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現世に転移している異世界の剣姫に、僕は召喚獣として呼びだされた〜  作者: 猫ノあすき
第四章 ロード・オブ・アドベンチャー
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10-2 熱水大墓 ―怒りのコルベット―

 魔獣の群れの背後には、サラマンダーという巨大なトカゲのような火炎を吐く豪獣が十体ほど控えている。アッシュ・フィールドの戦いにはいなかった神獣クラスの魔獣だ。

 ここまで温存していたのだろうか。


「これ、半端じゃないよ。しかも、サラマンダーまでいる」

 ミホロが、僕の後ろで怯えながら言う。

 しかし、他の魔獣は意外とレベルは低くく、コルベットの魔法を使って広範囲魔法で全体攻撃をしながら、一丸となって戦えば十分に勝てそうだ。


そこに、空洞に響き渡る声で

「ようこそ、この熱水大墓の魔窟へ。遠慮なさらず、出てきてください」

以前聞いた声、恐らく魔導師のカーズだ。

 

「どうするカズヤ」

 ゴンゾーが小声で聞いてきた

「ここまでバレバレなら、隠れても無駄でしょう」 

 他のみんなも、こわばった表情でうなずく。

 遠距離攻撃ができるルークを三平太と一緒に洞窟の中で待機させ、他のメンバーは慎重に洞窟を出た。


 眼前に居並ぶ魔獣の背後に立ち並ぶ石像の上に、魔導師のカーズが立っている

高熱隧道(こうねつずいどう)を突破するとは、さすがでございます」


 なんだか、気に(さわ)慇懃(いんぎん)な敬語で発言をする。

 アッシュフィールドの戦いを見れば、僕たちは容易に倒せないことがわかっているはずだ。

 何か秘策でもあるのだろうか、油断できない。


 カーズは続けて

「しかし、さすがコルベット様。この隧道の最高温度は三百度に達しているのに、やすやすと、通り抜けてくるとは」


「三百度! 」

 僕たちは驚いた。

 コルベットはその温度を下げてくれていたのだ、見ると少し疲れた様子だ。

(知らなかった……)

 コルベットは笑っているが、彼女がいなかったら、とても突破できなかった。


 僕は前に出て

「お前が、この墓に眠っている魔獣を、蘇らせたのか」


「その通り、熱水大墓は、かつて北の地にはびこっていた魔獣達の墓場、そこに眠っていた魔獣を蘇らせたのです。あの死霊の村での皆様を見て、さらにコルベット様まで加わったとなると、簡単にはいきません。迎え撃つため、一度ここまで退却して集結し。皆様をお迎えしたのです」

 かわらず、馬鹿丁寧な言葉で、かえって癇に障る。


 しかも、よく喋るやつだ。

 上手(うま)く状況説明の出来ないへっぽこ作者が、「冥土の土産に教えてやろう」とか、「これは、どんな魔法防御も貫く剣だ、これで貴様もおしまいだ、ハハハ」と言って、教えなくてもいい戦術や必殺技の解説をさせるパターンだ。


 すると、先程から(うつ)々としているコルベットが

「カーズ、よくも私を謀ってくれたな」

 カーズはコルベットに向き直り、笑みをもうかべ

「これは心外な。ローレシアにくすぶっている、民衆の思いを具現化しただけですよ。修道院は、夫や家族、付き合っていた相手から逃げ出した女性を囲っていたのです。逃げられた者たちが、修道院に恨みをもっていたのですよ」


「何を言う! 修道院は暴力や虐待を受けて行き場のない女性の駆け込み寺だ。悪いのは女性を迫害をした者たちであろう」


 するとカーズはニタリと笑い

「そうそう、コルベット様これがなにか、おわかりでしょうか」

 火炙りにした、修道女の衣服を持ち出した、下着まである。

「まさか、裸にして……」


 コルベットは血の気が引いて拳を握り、目が座りワナワナと震えだす。

 ちょっと、これはやばいかも……


「そうです、結構いい見世物でしたよ。特に男どもには講評でしたよ」

 カーズは、コルベットを煽る。


「キッサマー! 」


 怒りが頂点に達した。

「六秒数えて、落ち着いて! 」と言っても無駄だ、理性を失っている。

 コルベットはいきなりカーズの魔獣の群れに飛び込んで、雷撃、火炎を乱れ撃ちして、怒りのまま、カーズに迫ろうとする。


「まって、コルベットさん! 手はず通りに」

 僕は叫んだが、聞こえない。

 連携を無視して一人で魔獣の群れに向かっていく。


 コルベットの魔法は凄まじく、魔獣の群れの真ん中を突き進むと、背後に控えていたサラマンダーなどの豪獣も押し出してきた。


 しかし、コルベットは剣士でないので、近接戦はどちらかと言えば不利で、多少肉薄した魔獣の刃を受けてしまう。そんなことに構わず、雷撃や、火炎を乱れ打ちして強引に突き進んだ。

 さらに、群れの中を突き進むので、背後も囲まれてしまう。


 無謀と言ってもいいが、今のコルベットは怒りでまわりが見えない。


 僕はやむなく

「ゴンゾーに、ミュールさん、コルベットさんを援護して」

「わかった」

 すぐに、ゴンゾーと、ミュールがコルベットの後を追う。


 狭い洞窟に魔獣の数は多い、いや多すぎる。相手は大剣を振り回すような攻撃はできず、秘策やトラップも仕掛けられない。

 そこで、コルベットの範囲魔法で手前の雑魚を掃討しつつ、ルークで遠距離から攻撃して相手のHPをそいで、アタッカーで止めを刺す。相手は大軍だが分散せず、一丸で攻めれば勝てると思った。

 しかし、コルベットが前に出てしまった。


「コルベット! まて! 」

 ミュールと、ゴンゾーが叫びながら後に続くが、コルベットは一心に向かい、サラマンダーに近づき瀕死の状態に持ち込んで行くが、相手が豪獣では、魔法で(とど)めをさすには多少時間がかかる。

 最後の一撃は剣技の方が勝っている。


 しかしなぜ、カーズは(あお)ることをするのか、コルベットを怒らせるなど火に油を注ぐようなものだ。


 コルベットがカーズに肉薄したとき、カーズが笑っている、

「なにを笑っている」

 コルベットは、さらに頭に血がのぼるが、カーズは、変わらず余裕の表情で


「愚かですね。後ろをご覧ください」


 そうなのだ……


 コルベットが前に出てしまったので、群衆の中でハグれてしまうように、今の僕は孤立し、絶体絶命になってしまった。


お読みいただき、ありがとうございましたm(_ _)m


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