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現世に転移している異世界の剣姫に、僕は召喚獣として呼びだされた〜  作者: 猫ノあすき
第四章 ロード・オブ・アドベンチャー
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4-1 死霊の村(前編)

 エクアドルを出て十日ほど経ち、僕たちはキャンプの旅にも慣れてきた。


 野営のベテランのゴンゾーはリアルでも調理師の資格があるようで、北の関所討伐のときのように、美味しい料理を作ってくれる。


 ちなみに、異世界冒険者にはドラ○モンのポケットのようなアイテムボックスがあり、そこそこの食料をストックできるので、短期間なら食料に困ることはない。

 そういえば、自衛隊員も補給無しで、二十日間ほどは戦闘出来ると聞いたことがある。


それと、ミュールとミホロが、清流で時々水浴びをするのだが……

 当然、レイカのときのように僕たちが一緒なわけがなく。ミホロはご丁寧に、何者かが近づくと警報が鳴るセコム魔法(自称)を覚えていて、周囲に張り巡らしている。


 この魔法の警報音がすさまじく、けたたましいサイレンに爆破音のほか、「変態!」「どすけべ!」「クズ!」「カス!」「蛆虫(うじむし)!」「生きる価値なし! 」など人の心を傷つける罵声の言葉が、鼓膜が破れるほどの音で襲いかかり、とても近づけたものではない。


