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現世に転移している異世界の剣姫に、僕は召喚獣として呼びだされた〜  作者: 猫ノあすき
第四章 ロード・オブ・アドベンチャー
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11 温泉

 コルベットが先程から土下座している。


「すまない、みんなにも迷惑をかけてしまった」

 独断専行して、僕が危機に陥ったことを謝っているのだ。

「頭を上げてくださいコルベットさん。土下座は僕の専売特許ですから。それに、しかたないですよ、カーズのやり方が汚いのです」

「そうですよ、あのカーズが諸悪の根源です」

 ミホロも横から力を込めて言うと、他の皆もうなずく。


「いや、カズヤの言う通りに戦っていたら、容易に勝つことができた。私も修行が足りぬ。これからは、カズヤの言うことは何でも聞く」

そうは言ってくれるものの

「僕も自身を守れなくて、弱いのがいけないのです」


 するとコルベットは立ち上がり、いつにない優しい声で

「私は、お前のことを、弱いとは思っていない」

 思いもよらないお言葉

「でも、さっきもみんなに助けてもらったし……」


 情け無い声で言うと突然、横からミュールが

「当たり前だ、仲間を助けるのは当然だ! 私もカズヤを弱いとは思っていない。それどころか、カズヤの気転で何度も助けられている」

 珍しくムキになって言うので、僕だけでなく、みんなも少し唖然としている


「ミュールさん……」

 僕が、涙目て言うと、皆んなの視線に気づいたミュールは、真っ赤になって

「あっ……いや。あんなところで、死なれたら寝覚めが悪いからな」

 焦るミュールは、なんだか可愛いぞ、しかもこれはツンデレが入っているのでは。この前のローレシアを出た時ときといい、脈ありなのかも……

 それには、勘のいいミホロも気づいたようで、頭をかしげ、コルベットはニヤけている。


 ………でも、まあ、ないわな。


 容姿はレイカにも劣らない、赤髪の美女が僕みたいなのに(なび)く訳がない。こんな場合、大抵、本命の男子への当て馬、とか言ったパターンだし。

 僕はさっさと話題をかえる。


「ところで、コルベットさん、先程、何でも聞いてくれるって、おっしゃいましたけど」

「ああ、でも、エッちーことは、だめだからな」

 うう………、

何でもと違うやん、と言いたいけど。

「わ…わかってますよ……」 


 僕は、仕切り直して

「コルベットさんは、飛行魔法ができますよね」

「魔女の定番の、杖や箒にのって飛ぶことはできる」

「すみませんが、僕を乗せて少し飛んでくれませんか」

 コルベットはどういうことか、と言った表情だが何も聞かず

「……まあ、いいだろう」


 コルベットは杖を出して水平に浮かし、横座りする。

 僕は浮遊する杖を跨いでコルベットの後ろに座り、遠慮がちに腰を持つと。

「しっかりしがみつけ! それとも、女と手を繋いだこともないのか」

 にやけながら言うコルベットに、僕はしどろもどろで

「ええ! それは、その……」


 その通りです………


「ういやつだ、遠慮するな、少しくらいあたってもいいぞ」

 そう言って、腰の手を前に持っていきしがみつかせてくれた。しかも、時々コルベットさんの下乳に腕が当たる。

 うう! マジか、女の人に抱きついたのは、史上初めての経験、いい匂いがして、興奮してデレっとしていると。

 ミホロとミュールが、睨みつけている。


「さあ、行くぞ」

 そう言って、いきなり浮上する

「ええ! わわわ!」

さらにしがみつかざるを得ない、役得だけど、ちょっと怖い。


 眼下には、一面に広がる溶岩台地。

 所々に噴煙上がる火山があり、黒い台地に赤い溶岩が流れている。いかにも魔界といった雰囲気だ。


 僕は溶岩台地の端の山岳地帯との境界付近を飛んでもらった。

「いったい、何をするつもりだ」

 僕は地面に目をこらし。

「あの、湯気があがっているところに行ってもらえませんか」

 山裾に、いくつもの水蒸気があがっている場所をゆっくり飛行してもらい、しばらくして。


「見つけた! 」


 そこは、湯気の吹き出る泉、その先に小さな池がある。

 池に手をいれると。

「湯加減も、ちょうどいい」

 ミホロが、後ろから覗いて

「これって温泉」

 僕はうなずいた。


 すると、ミホロは満面の笑顔で

「やるじゃないカズヤ! 汗かいたし、うれしい!」

 飛び上がって喜んでいる。

 そうなのだ、僕はこの、お約束のご褒美イベントを探していたのだ!


 しかもコルベット様は

「私は混浴でも構わないぞ」

 などと大判振る舞いだ………が


 世の中そんなに甘くない。

 さらに強力になったミホロのセコム魔法で、幾重にも厳重な防護壁に囲まれ、近づくと容赦なく警報が鳴る。

 ただ、ゴンゾーと僕は、わずかに聞こえる女子トークに、賢明に聞き耳をたてている。


♨️♨️♨️


「ねえ、ミュールさんって、カズヤみたいなのが好み」

「そ……そなわけ……」

 なんだ、続きが聞こえない!


「そういう、ミホロはルークと仲よさげだが」

「まあ、保護者みたいなものです。実は、ルークには好きな人がいるのです」

「ええ! ミホロではないのか。いったいだれなんだ」

「ミュールさん、誰にも言わないでくださいね。それは………」

「………まさか。そうだったのか」

 うう、肝心なところが聞こえない。


「それより、ゴンゾーって意外とマッチョなんだよ。コルベットさんとか、好きなタイプじゃない」

「ははは! 私はレイカ姫ひとすじだ。それに、修道院では結構モテたのだぞ」

「確かにコルベットさんて綺麗だし。でもそれって……」

「そう、だいたい男より、ミホロみたいな可愛い女の子には目がないのだ」

「えええ……何するんですか! きゃぁーーー」

 僕達は生唾を飲み込む(いったい、何をしてるんだ)


 こうして僕たち野郎は、壁の向こうで湯を流す音と女子の声に悶々としながら待つしかなかった。

 女性があがったあと、僕たちも温泉に入った。


 混浴の期待は外れだけど、暖かいお湯は癒やされる。

 湯船でほっこりしていると、ルークが白く細い体で、女の子のように恥ずかしそうに入ってくるので、僕やゴンゾーは、なぜか目のやり場にこまってしまった。

 ルークなら前を隠して女風呂に堂々と入っていけるだろう……(いな)、隠さなくても、喜んで受け入れてくれるのではなかろうか。


 そんな中、収穫はあった。

 お湯に浮く赤く長い髪の毛、さらに黒髪も見つけたのだ。

 変態みたいで気が引けるけど、大切にしまっておこう。そう、これで傀儡のドッペルゲンガー(分身)を作るのだ。


 こうして、心も体も癒された僕たちは、北の地の最果てにたどり着き。

 ヒマラヤ山脈のような大山岳地帯を眼前にする。


 そして、レイカのいるスワン・ヒルへの入口。


 『天界の門』へ挑むことになる。


 第四章 「ロード・オブ・アドベンチャー」<了>


お読みいただき、ありがとうございます。次回から5章に入ります、引き続きよろしくお願いします。

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