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現世に転移している異世界の剣姫に、僕は召喚獣として呼びだされた〜  作者: 猫ノあすき
第五章 突破せよ通天回廊
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3 みんなの想い

 突然目の前が真っ暗になった。

「……ここは」

 平衡感覚がそがれるような闇の空間、そこに、突然スポットライトのような光が差し込んだ下に、人影が……


「だれ」

 人影はゆっくりと振り向く。

 小柄で冒険者風の衣装、腰にはレイピアを下げている。しかも、そのレイピアの柄には碧玉が……

「まさか! 」


 そいつは、ニヤリと笑う

「僕……なのか」

 しかし、病的な灰色の顔、上目遣いでこっちを睨み、口元は不気味に微笑み、無言でレイピアを抜く


「何をする! 」

 幻術にしては、(たち)が悪い。レイカやミュールのフィギュアを作って、楽しもうと思ったバチなのかも。そいつは、いきなり駆け込んでレイピアを突いてくる。僕はとっさに避けたものの、服が切り裂かれた。

「やる気か! 」


 しかし、動きはさほど早くなく、僕と同じ位の腕のようで、僕もレイピアを抜いて対峙した。

 さすがに自分を突き刺したくないけど、相手は容赦なく撃ち込んでくる。


「なんのつもりだ!」

 僕は防戦一方で、相手の剣を受けながら叫ぶと


『どうした、さっきは自分に刃を向けただろ』

 先ほど咥えられた時の、僕のことを言っている。

「それは……みんなのため」


『みんなのためだって! ならば、仲間の中に不要な人間、足手まといの者がいると容赦なく切り捨てるのか』

「それは……」

 難癖をつけてくる、いったい何なんだ。しかも、相手の口は動いていなく、頭の中に直接声が聞こえる、というか自問自答している感じもする。


『この世界に本当に必要な人間なんていない。しかも、それを自分から認めたのだろ。だったら、さっさと死ねよ』

 そいつは、再び剣を刺突しながら、さらに

『そもそも、苦労して天界に行く必要があるのか。ストレイン・ワールドなど、どうなってもいいだろう』


「そうかもしれない……けど」

『だったら、なぜ自分に(やいば)を向ける。それが、カッコいいと思っているのか、ボッチは強いと思っているのか、自己犠牲が唯一の解決と思っているのか! 』


「そりゃあ……女の子にもてたい、本当はボッチはいやだ。ここでも僕は勇者じゃない単なるザコキャラで、皆に迷惑かけて、かっこよく姫様を助けることもできない」


『だったらなぜ、ここまで仲間と戦ってきた。お前は何がしたい』


「………仲間との冒険は楽しい、ミホロやゴンゾー達と冒険を続けたい。レイカやみんなとこの世界で一緒に冒険したい。幻想の世界は、僕を最高の気分にしてくれる」


『だったら、どうすればいい』 


 それだけ言って、僕の幻影はニタリと笑って背を向け、闇の彼方へ消え去った。


「そうさ、そうだよ……わかったよ」

 そのあと、寝落ちするように力が抜け、再び意識を失った。




 ………目が覚めた。


 僕は相変わらずベヒーモスに(くわ)えられたままだが、碧玉の輝きが僕を包んでいる。

 そして多分、今まで僕が言ったことのない言葉を叫んだ。


「たすけてーー!」


 すると、一瞬みんなが笑ったようにみえた。

 次の瞬間、頭上を矢がかすめ魔獣の額を突き刺す、さらにコルベットのフリージング魔法、ゴンゾーとミュール、さらに傀儡の一斉攻撃が炸裂する。  

 当然ぼくもこれらの攻撃に巻き込まれるのだが、ミホロが僕にヒーリングと防御魔法をかけ続けてくれた。


しかし、ものすごい破壊力だ。

 その衝撃に僕は吹き飛ばされ、再び気を失った。



 気がつくと、みんなが僕を覗いている。

「カズヤ! 」

 ミホロが、涙をながして抱きついてきた。


 ゴンゾーが、いつものように無粋な表情で

「もう、馬鹿な真似はするな。突然のことで、下手に攻撃するとカズヤが殺られるので、示し合わせて、すぐに助けられなかっただけだ」


 横のミュールも、なぜか涙声で怒ったように

「私を、そして仲間を甘く見るな。仲間を助けられないほど、未熟ではない」

 こんな、ミュールを見たことがない、いったいどうしたんだ。


 とにかく、皆んなの想いに、うるうるしてしまう。

「ごめん」

 素直に謝ると、皆んな微笑んでいる。

 すると、ミホロが立ち上がり。


「さあ、いこうよ、七人で」

 僕達は、笑顔でうなずいた


 闘技場には、先程までなかった装飾のある扉が現れている。

「この先が、いよいよスワン・ヒルだ」

 胸が高鳴る、皆んなも緊張した様子だ。


 みんなに促され、僕がその扉をゆっくりと押す。


 扉を開けると、目の前に広がる緑の水郷、花が咲き、色とりどりの蝶が舞う木漏れ陽の森。


 とうとう、来たんだ!

 永遠の楽園


 ―スワン・ヒル! ―


やっと、スワンヒルにたどり着きました。物語は佳境に入っていきます。

お読みいただきありがとうごさいますm(_ _)m


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