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現世に転移している異世界の剣姫に、僕は召喚獣として呼びだされた〜  作者: 猫ノあすき
第四章 ロード・オブ・アドベンチャー
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6 精霊の森の弓使い

 もしもの話

 無人島に女の子と二人だけ取り残され時、美少年が流れついた、あなたならどうする。


 年歳としの頃は十四か十五歳、ミホロとほぼ同じだろう。

 童顔で華奢(きゃしゃ)な体、プラチナブロンドの癖毛(くせげ)に色白の肌、頭に輪を乗せてハートの矢を持たせたら、まさに天使だ。


 美少女と言っても確実に通じる少年。男の僕でもドキッとするほどで、盆踊り部にきたら、間違いなくマッチョ先輩の餌食になる。

 さっきの、もしもの話しで、この少年が流れついたら、八割くらいの男は禁断の行動をとるのではないだろうか……


 しかし、この少年がエクアドル精鋭の流星騎士団の副団長を含み、アンデッドの大群を倒すことのできるプラトーンを、一撃で葬り去る実力を持っているとはとても想像できない。

 僕達は、そんな美少年の後ろをついて、森の奥に入っていく。

 しばらく進むと森の中に小さな家が見えてきた。


 周囲には小さな小屋のような家が数軒あり、獣人や妖精が畑仕事や家畜を飼い、せわしなく野良仕事をしている、妖精の森の村といった感じだ。


 その中央の家の中から、エプロンをして、洗濯籠を持った女性がでてきた。

「母上!」

 少年が叫んで、かけていく。


 農村の生成(きなり)りの服を来ているが、丁寧に結い上げたブロンドの髪、整った顔立で優雅な仕草は、元は高貴な家柄ではないかと思わせるような女性だ。

 僕達を見て警戒する少年の母親は


「どうしたのです。この人達は」

「はい、以前母上がおっしゃっていた、冒険者ではないかと思います。レイカ姫のことを言ってました」

「レイカ姫……」

 少年の母は驚いた様子で


「あなた方は、レイカ姫の行方を知っているのですか」

 僕は碧玉(へきぎょく)(つか)を見せて

「はい、この碧玉が行く先を示してくれるのです」


 柄をみて、女性はさらに驚いて

「これは、聖剣プレアデスの柄! 」

 プレアデスのことを知っているとは……この前襲ってきた魔導士と関係があるのでは、と思ったけど。もしそうなら、先ほどの森で僕達の命はなかった

 母親はしばらく、柄を見たあと


「わかりました、よければお入りください」



 僕たちは家の中に招かれ、テーブルに座ると、猫耳の可愛い獣人がお茶をもってきた。

 母親は貴婦人のような手つきでお茶を飲みながら。

「私はミランダと申します。以前はエクアドルの貴族でした。このたびは息子のルークがとんだ失礼を」

 元貴族とは……やはり、振る舞いや言葉遣いが普通の人と違うはずだ。そんな貴族様がなぜ、こんな僻地にいるのかと思ったけど、いきなり聞くのも失礼だろう。


「いえ、僕達が森に突然入り込んできたのです。警戒されるのも無理はありません」

「最近、北のローレシア国が魔族の手に落ちたと聞き、警戒していたのです。この森は北の地では数少ない、精霊の守る森で、簡単に魔族は入れませんが、油断できませんので」

 ミランダは、話ながら優雅な手つきでお茶を飲む。ほんと可憐な(ひと)だ。僕の母ちゃんとはえらい違いだ、こんな人が自分の母親なら、いいのになあー。


 そのあと、僕たちも自己紹介をして、これまでの経緯を話した。


「……そうですか、カズヤさんはレイカ姫に召喚されていたとは、すごいですね」

 ミランダさんが感心している。


「いえ、たまたま召喚されただけです」

レイカにまんまと騙されたとは、言えない。

「ところで、息子さんは凄腕ですね」


 すると、ミランダは少し誇らしげにルークを見つめ

「以前ここに住んでいた弓の名手に、教えを受けたのです」

