1 僕とレイカと妹
再び本筋の和也視点に戻します。冒険、バトル、ラブコメ、盛りだくさんのエンタメにしたいです。
僕はレイカと通天回廊に挑んで死んだあと、スワンヒルの泉で復活して一ケ月が過ぎた。
レイカは通天回廊を攻略できたのだろうか。
スワンヒルに帰っているということは、だめだったのか。直接、麗華に聞ければいいのだが、リアルで接点のない僕には、聞く術はなかった。
さらに、僕が伝えようと思っていたモフモフ復活の方法は、なぜか早瀬に伝えられてしまい。あれから、早瀬と麗華の仲が急接近している………ようだ。
早瀬はほとんど毎日、僕の教室に来て、あたりまえのように麗華の横にくる。なんとなく、まわりも気をつかって、麗華と早瀬を邪魔しないようにしている感じがする。
「いらぬ、気づかいはやめろ! 」
と、言ってやりたい………男子は、僕だけではない。
そんな早瀬は、全校生徒のアイドル、憧れ、女神様ともいえる白鳥麗華と親しくして、やきもきしている男たち(女子もいる)を、見下しているように見える
「そんなことで優越感に浸るとは、なんて小さい男だ! 」
と、言ってやりたい………男子は、僕だけではない。
しかし、なぜ早瀬は、モフモフ復活の方法を知っていたのか、問い詰めたいと思うのだけど。
あいつは僕より背が高く、回りの男子も運動部のキャプテンとかイカス奴ばかりで、とても僕など近寄れる雰囲気ではないし、怖くて、そんなこと出来ない。
どうしてゲーム内では勇気があるのに、リアルのぼくは臆病なのか……
それは、簡単な話だ。
ゲーム内では、死んでも生き返る。
人間、何があっても死なないとなれば、何でもできる。好きな人を守るため、極悪人と戦うこともできるのだが………働く必要がないし、銀行強盗してもいいし、告白して振られた相手を腹いせにレイプして死刑になっても、死なないのだ。
しかしここは、あくまでリアル、幻想と混同してはいけない。誠実さと、何が起ころうともポジティブに考える、能天気お人好し思考だけが、僕の取り柄(?)なのだから。
こうして、いつもと変わらない日々を、教室の片隅で三平太と二人で過ごし、白鳥麗華を心の女神様として遠くから見つめるだけで、いつのまにか高校生活を終えるのだろう。
まあ、召喚獣で、レイカのそばに居られただけ、ましなのかも。
でも、麗華が僕を見る目は、相変わらず冷たい。さらに、なぜか最近、他の女生徒も僕を見る目が冷たいような気がする。
ちなみに、召喚のお呼び出しなのだが………
スワンヒルの泉で生き返って以降、極端に少なくなった。というか、この一週間まったくない。
用なしなのか、やる気がないのか、ゲームに飽きたのか………考えたくないのは
早瀬と仲良くしてゲームをする時間がないのか……
うまく行かないときって、その理由をいろいろと妄想してしまう……それは、元気を出そうと思って、食べすぎて消化不良を起こすかのように、いろいろ考え過ぎて、いらぬ結論ばかりが下痢のように出ちゃうのだ。
◇
こうして毎日、悶々とした日々を送っていると、ある日、普段あまり話すことのない妹の結衣が、珍しく話しかけてきた。
「ねえ、お兄ちゃん。ストレイ・ワールドってゲーム、やってるよね」
意外にも突然ゲームの話を始める結衣だが、僕も早く風呂に入りたいので
「まあーな」
そっけなく言う。
結衣は一学年下の妹で、僕には普通にしか見えないが、結構というか、かなり可愛い……らしい。男子からもお誘いがあるようだが、本人は麗華にゾッコンで、僕が兄と知られたくない妹は、学校で絶対話しかけるな、と言われている。
そんな結衣が風呂上がり、パジャマ姿で髪を拭きながら。
「実は、聞いちゃったのよね。レイカ先輩と早瀬さんが、そのゲームの話をしているとこを」
「えっ! 」
思わず反応すると、餌を投げて魚が食いついて「かかった」といった表情で
「それで、私もやってみようかなー、なんて思っているのだけど……でもお兄ちゃんとは、絶対にパーティーとか組まないからね」
そんなこと聞いてない。
「でも、レイカは、僕らがいるエリアにはいないぜ、天界という誰も行ったことのない場所にいるんだ。会うことはできないぞ」
「ええ! そうなの。会えないのなら、ゲームしても無駄かー……」少しやる気が失せたようだが
「でも、早瀬さんもかっこいいね。早瀬先輩って、ゲームではなにしてるの」
おいおい、おまえ麗華LOVEなら、恋敵だぞ。
でも、そういえば、北の関所の討伐以来、早瀬とゲーム内で会ったことはない。どこにいるか聞かれても、答えられなかった。
「もう、頼りになんないなー………」
急にいつもの愛想のない妹に戻る。まるで、大物を釣るつもりが小魚を釣ってしまい、リリースする感じだ。
しかし、麗華と早瀬は二人で何を話していたんだ、気になるが、詳しいことはわからないらしい。
「それより、ゲーム機器は結構高いぜ」
結衣が、あまりお金を貯めていないのを知っているので、老婆心で忠告したが
「大丈夫だよ。お父さん、課長に昇進して給料あがったから、今度の誕生日に買ってもらうんだ」
「ええ! そうなのか。羽振りがいいな」
「そうみたい。お父さん、この前も、接待されて高級料亭に行ってきたって、自慢してたよ」
そういえば最近、親父の帰りが遅いのは、そういうことなのか。
「いいご身分だな。まあ、中卒で役場に入って、これまで苦労してきたようだし。やっと小さいながらも花がひらいたってことかな。僕らのお小遣いも上りそうでラッキーだけど」
僕はシャツを脱ぎながら言うと、結衣は話を聞いてないようで、台所でジュースを飲んでいた。
力の抜けた僕は、ため息をついて風呂に入ろうとすると、妹の下着が脱ぎ散らかしてある
他の男子からすれば鼻血ものの光景かもしれないが
「結衣、脱いだもの洗濯機に入れておけよ! 」
「あー ごめん、ごめん、お兄ちゃん入れといて」
無頓着な妹だが、モフモフのときにレイカの裸を見ているのと同じような気分で、妹の下着を見ても、ほんとに、汚れ物としか思えない。
僕は可愛い花柄の、おパンツを指先でつまんで、ゴミ箱に捨てるように洗濯機に放りこんだ。
その後、久しぶりにレイカの召喚を受けた。
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