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現世に転移している異世界の剣姫に、僕は召喚獣として呼びだされた〜  作者: 猫ノあすき
第四章 ロード・オブ・アドベンチャー
50/100

5 スナイパー

 村を出たあと、僕たちは北に進むべきなのに、なぜか西に迂回していた。

「道が違うのじゃない」

 ミホロがテクテク歩きながら、納得いかない感じで言う。

「でも、碧玉の光はそっちを指しているんだ」

 僕も、多少不安はあるが、他に頼りがない。


 ちなみに、碧玉は月光にあてないと道を示さないので、迷うような分かれ道にさしかかると、夜を待たないといけない。だから、夜になると、碧玉の柄を月光にかざすのが僕の日課だ。

 その夜も、柄を月光にかざしていると。


「道は間違ってない」

 ミホロが心配そうに声をかけてきた。


「大丈夫だよ、この道でいいはずだ」

「この前は昼だったから行き過ぎて、戻ったことがあるものね」

「ごめんごめん、まさかあの細い道がそうだとは思わなかったし」


「でも、この碧玉がないと、絶対行けないね。もう、戻る道もわからないくらいだし」そう言って、ミホロは僕の横に座ると、しみじみと

「あー、このままずっと、カズヤと冒険の旅をしたいな」

 突然、思いもよらぬ事を、ぽつりとこぼした。


「リアルで何かあったのか」

 少し思い詰めた様子なので聞いてみたが

「ああ、ごめん、リアルのことは話せないしね。カズヤもいろいろあるのでしょ」

「まあ、ないことは、ないけど」


 ミホロは不登校とだけ聞いたことがあるが、とても不登校になるようには見えない。

 そんなミホロは膝を抱え、おもむろに

「カズヤみたいなのが、お兄ちゃんだったらなー」

「ええ? 」

 再び、思わぬミホロの言葉に僕は唖然とした。


「ああ! いや、カズヤみたいなのがお兄ちゃんだったら、扱いやすいなーってこと」

 めずらしく照れたように話すミホロだった。

 なんだか、いつものミホロらしくない、何かあったのだろうか。

 状況も分からないし、気の利いたアドバイスもできない、どうしようもない。


 そこで、子供のころ妹の結衣(ゆい)にやってやったように、ミホロの頭を撫でてやると

「なっ! なにするのよ」

「まあ、いつも頑張ってくれているから頭なでてやるよ」


「………わかった」


 拒否られるかと思ったが、意外に素直におとなしくしている。僕をウンコとしか思っていない愚妹より、はるかにましだ。

「僕もミホロが妹なら、と思うよ」

 そう言うと、なぜかミホロは黙ったままだった。


 ◇


 2日ほど進むと次第に緑が多くなり、森となる。

 これまでにない大きな森で、鳥のさえずりが聞こえ、小動物を見かけ、果実のなっている木も見かける。


「エクアドルを思い出すね」

 ミホロがほっとしたように言う。

 しばらく森の中の細い道を進むと、木々の間から木漏れ日がキラキラ輝いている、森の先に池があるようだ。

 そのとき!


 ヒュルルルーーーー

 風切り音


「伏せろ! 」

 ゴンゾーが叫ぶと


 バシッ!