「以前ということは、その方は」

「高齢でしたので、半年前に亡なりました」

「そうですか……」


 その弓の師匠というのは、ローレシア最強の弓使いだったそうで、老齢になってここで隠遁(いんとん)生活をしていたらしい。


 横で話を聞いていたミュールは

「ルークは少なく見積もっても、レベル換算で80以上はある。本気を出せば、神獣とも互角に戦える」

 ミホロは驚いて


「80だって! アーチャーでそこまでのレベルはエクアドルにはもちろん、ラピス三国にもいないよ。在野にそんな凄腕がいたなんて、凶暴なモンスターがこのあたりにいるの」


 それには、ミュールが

「強いモンスターがいなくても、毎日動物を狩っていたらレベルは上がるでしょう。しかも、命中精度だけでなく、相手の動きを先読みする戦略的な射撃、戦いの勘もするどい」

 

 全くそのとおりだ、僕たちはルークを見て唸っていると、ミランダは意外なことを言い始める。


「実は……この子は森から出たことがありません。このとおり、人見知りで内気な子です。そこで,この子をみなさんと一緒に連れて行ってもらえないでしょうか」


「ええ! 」


突然の驚くべき提案、というか思いつきにしては突拍子もない。

「そ……、それは…願ってもないことですが。いいのですか」

「はい、外の世界を見るのは、この子にも勉強になりますし。実は、カズヤさんのような方が来るのを持ち望んでいたのです」


「僕を待っていた……」

 すると、ミランダは少し顔を伏せながら

「レイカ姫が幽閉された原因は、私にもあるのです。詳しくは言えませんが、その過ちをなんとか償いたいと思っていました。そのことを、息子に委ねるのは気が引けますが」


 悲壮な決意のような感じがする

「でも、ミランダさんは大丈夫なのですか」

「ここは、精霊の森、獣人達も守ってくれます」

 そう言い終えた後、ルークに向かい


「いいですねルーク。この方達の力になり、レイカ姫の元にいくのです」

「わかりました、母上」

 ルークは素直に即答する、母親思いの本当にいい子だ。


 しかし、敵にしたら恐ろしいが、味方だとこれほど心強いやつはいない


 ◇


 翌日、朝早くからミランダとルークがバタバタしている。

 ミランダがルークに、新しい服や、靴など用意し、旅支度をしている。

 最後にルークの弓矢を渡すとき

「できれば、もっと立派な武器をわたしてあげたいけど。そこは、あなたの腕で補うのですよ」


 ルークがうなずいて、弓矢を手に取ったとき、僕は

「それは、ご心配なく。僕たちには優秀な技工士がいます。実は、昨夜ルークの弓矢をこの三平太がバージョンアップしていたのです」

 横から三平太が出てきて


「こっ……これ……弦を螺旋繊維(らせんせんい)にかえ、弓の胴体にダグクラスタイト合金をまぜて強化した……どう…かな」

 ルークにその弓矢を渡すと


「これは! 」


 ルークの目が輝き、少し興奮している

「試射して、いいですか」

「どっ……どうぞ」


 すぐに使いたいみたいで、ルークは矢をつがえ、弓を引き絞る。

 体幹が全くぶれない、狙いを定める殺気ともいる気迫は、さっきまでの、なよなよしたルークとは別人のようだ。

 僕達は圧倒され見惚れてしまう。


 次の瞬間、弓がしなり矢が放たれると、弾道軌道を描いて遥か彼方に飛翔する。


「3百mはあるんじゃないか」

 ゴンゾーが手で目の上にひさしを作って、矢の行方を追っている。


 放たれた矢は、山の裾の2mほどの巨石を破壊した。


「狙ったの……」

 ミホロが震える声で言うと、ルークはミホロを見て笑顔でうなずいた

「それに。すごい破壊力」


 確かにすごい。

 頼もしい! 

 頼もしすぎる味方だ! 

 僕は、おもちゃをもらった子供のように興奮した。


お読みいただき、ありがとうございますm(_ _)m


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