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現世に転移している異世界の剣姫に、僕は召喚獣として呼びだされた〜  作者: 猫ノあすき
第三章 目指せ! 遥かなるスワン・ヒル
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3 黄昏の盆踊り

-翌日、学校の教室-


「なあ、三平太。お前、いやがらせとか、されていないか」

「えっ……なっ…なにも」

 相変わらずの吃音(きつおん)だが、僕は慣れている。ただ、いつもと違う、もどかしく詰まった口調に、何かあるのは間違いない。


 こんな三平太は、超がつくコミ障で、見てくれも悪いが、意外と勉強はできる。というか数学と物理は麗華を抜かすことさえあるが、他は壊滅的で僕にも及ばない。

 出来不出来が極端な、いわゆる天才肌だ。また、絵も上手く漫画研究部に入っている。


 僕は三平太が心配で、週二回しか活動していない『盆踊り部』の後、三平太の様子を見にいくことにした。


 ちなみに盆踊り部は、部員五人の廃部寸前の部活で、三年が二人、一年が三人、そして二年は、()しくも僕一人だけなのだ。

 幽霊部員を目指して入部したのだが、ここまで人数が少ないと、部活に出ないと三年生が、わざわざ教室まで迎え(強制連行)に来るので、逃げられなくなっている。


 その三年の先輩も、ものすごーく変わり者で(端的に言うと、マッチョ)。それが、どたどたと教室まで来るのだ。というわけで、みんなにドン引き、白い目で見られる。


 それでなくても、変態あつかいなのに……ぼくは至って常識人だぞ!


 先輩たちや部活の話はおいといて。僕は、盆踊り部のあと、三平太の漫画研究会のある教室の中庭の垣根から中の様子を伺った。


 なんか、覗きをしているストーカみたいだ。

 こんなところ、だれかに見られたら……って!


 こういうときに限って間が悪く、麗華を含めた女生徒が通りかかる。

(マーヒ〇の法則といったかな、「起こる可能性のあることは必ず起こる」「急ぐ時ほど紙詰まりする」とか……)


 たぶんECCクラブのメンバーで、しかも妹までいる。

 一瞬、麗華と目があったような気がした。

 妹は、知らない顔をして、早く立ち去ろとしている。


 僕は、エッチな本を買おうとして、手を伸ばしたが、知り合いに見られているのに気づいて、あわてて手を引っ込め、ばつが悪く、そそくさと逃げるかのように、顔を伏せて立ち去った。


「あの人、女子ばかりの茶道部を覗いてたよ……気持ち悪い」

 後ろで、女生徒のささやく声が聞こえる。


(ちがうちがう! )

 漫研は、茶道部の奥にあるので、勘違いされる可能性は高い……でも、言い訳などできるわけなく、僕が言っても信じてもらえないだろうな。


 恐る恐る振り返ると、麗華が僕の覗いていた方をしばらく見つめた後、皆に呼ばれて立ち去った。

 あー、もうどうにでもなれ!


 家に帰ると、妹の結衣(ゆい)

「なに茶道部を覗き見してるの! 変態兄貴。しかも、麗華先輩のいる前で。もう、他人の振りをするの必死だったんだよ」

 と散々罵られ、言い訳も聞き耳持たずだった。


 それにもめげず、僕は今日も三平太の様子を見に行った。

 ただ、そんな僕を、見ている奴がいるような気がする。茶道部に通報が入って監視されているのだろうか。周りを見ると、校舎の窓に影が動くような気配が時々ある、気のせいだろうか。


 ある日、漫研に三平太がいない。

 学校には来ていたので、クラブを休んだのだろうか。そう思って靴箱を見たが、外靴が残っていた。

 嫌な予感がして、学校中を探すと、向かいの校舎の屋上で三平太が女の子の前で何か話そうとしている。


「まさか、三平太が告白! 」

 しかし、様子がおかしい。


 周りを見ると、後ろの陰で数人の生徒が様子を見ている。

(あいつら! )