 頭上の木に矢が突き刺さる。

 僕は、心臓が止まりそうで、冷や汗が吹き出した。

 みんなも茂みに飛び込んで身を伏せた。僕はそばのゴンゾーに

「スナイパーだ、どこから、撃ってきたんだろう」


「多分、あの木の上だ」

 矢の刺さった角度の延長方向を見ると、池の手前に大きな木があり、そこから()っているようだ、

 さらにゴンゾー、ミュール、ミホロ、三平太の頭上にも、次々と矢が通過、もしくは頭上の木に突き刺さる。


 ミホロが胸をなでおろしながら

「よかった……なんとか、外れた」

 するとゴンゾーが

「ばかやろ! 相手は威嚇しているんだ。矢は全員の頭上を同じ間隔で射抜いている。つまり、いつでもドタマを撃ち抜けるぞ、ということだ」


 ミホロは震え上がり

「それって……今ので私達は一瞬にして全滅していたってこと」

 ゴンゾーはうなずき

「しかも、気配すらない、かなりの凄腕だ……命中させないところを見ると、立ち去れってことか」


 確かにそのようだが、そういう訳にはいかない。なんとしても、天界に行かなければならない。勝てるかわからないが、反撃するしかない。


 とにかく、相手はこっちを捉えているが、僕らは相手がわからない。かなり不利だが、同じ木の一点から来るので、相手は恐らく一人、しかも木の上なので動きが取れない、さらにこちらの方が数に勝っている。

 まずは、敵を捉え、注意をそらし、隙きをつくり、複数方向から攻めるのだ。


「三平太、悪いけどまた傀儡を」

「わっ……わかった」

 僕たちが迫るまで、矢の攻撃を受けてもらう囮りが必要だ。三平太は背中の箱の中に折りたたんだ傀儡を組み立てる。


 ゴンゾーとミュールは左右に分かれ、僕も分散して迫っていく。相手は池のほとりの木の上に一人なので背後はなく、複数の方向から迫れば対応できない。

 ミュールとゴンゾーはうなずくと、盾をかざして散らばった。


 ミホロはミニフレアーと流連浄火(るれんじょか)で、敵のいる木の上あたりに撃ち込んで撹乱する。とにかく、敵の木の真下に行くんだ。

真下に矢は撃ちにくい。


 僕たちは敵のいる木を囲む形で配置について、草や木のかげから、じわりじわりと移動する。

 位置についたところで、まずは正面から、突破口の傀儡が飛び出した。


 また、相手を引きつける捨て身の攻撃だ。本当に三平太は助かる、レイカは最高の助っ人を寄越してくれた。


 敵の矢は傀儡の体をかすめ、服を切り裂いていく……が体に当ててない

 それを見て、多分敵は男と思った。さすがに、女の子に矢を射ることはできないようだ。


 その隙に、ミュールは左の藪に駆け込み、ゴンゾーも右から回り込む。


 傀儡が正面から突っ込んで相手をひきつけ。ゴンゾーとミュールも池のほとりに出ると、動きを止めず一気に、敵のいる木の下に走り込む。

 これで、敵を追い込んだ、袋のネズミだ。


 そのとき、想定外のことが起こった。


 次々と、全員の頭上に矢が突き刺さる。

 僕たちは、その場に立ち尽くして動けない。

「なんで! 」

 さらに、木の上には誰もいない。背後は池、逃げ場はない。


「だとしたら……」

 僕は、蒼白になった。


「敵は、池の向こうだ!」


 信じられない。

「やつは、池の向こうから放物線の弾道軌道で、同じ木の上を通して俺たちを狙い、さも木の上から狙っているようにみせかけたんだ……一度に二つの的を当てるのと同じ、神業だ」


 ヒュルルーーー

 再び矢の風切り音

 僕の足元に突き刺さる。


「と、いうことは………僕らはまんまと、遮蔽物のない丸見えの場所におびきだされた」

 僕たちは、全員池のほとりに立って敵からは丸裸だ。


 とても勝ち目はない……


 しかし、その気になれば確実に命中させられていたのに、威嚇しかしていない……多分、悪い奴ではない。

「いちかばちだ」

 僕の後ろに隠れてるミホロが

「どうするの」


「無条件降伏!、命乞いしてみる」


 僕は両手をあげ

「降参だ! 僕は、ここを通りたいだけだ。お願いだ、通してくれ。君に、危害を加える気はない」



 すると、池の向こうから声がする。

「お前たちの目的は」

 もう、正直に話すしかない


「僕たちは、天界に向かって旅をしています。そこに幽閉された姫様を助けにいくのです」



 しばらくして、池の対岸から、色白で童顔、白に近い金髪の巻毛、チュニックのように腰に紐を巻き、手に弓を持った、まるで天使のような少女……


 いや、美少年がでてきた。


お読みいただき、ありがとうございますm(_ _)m


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