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現世に転移している異世界の剣姫に、僕は召喚獣として呼びだされた〜  作者: 猫ノあすき
第三章 目指せ! 遥かなるスワン・ヒル
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11 目指せ、遥かなるスワンヒル

 こうして、麗華のおかげで、妹の結衣(ゆい)は学校に行けるようになった。

 麗華にお礼を言いたいけと、皆の前では言いにくいし、麗華にも迷惑がかかりそうな気がして、話し掛けるのは控えている(メアドを交換したいのだけど。さすがに、そこまでは図々しくて言えない)。


 いよいよ夏休みに入る前日のあわただしい中、廊下で、なんとか麗華と少しだけ立ち話ができた。

 まずは、妹のことでお礼を言うと、麗華は焦ったように


「か……勘違いしないでよね、別に和也君のためとかじゃないから。ECCクラブの部長として、困った部員の面倒を見てるだけのことよ」

 おお! これはツンデレの定型文句ではないのか。初めて、生で聞いたツンデレ言葉に感激したあと。


「エクアドルでの準備もできて、明日から夏休みだし、僕はスワンヒルに向かうよ」

 麗華は笑顔ながらも、心配そうに

「ありがとう、でも無理しないでね。北の蛮族の地は強いモンスターがいるし、ゲームのシステムの外だから、そこに和也君がいる間はスワンヒルに召喚出来ない」

 僕はうなずいたあと、いい機会なので、これまでくすぶっていた疑問を聞いてみた。


「ところで、通天回廊は攻略出来なかったのですか」

 するとレイカはうんざりしたように

「モフモフの捨て身で、あの怪物は倒せたのだけど。まだ、いたの」


「まだ、いた! 」

さすがに、呆れた。ストレインワールドって本当に無理ゲー、無茶ゲーだ

「もう萎えたよ。でも、その先にこれまでと違う出口が見えたから、本当のラスボスみたい」

 まさか、あれ以上の化物がいるのか……僕は絶句した。


「もう、笑うしかないよね。そういえば、あのとき、捨て身で私を(かば)ってくれたモフモフには、感激したよ」

 うれしそうに微笑む麗華に

「でも、仲間がいれば絶対攻略できます。みんなでレイカさんを援護して最上階に行き。そこまでホーリー・スラッシュを温存してラスボスで使えば」

 力説する僕に、麗華は笑顔でうなずく。


 美貌だけでなく知性からにじみ出る可憐さと、聖母のような優しさの笑顔に、本当に体が熱くなり動けなくなる。虜になるとは、こういうことかと思った。

 でも、冷静に考えればこのような麗人(れいじん)佳人(かじん)が、僕など相手にするはずがない。まして、恋愛の対象になど……ありえない。


 そんなことを、悶々と考えていると、麗華は真顔になり

「それから、お父さんのことだけど、いろいろ裏事情がわかってきた。間違いなく、今のエクアドルのガイア教が関係している。カズヤ君と私の関係に気付いた者の仕業の可能性があるから、気をつけて」


 本当なのか! さすがに、僕も驚いて言葉がない。麗華は続けて

「こちらからの情報だけでは限界がある。早くエクアドルに戻って、あの豚野郎を締め上げないと」


「豚野郎って…」

「あの色情魔のサグリンよ」

「ええ! あの法王様」

 僕が、驚くと

「あの豚野郎……今、法王なの! いい加減にしてよ」

 麗華が吐き捨てるように言う。

 さらにサグリンの話で思い出したアシュルム殿下のことも聞いてみた


「レイカ姫は恋い焦がれていたアシュルム殿下に振られて、次元断層に身を投げたという、ことになっているのですけど」

 すると、レイカは蒼白になり

「それ…マジなの……」


 一瞬、絶句したあと。ワナワナと震え、目がすわり

「真逆よ! あの腰抜け、変態、オカマ、シスコンやろうと誰が! 」

 頭に血が登っている麗華、ちょっと怖い

「和也君は信じていないでしょうね! 」

 僕は、うんうん! と大きくうなずくしかない。


「あの、変態野郎も……帰ったら、ただじゃおかない……」

 血がにじむほど拳を握っている麗華。アシュルム殿下が気の毒になった。

 しかし、麗華お嬢様が「豚野郎」とか「腰抜け」などの、お下品なお言葉。麗人、佳人と思ったのは少し修正すべきかも


 麗華は息を整えたあと、腕を上げて伸びをしながら

「ああー、モフモフとは、スワンヒルの感じで話ができるしいいな」

 どこか、力の抜けたような麗華、こんな脱力感の麗華は学校で見たことがない。


「あのー、僕は一応、カズヤですけど」、

「ごめんごめん、こっちでは結構、猫かぶってるんだよ。わかるでしょ、スワンヒルの私を知っている和也君なら」


 照れ笑いする麗華に僕も笑うと、麗華が突然顔を近づけて僕の顔を覗いてくる。

 いったいどうした! こんな近くで女の子と話したことがないぞ。

 目の前に黒髪の数本が川面のようにゆらぎ、宝石のような瞳に見つめられ、緊張し息がつまりそうになる。それに、いい香りがする。


  すると、麗華はホッとしたような笑顔で

「初めて、和也君の笑顔を見たよ。最近話しかけてくれないし、おせっかいし過ぎて、私のことを嫌っているのかと思ってた」

 そんなこと、地球が反転する以上にありえない!


「嫌うだなんて……絶対にありえません! 」

 僕は必死で全否定すると、麗華は笑顔でうなずく。

 でも、麗華がそんなふうに思ってくれていたなんて、本当に意外だった。

 

  その後、別れ際に

「そうだ……和也君の旅の助けに、一人助っ人を雇っているから」

「助っ人って……いったいだれですか」

 麗華は少し考えたあと


「不穏な動きもあるから、今は秘密にしておく、楽しみにしておいて」

 はぐらかされてしまったが、最後に

「それじゃあ、幽閉の姫を助けに来てね、私の王子様」


 照れながら言う笑顔の麗華は、めちゃくちゃ可愛い。

 助っ人が誰かは言ってくれなかったが、王子様の前に“()()”がついていたぞ!

 これは、またまた、死んでもやるしかない!


 そして、新たな冒険の旅が始まる。


 目指せ! はるかなるスワンヒル!


【第三章】了


お読みいただき、ありがとうございますm(_ _)m

第三章の終わりです。次回から新たな展開になります。

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