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現世に転移している異世界の剣姫に、僕は召喚獣として呼びだされた〜  作者: 猫ノあすき
第三章 目指せ! 遥かなるスワン・ヒル
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9. 家庭崩壊

 

 全く、予想だにしなかったこと。

 僕自身のことなら察しもつくが、親が普段何しているかなんて子供には分からないし、興味もない。


 当然、状況を改変する知力、財力、政治力などは、高校生の身分では皆無だ。救命胴衣なしで、乗っている船が沈没するようなもので、船と共に沈んでいくしかない。


 

 学校で事情を聞いて、急いで家に帰ると警察が来て騒然としていた。家宅捜査で、家の中の物を押収している。

 僕と母、そして妹は呆然としているしかなかった。


 警察が帰ってからは、散らかった部屋を片付ける気力もなく、母さんは寝込んでしまい、妹も部屋に閉じこもってしまう。

 何度か新聞記者のような人がインターホンを鳴らしたが、丁重にお断りした。


 ネットのニュースては、父さんが工事の発注を巡って、予定価格を業者に漏らしたことが書かれている。よく聞く話だが、まさか自分の父親が当事者になるとは。


 今まで、うだつの上がらない親父が、年功序列で昇進して業務を発注できる立場になり、ちやほやされて、浮かれてしまったのだろう。

 親父も、人がいいから、いろいろ接待されると、断れないのだろうか。


(バカ、おやじが! )

 と思うが、小遣いをあげてもらったり、食事に行ったりして、僕達にとってはいい父親だけど。


 そんな僕も、スコルピオン戦に参加した時、ハヤセに借りを作ってしまった。簡単に借りを作ってしまう性格は、人が良すぎる場合にも多いのだろうか。美味しい話には、裏があるのはわかっていても、断るのは相当の勇気がいる。

 多分、ぼくも親父と同じなのだろう、


 それから、僕の家庭事情は激変する。


 母さんは、寝込んでしまい外に出られないようで、しかたなく僕が買い出しに行く。まあ、ハミ子には慣れているので、近所にどう見られようと気にしない。


 スーパーに買い物に行って、お弁当を買ってくるのだが、親父は失業して収入もなくなるので、閉店ギリギリに行って半額弁当を買ってくる気配りようだ。


 金持ちが儲かり、幸福な者に幸運が訪れ、不幸な者に不運がまとわりつく。

 これらは連鎖し、呪縛だ。


 金は水と似ている、少ない時は人を潤し生きるためになくてはならないものだが、多すぎると災害を起こし逆に人の命を奪うことがある。いきなり大金を持つと、人生を大きく変えるものだと、痛感してしまった。



 翌朝、妹の結衣は部屋にこもったまま。


「おい、学校に行くぞ」

 返事がない。部屋を覗くと、まだ布団にくるまっている。

(まあ、しかたないか……一日くらい休ませてやろう)


 ぼくは、一人学校に向かった。

 こういったとき、ボッチは強いのだ……


 学校で噂はすぐにひろまったようで、教室の生徒がよそよそしい。いつものことなので、気にせず席に着いた。

 ただ、以前より、僕を見る目が厳しい……


 そんな中、三平太と、部活のゲイ・マッチョたちは、全く気にしていないようで、いつもと同じだ。こういった時、変人友達はありがたいが、相談相手にはならない。


 その後、犯罪者の子供とのレッテルが張られ、陰湿ないじめが始まる


『犯罪者の息子! 』

『税金泥棒!!』

 などと書かれたくしゃくしゃの紙が靴箱に置かれていたり。靴が隠され、裸足で帰れ、などのご丁寧な書き置きがあったり。掲示板に、僕の家の新聞記事がはられ、知らないうちにノートに辛辣(しんらつ)な落書きがあったりする。

 僕はどれも無視している。


 教室ではいつもように、早瀬がきて麗華達と話をしているが、犯罪者とか、汚職、といった単語が聞こえる。どうせ、僕のことを罵っているのだろう。

 麗華は、腰に手をあて不機嫌そうに聞いていた。


 せっかく話しかけてくれた麗華は、どう思っているのだろう……お嬢様の家だから、家柄を大切にするのだろうな、犯罪者の家なんて、近づきたくもないだろう。


 こうして、肩身の狭い思いで通っているが、最も僕を落とし込ませたのは、妹へのことだ。


 僕は、妹の担任の先生に言われて、置いている勉強道具を取りに行った。

 僕が兄だと知られるのは嫌だろうが、仕方がない。

 遠巻きに、妹のクラスの生徒が僕をみている


「あれが、結衣のお兄さん……ださいー」

「結衣も、裏ではいろいろしているらしいよ」

 といった、あらぬ噂のヒソヒソ声が聞こえる。

 僕は、妹の机を空にして、自分の教室に戻ってノートを見ると、“犯罪者”とかの落書をされているページを見つけ、僕はすぐに破り捨てた。


 (とど)めは帰り際、心配で妹の靴箱も覗いてみると。やはり僕と同じ、いやがらせの紙が入っている。

 僕は、取り出して破り捨てた。


 結衣が学校に来ていないのが幸いだ。

 愚妹ではあるが、結構周りを気にするので、こんなことされたら、むちゃくちゃ傷つくのは目に見えている。それは、自分がされるより辛い……


 もう、無理だ…… 


 一週間で、ヘトヘトだ。根暗と言われるけど、ポジティブだけが取り柄のぼくでも限界だ……

 僕は、しばし呆然と立ちつくし、何もかも嫌になった。

 

 僕も明日から学校にこられそうもない……

 肩を落として、靴箱の玄関から外に出ていこうとすると。


  ……麗華がいた。


お読みいただき,ありがとうございますm(_ _)m

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