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現世に転移している異世界の剣姫に、僕は召喚獣として呼びだされた〜  作者: 猫ノあすき
第五章 突破せよ通天回廊
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1 天界への扉

 僕たちが、こうしてレイカの元に向かっている頃、ローレシアのアリーア姫が伝えてくれたように、エクアドル王国は大変なことになっていた。

 魔神ラ・ムーアが復活しようとしていたのだ。


 それは意外にも、このストレイン・ワールドのゲーム世界だけでなく、僕のいる現世(うつしよ)の世界にも深く関わりのあることだった。


 真の(ことわり)は、ストレイン・ワールド自体が宇宙の有り(よう)だということを………


 今の僕たちが知るよしもない



一 天界への扉


 温泉のある火山地帯を抜けると、ヒマラヤのような鋭い山頂の峰々が眼前に広がってきた。

 夜になって月に剣の柄に埋め込まれている碧玉(へきぎょく)をかざすと、いくつもある峰々の中の頂の一つを碧玉の光が指している。


「あの山の頂上に天界の門があるの」

 ミホロが言うと、僕は少し興奮して。

「そうみたいだ」

 碧玉の光の指す先は幾つもある峰の一つで、碧玉がないと絶対にわからない。でも、いよいよ天界の門に手の届くところに来たのだ。


 翌日、僕たちは麓から続く山道を登った。

 冬山とまではいかないが、暑さ地獄から一転して、息の白くなる気温の中、防寒服を着て登り続けると、雲の中に入ったようで、山頂が霞んで見えなくなる。


 ちなみに、コルベットは魔女の定番の杖や(ほうき)に乗って空を飛べるが、この雲は結界のようで、魔法で飛んで突破することができないと言っている。


 前を歩く者の背中しか見えない霧のなか、道は荒れた登山道のようで、不規則な石の階段が続いている。僅かな視界なので、はぐれないようザイルのように皆の体に紐をつけて登った。


 しばらく進むと、道が二又に分かれている。

 どちらの方向かわからないが、ためしに適当な道を進むと………

「あわわ〜! どうやら、はずれだ」

 崖に出てしまい、危うく落ちそうになった。


 しかたなく戻ると、分かれ道の分岐が増え、二つだった分かれ道が三つに分かれているのだ。

「ええ! さっきと変わっている。これじゃあいくらたっても、たどり着けないよ」

 ミホロが喚くように言う。


 こうした迷宮のような山道なので夜を待ち、ほのかな月明かりに碧玉の柄をかざし、魔石の明かりをライトに登ることにした。闇で足元がおぼつかなく、何度もつまずきながら進む。


 次第に霧が晴れ、雲の上に出たようで、見上げると砂粒を撒き散らしたような星空に、天ノ川が壮大に横たわっている。眼下には、月明かりに浮かび上がる雲海が夜の海のようにうねり、幻想的だ。


 さらに進むと、碧玉がひときわ光を放ち、その先にぼんやりと、扉のようなものが映し出された。

 それは、普通の家の玄関程度の小さな門だ。


「これが天界の門。こんな場所にあったとは」

 コルベットの言葉が震えている。

 僕はその扉に近づきなら

「この門はまるで映像みたいだな」

 そう思って、ためしに碧玉の光を手で隠すと門は消え、再び光を放つと浮かび上がる。

 コルベットは唸るように

「これでは、いくら探しても見つからないはずだ。碧玉がなければ、たどり着けない」


 僕は門の前に立つと、みんなに振り向いて。

「天界の門の中には神獣がいると聞いている。みんな準備はいい」

 全員、緊張してうなずいた。


 恐る恐る扉を押すと、明るい光が扉の間から漏れてくる。夜に慣れた目には眩しく、手でひさしを作り、目元を陰にして注意深く中を覗いて入った。


 次第に目がなれてくると、宮殿の豪華なエントランスのような部屋が浮かび上がってくる。

 正面に噴水があり、女神の石像が掲げるツボから輝きながら水が滴り落ち、噴水の両脇から二階に回り込むように上がるバロック階段がある。階段の上はバルコニーのようになっていて、正面奥に大きく重厚な扉が構えていた。

 ラスボス前のセーブポイントみたいな、一息つける場所のようだけど、セーブは出来ない。


 皆なが、中に入ると

 バタッ!

 後ろで扉が閉まる音。

 振り返ると、入ってきた扉は消え、白い大理石の壁だけになっている。

 どうやら、もう戻れないのだろう。


「ここで、死んだらどうなるの」

 ミホロは僕の服を握って聞いてくる、そのミホロのリュックをルークが握っている。

「大丈夫、まだここはストレイン・ワールドの世界だ、死んでも聖堂に戻るだけだ」

 と言ったものの、気休めだ。

 通天回廊と同じ時空の間のような気がしているが、実はよくわからない。


 そのまま階段を昇り、正面の観音開きの大きな扉を見上げると、怪物のエンブレムが掲げられ、この中に神獣がいるのだろう。そして、その先がスワンヒル………

 とうとう、ここまで来た、といった感じだ。


 僕は、みんなに向かって

「この奥に神獣がいるだろう。その奥が、多分スワンヒルだ。このメンバーなら、絶対に突破できる」

 力強く言うと、緊張した表情の中、笑顔でうなずいてくれた。

 ただ、僕はここで、みんなに言っておきたいことがある。


「この先は、かなり強力なモンスターだし、僕は足手まといになる。道案内は終わりだし、僕に何があっても、スワン・ヒルに行くことを最優先にしてください。そうでないと、ここまで苦労して来た意味がなくなる」


 すると、ミホロが真っ赤になって

「何を言うの! ここまで、カズヤのおかげで来ることができたんだよ。絶対皆で行こうよ」

「そうだ、カズヤ! 」

 ゴンゾーや他の皆も口々に言う。


 思った以上に反発され、そこまで思ってくれて嬉しいけど。

「……エクアドルが危機の状況だから。なんとしても、レイカを連れてエクアドルにもどらないといけないんだ。それに、僕だって簡単に殺られたりしないよ」

 最後は希望的意見だ、気休めだけど、そう言うしかない。


 ミホロとゴンゾーは、納得いかない表情でうなずく。

 コルベットは腕を組んで目を閉じているだけ。三平太とルークは、いつものようにほうけた表情で特に意見はなさそうだ。

 ミュールはどこか怒ったように僕を睨んで何も言わない。


 とにかく、納得してくれたと………思っておこう。


お読みいただき、ありがとうございますM(_ _)m


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