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現世に転移している異世界の剣姫に、僕は召喚獣として呼びだされた〜  作者: 猫ノあすき
第五章 突破せよ通天回廊
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5-1 星空の庭園(ガイア教のこと)

 食事の後、僕はレイカに呼ばれた。

 旅に出る前に学校で立ち話した時以来だ。

  しかも、夜にレイカと二人きりの、空前絶後、前代未聞、超絶、スーパー、ロイヤル、ビッグイベントなのだ!

 狂喜乱舞、恐悦至極、さっきからゴリラのように床で何度もでんぐり返りをして、落ち着けない。


 ◇

 時間になって、僕は興奮しながら息も絶え絶えに、指定された聖堂の裏の庭園にたどり着いた。


 星空の下の庭園、篝火(かがりび)がホタルのように庭のところどころを、ほのかに淡く浮かび上がらせて神秘的だ。

  庭園の中央の東屋(あずまや)で、レイカは待っていた。

 涼し気な風に揺らぐ肩を出した白いワンピースと(つや)やかな長い黒髪が篝火の灯で明滅し、幻想的で、なんだか色っぽい。


 ただ、そんなロマンティックな雰囲気を打ち消すように、僕は鼻息が荒くなるのを抑えきれず「フンガ、フンガ」と発情したゴリラみたいになっている。

 だって、こんな夢のようなシチュエーション、僕には似合わないし、経験もないし、しかたないじゃん!


 そんな僕にかまわず、レイカは星空を見上げながら

「私がここに来て二百年、初めて現世(うつしよ)からの冒険者がやってきた。正直、絶対ムリだと思っていたの。でも、本当に来てくれたんだね」

 どことなく、声が震えてる。


「は……はひ」

 学校ではまともに話せたのに、めちゃくちゃ緊張し、酸欠状態で声がうわずってしまう。

 女の子と二人きりで、こんな夜更けに話をしたことなど、ゲームと妄想でしか経験ない。しかも、相手は学校のアイドル、女神様、現人神(あらひとがみ)のレイカなのだ、心臓が止まてもおかしくない。


 レイカは、黒髪と白いワンピースのスカートを()()()とさせて、こちらに向くと。

「ありがとう、本当に感謝している。とにかく、お礼を言いたくて」

 レイカに見つめられ、生唾を三回くらい飲み込んで、カラカラの口から


「いえ、皆のおかげさまです……。こ…これをもちまして、通天回廊が突破できると……存じます」

 なんとか言葉を(ひね)り出した。

「う……うん」

 変な敬語になっているためか、レイカはしばし沈黙のあと


「そういえば、カズヤ君のお父さんだけど、仕事に復帰したみたいだよ。妹さんも元気に登校しているし」

「ほんと! あ……ありがとう、ござります」

 心配していたことで、本当に感謝してもしきれない、最後は涙声になっていた。 


「気にしないで。これは、私にも関係あることかもしれないから。やはりガイア教の関係者が、リアルにも来ているみたい」

「ガイア教が! 」

 さすがに驚いた。

 ガイア教はゲームの世界だけの話ではないのか。しかも、ガイア教が魔神ラ・ムーアと関係しているとポーは言っていたし。


「そ……そう言えば、カーズとかいう魔導師が、ぼ……僕をここに来させられないように。……妨害されて、おりました」


「そうなの! でも、どうしてカズヤ君が私のところに来るのを知っていたのでしょう」

 確かに、なぜガイア教が僕のことを知っていて、妨害を仕掛けてきたのか。レイカも顎の下に親指をあてて考え込んだあと、おもむろに


「生徒会副会長の早瀬君って知ってる」

「ハヤセ! 」

 突然、早瀬の名前が出て僕はギクリとした。そうか、こいつがいた!


「あの、親の七光り、陰湿、性悪、女たらし、見てくれだけの優男(やさおとこ)

 と言いたいけど、言えるわけもなく。小さくうなずくと

「実は、早瀬君にガイア教のことを探ってもらっているんだ」

 ええー、疑っているのではないのか! 

 それは、まずい。なんだかまずいぞ。

 何を根拠に信じてるんだ! レイカは賢いが、意外と大雑把で、肝心なところを抜かす事がある。


 あいつ、エクアドルでは女の子を(はべ)らして、ミュールにも(こび)を売っていた。それに、金に物をいわせて僕たちを邪険にするような、ケツの穴の小さいやつだ。


 だけど、早瀬の素行を暴露しても、同じ生徒会で信頼しているレイカは、なんの証拠もない僕の言葉を、ひがんでいるだけにしか聞こえないだろう……


 レイカはさらに

「そういえば、モフモフを森の泉で生き返らせることを教えてくれたの。結構情報通なんだよ」

 それも「違う! 」と言いたいけど、僕がその方法を記した手紙を、早瀬が見た証拠はない。


 でも、早瀬は行方不明になったレイカがスワンヒルに行ったことを知っているし。そもそも、レイカと同じ学校に通っているなんて、偶然にしては出来すぎている。


 そんなことを考えると、あいつは、単にレイカとお付き合いしたいだけのような気がしないのだ。

 僕がヤキモキしているのを知らず、レイカは(とど)めに


「実はこのあと、リアルで会う約束をしているんだ」

「それは! 」

 さすがに声が出てしまった。

 レイカは「えっ……」といった表情をして、焦ってうろたえる僕を見つめ、言葉を止めた。


 レイカは意外と単純というか純粋なところがある、ハヤセのことを信じて、いいやつだと思ってしまう可能性は大きい。

 女心って秋の空か、アルプスや、ヒマラヤの空のように変わりやすいっていうし。

 うう………心配だ。


 でも、ここで早瀬について否定的なことを言うと、単に()っかみと思われそうだし。僕の想像なので、やめろとは言えない………けど、言わなければ。


「あのー。僕がここに来たことは、言わないでくたさいませ。それと、会うのは……もう少し後でも」


 なんとかそれだけ言うと。レイカは一瞬「なぜに?」と言った表情のあと、少しにやけて

「わかったわ、会うのは通天回廊に挑んだあとにする。ちなみに彼は大丈夫よ。早瀬くんは、単なるクラスメィトなだけ」


 やっぱり、僕が嫉妬していると思って気を使ったようだ。

 無論それもあるけど…多いにあるけど。

 とりあえずは聞いてくれた。


お読みいただきありがとうございますm(_ _)m

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