの楽園に戻りつつ……」とは、どういうことだろう。スワンヒルになにかあったのだろうか。少し気になるけど、今は、そのことは置いておくしかないようだ。


 ◇

 スワンヒルの緑の森の果てに、半透明の壁のようなものがあり、その向こうは真っ白な雪原だ。

「なに、このすりガラスのような壁は」

 僕も初めてみた。すると、レイカが


「たぶん、マップの端境(はざかい)だと思う。ストレイン・ワールドのマップはここまでで、ここより外はマップの外といってもいいのかも」

 僕たちは、なんとも言えない。


 壁はそのまま抜けられるので、レイカに続いて、その壁を抜けて雪原地帯に入った。

 通天回廊はこの氷雪地帯にある。


 雪原に魔物は出ないが、吹雪に見舞われながらの厳しい道程だけど、天啓山脈を越えた装備もあるので、なんとか進み、目指す通天回廊が見えてきた。

 こうしてたどり着いた雪原に突如出現するそびえ立つ塔、上空は灰色の雲がかかって頂上は見えない。


「これが、通天回廊……」

 ミホロが、唸るように言う。

 他のみんなも、口をポカンとあけて見上げている。 

 ミュールは剣を握り締め緊張した表情で、コルベットも魔法杖を持つ手に力が入っている。


「しかし、レイカ姫はここをカズヤと二人で攻め込んだのか」

 ゴンゾーが独り言のようにつぶやくと、ミホロが思い出したように。


「そういえば、レイカ姫がいるとカズヤは召喚獣になれるのだよね。今のカズヤだと戦力にならないから召喚獣になってよ! 」

 なんか、気にしていることをぐさりと言う、それに興味津々の表情だ。


 レイカは笑って

「カズヤ、いい」 

「まあ……確かに、召喚獣のほうが強いし」

 納得いかないけど、しかたない。


サーヴァント(使い魔)、召喚! 」

 と、レイカが唱えた。そういえば、初めて僕を召喚する方法を目の当たりにした。僕はミノタウロスに変化する。

「オオーー」

 みんなの歓声があがる。


 するとレイカは

「こっちのほうが、私は好きなんだ。スマール! 」

 すると、僕はモフモフに変化する。

「うわー! 可愛い」

「私にもだかせて……ほんと気持ちいい」

 完全におもちゃにされている。


 ミホロやミュールがうれしそうに、僕を抱きしめていると。

「でも、こいつはカズヤだぜ」

 ゴンゾーがポツリと言う(いらんことを言うな︙︙)


 すると、召喚獣仲間のコルベットが

「大丈夫だ、今のモフモフはカズヤではないと思っていい。意識はあっても、男性的な性欲はない」

 さらにレイカは小声で


「ミノタウロスのとき、雌牛に発情して、交尾しようとするんだよ」

 コルベットは大笑いし、ミホロは軽蔑の目だ。ぼくは、紐のような手をばたつかせるだけで、抗議も反論もできない………でも、事実だけど。


「本当は、さらに進化するみたいだけど、今はここまでなの」

 レイカが言うが、コルベットは

「いや、これで十分だ。あとは成長した私の魔法を姫に早くご覧頂きたい。さあ姫、行きましょう」

 力を込めて言う、レイカの前でいいところ見せたそうで、やる気満々だ。


 気を取り直して、というか僕は、人間に近い形態の猪八戒モードにされて後についていく。

(カズヤにもどせよー! だいたい、僕がリーダーではないのか!)と言いたいが、ブヒブヒとしか言えないし。そのことは、すっかり忘れているようだ。


 レイカが回廊の扉の横の台座の前に立つ。

 さすがに緊張している。

 大きく深呼吸して水晶を置くと、通天回廊の扉が開く。


 いよいよ、最後のダンジョンの攻略の始まりだ。

 皆も、緊張している。

 しかし、今度はレイカの他、頼りになる仲間が七人もいる。以前二人で挑んだときとは、桁違いの戦力だ。


 さあ、戦闘開始だ!


お読みいただき、ありがとうございますm(_ _)m


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