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現世に転移している異世界の剣姫に、僕は召喚獣として呼びだされた〜  作者: 猫ノあすき
第三章 目指せ! 遥かなるスワン・ヒル
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6. 告白

 僕はストレインワールで、ミホロやゴンゾーと北へ向かうための準備をしたり、スワンヒルでレイカからの召喚で特訓をしたりと、忙しい。

 さらに、夏休みも近づき、盆踊りシーズンになり部活も活発になっている。

 そんな中、家に帰ると、最近なぜか妹がご機嫌だ。


「どうしたんだ。やけに明るいな」

「えへへ、英語の発表会で、白鳥先輩に褒められたんだ」

「ふーーん」

 僕は気のない返事をする。


 そういえばこの前、学食に行くと人間磁石の麗華がいて、その周りに人が集まり、ほんとうにアイドルのようだった。他の学年の生徒も寄ってくる中、妹が端の方で、なんとか話に入ろうと食らいついている様子が、なんとも健気(けなげ)だ。


 さらに、妹は

「最近、白鳥先輩がいろいろ私に教えてくれるの」

「ふーん。よかったな」

 僕にもほんのわずかのお恵みを、と言いたい。


「よーし。がんばるぞ! 」そう言ったあと

「それから、お兄ちゃん! この好機をぶち壊すようなことをするなよ。白鳥先輩に、話しかけるな、近づくな、目に入るところに行くな! 」


 釘をさすように言うが、どうせ近づきたくても、近づけるわけない。僕は「はいはい」と、気のない返事で手を振ってうなずいた。

 そんな妹はルンルン気分で、英語の勉強を頑張り、成績もあがっている。麗華さまさまだろう。


 そのうち、親父が帰ってくると。

「おかえり! 」

 妹がとんでいく。

 おこずかい目当てで媚びているのが、みえみえだ。親父は今日もご機嫌で

「お寿司だ! 」


 かつて、酔っ払いのお土産の定番。

 最近、親父の羽振りもよく、その恵みに僕たちも乗せてもらっている。

 お小遣いも上がったし、先週は数年ぶりに家族で焼き肉に行った。この歳になって家族と出かけるなんて、面倒だけど、焼き肉だけは別格なのだ。

 こうして意外と、家族円満、家内安全な状況だ。


 ただ、三平太(さんぺいた)のことでひと悶着になる。


 ◇


 僕は、あの告白劇のあと、時々三平太に状況を聞くが、何も変わったことはないと言う。

 まあ、恋人でもあるまいし、隠しことをするのも構わないが、やはり友人がいじめ的なことに巻き込まれるのは、レイカに言われたこともあるし、いい気分ではない。


 その日は、部活が休みになり、いつもはそのまま帰るのだが。忘れ物があって教室に戻ると、教室の戸口で三平太と数人が集まっていた。

 嫌な予感がする。


 僕は、そばに行って

「な……なにしてる」

 恐る恐る訪ねると、横にいる男子が

「三平太が同じクラスの女子に、告白するそうだ」


 教室の中には、数人が残っている。そのうち、黒板の前で二人の女子が待ち受けているが、どう見ても、こちらの男子と示し合わせているようで、へらへらと談笑していた。

 教室の後ろでは麗華と生徒会の女子が、数人で打ち合わせをしていて、他にも数人残っている。


 僕は三平太に向かい

「お前その娘が、好きなのか」

「ええ……まあ…でも、紹介してくれるって言うから。ひょっとして、うまくいくかもしれないし……」


 僕は、周りの奴らを見て

「そんな、わけないだろう! 」

 とは……怖くて言えない。


 横の男子が、いらんことをするな、と言わんばかりに

「おい、せっかっく、俺たちが設定したチャンスなんだぜ。じゃましないでやれよ」

「………」

 ぼくは、言い返せない。

 確かに僕がでしゃばることでもないが、どうせダメに決まっている。でもどうすれば………

 こうなったら、三平太と一緒に恥をかいてやるくらいしか思いつかない。僕にはそれくらいのことしかできない。


「おれも、告白する! 」

 半分やけくそだった。周りの奴らが

「ええ! お前が、誰にだ」

 どうせ、特攻して爆死するなら、大型戦艦か大型空母を狙うべきだ。


「し……白鳥麗華に告白する! 」


 一瞬、周りが固まった。

 そのあと、皆は腹を抱えて笑いだした。


「おい! 正気か。白鳥麗華は別格だ。どれだけのイケてる男子が辛酸をなめたことか。早瀬だって、落とせないって言っているのに。お前みたいなのが無理に決まっているだろ、なんなら他の子を紹介してやるぜ」