 最初にトラップに引っかかったのは僕だが………というのも。

「わー、ミュールさんの胸やわらかーい、どうしらそんなに大きくなるの」


 などと、水浴中のミホロの声が聞こえてくるので、すぐそばで、あの紅髪を濡らして水を浴びるミュールさんの裸体を想像して我慢できるわけがない。

 僕は四十歳童貞のゴンゾーと策を巡らすが、これまでに三回、近づくことすらできず撃破されている。


 最近は誹謗中傷の精神攻撃だけでなく、顔に墨が塗られて撃退され、あとで白い目で見られる。


 でも、そろそろ、ちゃんとしたお風呂と食事をしたい……人のいる町か村が恋しい。

 それは、ミホロやミュールも同じだった。


 ◇


 翌日、やっと小さな村にたどり着き、初めて北の人に出会った。

 エクアドルにもあるような、小さな農家が集まっている村だけど、村人は物静かで、黙々と農作業などをしている。


「なんだか、静かな村だね」

 ミホロが周りを見ながら言う。

僕たちが通りを歩いても、村人は無関心に通り過ぎ、立ち止まっている村人に話しかけても、うなずく程度で逃げるように去っていく。


「よそ者を嫌っているのかな」

「嫌っているというより、関わりたくない……ってな感じだね」

 なんだか、ものすごーいアウェイ感がある。


 村の中に入ると中央に広場があり、その真ん中に、二階建ての宿屋が一軒建っていた。

 村の真ん中に宿屋とは不自然だが、それなりの宿屋で、村の中で一番目立っている。


 ミホロが

「久しぶりにベッドで寝られるーー! 」

 うれしそうに、宿屋に向かった。

 僕達も同感だ。


 宿屋に入ると小さなカウンターに痩せたおじさんが一人いるが、下を向いて作業をして挨拶もしない。

「あのー、部屋あいてますか」


 おじさんは下を向いたまま

「ああ」


 そっけない返事だけで、話が進まないのでこちらから

「えっと、男性が三人と、女性が二人ですが」

「部屋は四人部屋だ、2部屋でいいか」

 めんどくさそうに言う。

「はい、お願いします」


「二階の201と202だ」

 と、鍵を渡されただけ。

 案内もしないのかと思ったが、値段も安いし我慢した。


 ついでに、北の状況や、ここにエクアドルからの人が来なかったか聞いたが、何も答えてくれない。

 しかたなく、僕たちは2階に向かった。



 隣の部屋で、ミホロは久しぶりのベッドの上でキャッキャとはしゃいでいる声が聞こえる。


 僕と、ゴンゾーと三平太も荷物をおろして、久しぶりにベッドに寝転んだ。

 ベッドは白いシーツがきれいに敷かれて、気持ちがいい。これまで、土の上にシュラフで寝転んでいたので、まるで雲の上にいるようだ。


 夕食はパンとフライに牛乳だけで、近くの店で売っていた惣菜を皿に乗せただけで、ご馳走には程遠いが、久しぶりにテーブルで食事をした。


先程のおじさんが面倒くさそうに一人で用意をして、すぐに帰ってしまい、食器は自分で返却棚に返すようになっている。

 まあ、安いビジネスホテルといった感じで、僕はこだわらないが、ミュールは不服そうにブツブツ言いながら食器を棚に返した。

 流星騎士団の副団長で、一応貴族の家系みたいだで若干お嬢様も入っているのだろう。


 ゴンゾーはエールを飲みたいらしいが、店には置いてなく、酒屋もないらしい。

「いったい、この村はなんだ。酒のひとつも無いのか」

 ふてくされて、早々にベッドに寝転んだ。


 僕は三平太と少し外に出てみたが、村は不気味なくらい静かだ。しかも、扉は板の雨戸でしっかりと戸締まりされ、台風が来る前のように頑丈に防護している。


 しかたなく、部屋に戻って、三平太に

「なあ、おかしいと思わないか。静かすぎる」

「そ……そうだね……念の為、屋根に傀儡(くぐつ)を置いておこうか」

「そうしてくれ」


 三平太は背負っていた大きな箱をあけ人形を取り出し、呪文を唱えると、二人の女剣士が立ち上がった。

「ほんと、人間そっくりだな」

 二人はすぐに、窓から外に出て忍者のように屋根の上に登っていった。


 僕はしばし感心したあと、見た目は人間と同じ傀儡を作れるなら、どうしても良からぬ思いが浮かんでくる。

「なあ、三平太……ミュールさんや、レイカの傀儡を作れるか」

「うん……その人の、体の一部……体に身につけている物があれば……できるよ」


「体の一部……例えば髪の毛でもか……」

 三平太はうなずいた。

「せ……戦闘能力までは再現できないけど」

 正直それはどうでもいい、というか再現しない方がいい。

 それより……


「ところで、なんでも言うことを聞くのか」

「う……うん、どんなに嫌なことでも、なんでも聞くよ」


 どんなに、嫌なことでも………

(これはいける! )


 僕は心の中でほくそ笑んだ

「なんとか手に入れるから、作ってみてくれないか」

「わかった。影武者や囮とかに使えるしね」


「そうそう! 」

 と、さもその通りだと、同意するように返事をした。


 三平太は傀儡を戦力にと、健全なことを思っているようだが、当然、僕の思惑は違う!

 これは密かに行わねばならない、もしミュールやレイカにバレれば、袋叩き、半殺しの目に合う危険な……実験なのだ。


 まあ、これは旅が終わってからにしよう…‥…閑話休題。



 僕たちはそのまま寝たが、深夜に三平太に起こされた。

「なんだよ、三平太」

 眠い目をこすって起きると、すでにゴンゾーも起きている。


「かっ……囲まれている」

 すぐに、隣からミホロとミュールも来た

 窓のカーテンの隙間から、そーっと外を見ると、闇の中にうごめく人の頭が宿を囲んでいる。


「アンデッドがうじゃうじゃだ! 」

 モジャモジャの髪を振り乱し、腐ったような顔の死霊がうようよいる。


「どうやら、僕たちを狙っているみたいだ。宿の周りを囲んでいるから、逃げ場がない」

「それで、広場の真ん中にあるのか。まあ、ネズミ捕り、っていうわけだな」

 ゴンゾーが苦笑いしながら言う。


 ミホロとミュールも

「せっかく、まともなベッド寝られると思ったのに」

 

「まあ、単なるアンデッドの群れだけど、これだけの数だ。こんなのに襲われれば、少数の冒険者では、餌食になるだけだ。それで、誰も戻ってこないのか」


 ミホロが不安そうに

「どうする……」

 個別に戦ってこの群れを突破できるのは、ミュールさんくらいだろうが、この数ではミュールさんでもただではすまないだろう。


 これは、皆で組織だって倒すしかない。


 僕は、自慢のゲーム脳をフル回転させて、攻略方法を考えた。


お読みいただき、感謝でありますm(_ _)m


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