 僕はあわてて、向かいの校舎の最上階まで息をきらして駆け上がったが。


 すでに、終わったあとで、三平太は屋上で一人ぼんやりし、他にはだれもいない。

「おい! 三平太」

「あっ……和也…ど…どうしたの」

「どうしたも、くそもあるか。何をされたんだ」

「エヘヘ……好きな子がいて、告白させてやるから、その子をつれてきてくれて」

 そんなの、無理に決まっている。(たち)の悪い、いたずらだ。


「また、ふ……ふられた」

 すこし、涙ぐむ三平太


「またって……これまでも」

 三平太は純情な奴だ。

 少しでも優しくされると、すぐその気になってしまう。陰で見ていたやつは、それを、面白がっているようで、紹介料と言って、お金を取られたりもしているようだ。

 その後、分かったのだが、女子もグルで、三平太をその気にさせて、紹介料の分け前をもらった者もいるみたいだ。


 三平太だって女の子と、お付き合いがしたい。それを悪用して面白がるなんて、許せない……

 だけど、僕にはどうしようもない、勇気もない、力もない……情けない。

 ゲーム内なら立ち向かうけど、リアルの僕には、ないない、ずくしだ。


 ただ、これ以上、そそのかさらないように「僕に相談しろ」と言っておいた。

 あとは泣き寝入りするために、慰めてやるしかない。

 

「盆踊り、しないか」


「ぼっ……盆踊り? 」

 三平太は一瞬冗談かと思ったようだが、僕は真剣だ。

「ぼくは、嫌なことがあると、盆踊りをするんだ。いい、気分転換になるぞ」

 実は僕も、レイカにきつく言われたこともあり、盆踊りを踊りたい気分なのだ。

 三平太は、僕の好意を断れないようで、うなずいた。


 部室に行くと、数ある盆踊りソングを物色し

「盆踊りでは、炭坑節やソーラン節が定番だが、意外と恋する◯チュン・クッキーや、トラえもん音頭などもいけるぞ」

 さらに、気分を出して、浴衣(ゆかた)を着た。


 小柄な三平太には女性ものしかないので、しかたなくそれを着てもらった。

 盆踊り部に女性部員はいないのだが、先輩(男)が愛用していることもあり、いろいろ種類がありサイズも多い。



『月がーでた、でーた♪ 月がーでたー、よいよい♬』


 CDレコーダーから流れる、心躍るアップテンポの炭坑節。これから、夏にむかう季節にぴったりだ。

 僕は、先輩から受け継いだ、ダブルステップ・パラレル・シェイクハンドという盆踊りの大技を舞う。

 夏の町内会の地蔵盆で、披露するつもりだ。


「意外と、楽しいだろ」

 三平太はなんとも言えないようだけど、とりあえず踊っている。


 ヨタヨタと踊る三平太に踊り方を手取り足取り教えていると、三平太の足が絡まり後ろに倒れ、僕を掴んでいたので、三平太の上に馬乗りになってしまった。


 これが、女の子だったら、最高のシチュエーションだ。もしも麗華だったら、死んでいい、などと思ったが……

 この光景を他人が見ると。


♡♡♡

 人気のない放課後の校舎。

 黄昏の教室の中の明かりは消され薄暗い。

 そこに、重なる二つの人影。


 そんな二人の情事を、教室の外から見惚れている女生徒がいた。

 夢中な二人は、他人に見られていることに気づかない。

 女生徒らは、高鳴る鼓動にあらがえず、あとずさりしたとき、戸口につまずき、コトリと音を立ててしまった。


「だれ! 」


 気づいた二人は、驚いて起き上がり、赤面する……


 閑話休題 !


「中川くんと、三平太君って! やっぱりーー! 」


 入口から女生徒、数人の声がする

「おおお! おい勘違いするな! それに、やっぱりって! どういうことだ」

 僕は、あわてて叫ぶが


「ごめんなさーーい。おじゃまだったみたい」

「三平太くん、女性の浴衣を着てたよ…」

 女生徒は、笑いをこらえて、廊下を駆けていった。


 その後の三平田と僕は、BLのレッテルをはられ、三年のマッチョの先輩には、将来有望だと喜んでくれたが女生徒達には、こそこそと、いらぬ噂をされているようだ。

 さらに、麗華は、最近探るような目で見られることがあり、少し怒っている感じもする。


 まあ、何事も、あきらめが肝心……

 だけど、ちょっと辛い。


お読みいただき、感謝です! 引き続き、よろしくお願いします。

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