 わかってる、それにこいつらが紹介できる女子なんて、基本的にぐるに決まっている。それこそ、僕など相手にされない。そんな奴らに金を払う気はない。


 すると、三平太が

「カズヤ……いいよ、ぼくいくから」

 そう言って、いきなり教室に入っていった。僕が行動すると言ったので、僕に恥をかかせないようにと思ったのだろう。

 黒板の前の女子は、きたきた、と言った感じで笑っている。

 それに気づいた麗華も怪訝(けげん)な顔をしているが、さすがに、やめろとまでは言えないようだ。


 僕は思わず、三平太を追いかけて。

「おいまて! 」


「僕が、うまく行けば、お前も告白しろ」

「ええ! でも」

「いいな」

 ぼくは、睨むように言うと

「……わかった」


 そして僕は、麗華に向かった。

 それは、戦艦大和に、竹やりで挑む櫓漕(ろこぎ)ぎ舟。

 僕は、真っ赤になり、麗華の前に立つた。


 これから何が起こるのかだいたい想像ついたようで、横の女子が

「なんなの! 」

 僕の間に入って、麗華を(かば)おうとする。やはり、門前払いかと思ったが


「ちょと、まって」


 麗華は意外にも女子を制し、僕を見据えた。

 まさか、僕の話を聞いてくれるのか……巨大空母を守る駆逐艦の対空砲火で、近づくことすらできずに撃墜され、三平太と盆踊りをしようと思っていたのに。


 思ってもみない展開に、僕はにわかに、緊張してしまった。

 ただ、もうあとにはひけない


「白鳥麗華さん、ぼ……ぼくと、盆踊りしてください! 」


 あれ……焦って文言(もんごん)、間違えたかも、麗華が唖然としている。

 もう、どうにでもなれ! やけくそで頭を下げた。

 さあ、早く罵詈雑言(ばりぞうごん)をあびせろ、切って捨てろ。

 すると、下げた頭の上から


「ねえ、中川くん。それって、だれかに言わされているの」


 僕は顔をあげると、麗華の瞳が僕をまっすぐに見詰めている。

 その真剣なまなざしに圧倒され、直視できない。

「ええ……それは…」


「三平太くんを助けるため、私をあて馬にしているの。それでカッコいいとおもっているの。それが、三平太くんのためと思っているの」

「そ……そんなこと…」

 矢継ぎ早に言われ、ぼくは答えられない。

 そして、つぶやくような声で言った言葉にぶちのめされた、


「あなた、レイピア(刺突剣)をもってたね。だったら勇者を目指しているのでしょ」


 麗華は知っていたのか!

 僕は、脳天から鉄槌を打ち下ろされた感じだ。

 

 ただし、麗華は

「私の答えは決まっています。今のあなたではNoです」


 やっぱり、そうだろう、想定通りの答えだ。それでも0.001%くらいの奇跡は期待していた、やっぱりショックだ。

 そう思って麗華をみると、なぜか微笑んでいる。

 とても、相手を振った表情ではない。


「大事なことですから、もう一度言います。()()()・あなたではNoです」

 それは、僕が変われば、答えも変わるということ?

 (つや)やかな長い黒髪を、川のせせらぎのように揺らしながら、おだやかに微笑むこの表情は……


 麗華はゆっくりと席を立ち

「これから生徒会に行くので」そう言ったあと、再び小声で


「ストレイン・ワールドで、ポーに会ってほしい。それで、ポーの言ったことを私に伝えて」

「ポー……?」

「オルフェス山の洞窟にいる」

 そう言い残して出て行った。



 まあ、振られた……のだろう。

 さらに、その様子を見ていた生徒達が、麗華の告白の断り方が神対応だと絶賛した。

 麗華は相手を振る場合でも、相手を思いやっていると。

 その後、クラスの奴らは、僕を気の毒そうに見たり、馬鹿なやつだと冷ややかな目で見たり、総じて嘲笑(あざわら)っている。


 ただ、僕は知っている。


 あの表情は、魔獣を倒せず悔しい思いをしているとき、僕をなぐさめてくれる笑顔だ。

(勝てなかったけど……負けてはいない! )


お読みいただき、ありがとうございます。m(_ _)m

週一の更新ですが、引き続きよよろしくお願いします。

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