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現世に転移している異世界の剣姫に、僕は召喚獣として呼びだされた〜  作者: 猫ノあすき
第四章 ロード・オブ・アドベンチャー
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8-9 ローレシア戦役 ー勇者とは―

 なんとか、コルベットと話をする突破口が開けた。

 僕は土下座で両手を地面につけたまま顔をあげ


「ラ・ムーアのことはご存知ですか」

 一瞬、コルベットの表情がこわばり

「それがどうした」

 突き放すような答えにビビった僕は、ゴクリと(つば)を飲み込み。


「ラ・ムーアが近く復活します。そうすればエクアドルはおろか、この世界が消滅します。ここは、魔族と結ぶべきではありません、ローレシアと手を組んで……」 そこまで言ったとき


「そんなこと、わかっている! 」


 話を遮って、突然コルベットが怒りだした。

「魔族は好かぬが、ローレシアの奴らは……! 」

 コルベットの表情が鬱々(うつうつ)としている。


(これは、しくったかも……)

 確か、ノーザンエミレーツの参謀も言っていたが、コルベットはローレシア国に恨みがあるようだ。

 僕は恐る恐る。

「ろ……ローレシアに恨みでも」


「お前に、言う必要はない! 」

(そうですよねーー、言う必要ないですよねーー)

 怒りの形相のコルベット、どうやら逆鱗に触れてしまった。

 子供が願うような世界は一つ、手を取り合おうなど、と言って聞いてくれる人なら、今頃、魔族側についていないだろう。


 終わった……万事休すだ。


 土下座状態で、後ろの仲間たちを見ると、全員諦めの表情だ。

 でも……やるだけのことはやったし。また最初からやりなおしか……

 それに、アリーア姫には申し訳ない。


 そのとき、テントの天井の隙間が風で開き、そこから月の光が漏れ込んできた。

 その光は僕の腰に携さえているレイピアの柄に反射して、いつものように、細い光がレーザ光線のように北を指す。


 コルベットはその光を見ると

「こっ! これは……」 驚いた様子で席を立ち

「導きの碧玉……なぜ、貴様が! 」


 僕は腰の碧玉の柄を見て(ああ、これか…)といった感じで

「スワンヒルにいるレイカという人の居場所を指しているのです」

「レイカ…とは、レイカ姫のことか」

 身を乗り出して聞いてきた。


「そうですが」

 何の気なしに答えると

「そんなバカな。レイカ姫が言っておられた勇者とは、お前のことなのか……」

「実は僕、レイカの召喚獣なのです」

「お前が! 」


 呆れるというか、信じられないと言った表情。

 もしかして、コルベットはレイカと関係があるのか、これはストライクかも! 続けなくては。


「今の僕は、人間ですけど、召喚されたときは、ミノタウロスに変化するのです」

 モフモフと猪八戒はおいといて。

 すると、コルベットはさらに動揺したようで。


「レイカ姫は、これまで召喚獣にろくなのはいなかったと言っていた。おまえも、通天回廊に挑んだのか」

「はい、挑みました」

「……それで、どこまで行った」

「最上階の百八階層まで。でも、そこで敗れましたが」


 コルベットは驚き、興奮したように

「それはまことか! 私でも五十三階層までだ、そんなひ弱なお前が……」

 ということは、まさかコルベットも召喚獣だったのか。これは、幸運……というより、巡り合わせのような気がする。


 コルベットは納得いかない様子で

「しかし、お前の持っているのは間違いなく、レイカ姫の言っていた碧玉…」そう言うと、壇上の玉座の椅子から降り、まだ土下座している僕の横に来て


「その柄を見せてくれないか」

 口調が丁寧になった。レイカの物だからだろう。


(でも、それはできない)


「すみません。それだけは、死んでもできません。これは、レイカ姫と僕を繋ぐ唯一のデバイス。心許せる相手意外に、手を放すわけにいきません。これを取られるのは死んだも同じこと、いっそ僕の首を刎ねてお持ちください」

 これは本心だ、いつも思っていることだから、すらすら答えられたのだろう。


 しばらく、沈黙のあと。

「わかった。顔をあげなさい」

 顔をあげると、コルベットはこれまでと違い、おだやかな表情だ

「立ちなさい」

 そう言われて、僕は立とうとしたが……足がしびれてひっくり返った


「すみません、足がしびれて……」

 後ろで、ミホロ達がなさけない顔をしているのが一瞬見えた。

 コルベットは呆れて


「わかった、座ったままでいい」

「す……すみません」

「ほんとに、お前がレイカ姫の言ってた勇者なのか。後ろの者の方がよほど、勇者らしい」

「あはは……僕は勇者ではありません」


 するとコルベットは

「先程のお前の言葉………勇者とは、力や剣術が強い者だけを言うのではない」

 口元を緩ませて答えると、後ろのミュールも大きくうなずいたように見えた。


「わたしは、これまで天界へ行く道を探していたが、どうしても見つからない。恐らく、なんらかの鍵が必要なのだ。それがその碧玉だろう」

 コルベットは再び椅子に腰掛け。


「話を聞こう」


 再び起死回生のチャンス、冷や汗ものの、一進一退の攻防。

 これが僕の戦いなのか………


お読みいただき、ありがとうございます。m(_ _)m


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