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現世に転移している異世界の剣姫に、僕は召喚獣として呼びだされた〜  作者: 猫ノあすき
第一章 僕は彼女の召喚獣
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10 木漏れ陽のなかで 

 レイカは通天回廊を攻略できたのだろうか、(とど)めを刺せたのだろうか、死んだ僕にはわからない。


  翌日、麗華は消沈した表情で登校してきた。

 一日中ぼーっとして、授業中も端切れが悪く、周囲の女生徒から早退を促されたりしている。

 たまに、涙ぐんでいるようで、ひょっとしてモフモフが死んだことを悲しんでいるのだろうか。


 死ぬって、こういうことなのかな。

 死んだら何もわからない、これまでの苦労も栄光も、隠していたエロ本や、ネットでエロ画像を集めていたことがバレても、わからない。

 そして、悲しむ人がいる。


◇ 

 僕はその後も、死んだ召喚獣を蘇生させる方法がないか、毎日ほぼ徹夜でストレイン・ワールドのゲーム内を駆けずり回って探していた。

 しかし、手掛かりはない。時々、付き合ってくれているミホロも


「カズヤー、もう(あきら)めたら。多分無理なんだよ。私達だけでは、限界だよ」

 確かに、まだ未熟な僕たちでは情報も少なく、効率悪いが聞いて回るしかない。 

 いつも、面倒くさいことはしないゴンゾーも、なぜか手伝ってくれる。どうも、レイカ姫のことが気になっているようだ。


  そんな中、南のラピス海の孤島に、古代の遺跡があり。そこのダンジョンに天界やスワンヒルのことが描かれた壁画があることを、海の商人から聞きつけた。


 そこそこの難易度のダンジョンで、島に渡る費用も必要となり、ほぼ有り金全部だ。しかも、おそらく帰ってはこられない。

 ちなみに、死んでも聖堂で蘇るが、これまで苦労して貯めたレベルは削減され、所持金もかなり減り、僕たちは間違いなく借金することになる。

 でも、ミホロとゴンゾーは快く引き受けてくれた


「ごめんミホロ、それにゴンゾー、無理させて」

「まあ、気にしないで。私達チームなんだし。お姫様、悲しんでいるのでしょ」

 こんな僕のために、と思うと涙がでる思いだった。


 向かった孤島の洞窟。

 墓地の遺跡で、アンデンド・ボーン(骸骨)など、レベル20程度のモンスターが出現するが、僕たちには強敵だ。


 ボーンの群れの攻撃に、盾役になって防いでいた、ゴンゾーが

「すまん、カズヤここまでだ」

 かなりボコられて、体は傷つき、顔もぐちゃぐちゃだ。ミホロが、最近覚えた回復のヒール魔法を使ったが、間に合わず、ゴンゾーのHPは0になり、消え去った。


 ゴンゾーがいなくなったあと、なんとかラスボスの手前の部屋までたどり着いたところで、再びアンデンド・ボーンの群れに囲まれた。

 ここに来るまでに、ミホロのHPもほぼ0だ。

「カズヤ、壁画は次の部屋だよ。行って! 」

 そう言うと、詠唱を始めた。


「炎の精霊よ、炎獄(えんごく)御霊(みたま)よ、我身(わがみ)にその(ほむら)を宿し、憤激(ふんげき)劫火(ごうか)を放て!!」


 杖を高々と掲げると、ミホロを中心に火炎の渦が巻き荒れる。

 以前に比べて上達したフレアで大部分のアンデッドを焼き尽くしたが、MPマジックポイントは0になった。

 このあと迫ってくる敵に反撃する魔法は使えない。

 しかし、次の部屋に抜ける、時間をくれた

「ごめん! ミホロ!」


 ミホロは笑って、手をふるとアンデッドに襲われて、消え去った。

「痛いのはいやだ」と言ってたので、ほんと、ごめん! 

 僕は、心の中で何度も、謝った。



 こうして、なんとかたどり着いたラスボスの部屋。

 敵は、ワームが1匹。


 スワンヒルでの猪八戒なら、群れできても大丈夫だが、今の僕には1匹でも勝ち目はない。あの(みにくく)て嫌だった猪八戒が、偉大に思えてくる………

 たられば、を言ってもしかたがない。勝てる相手ではないので、HPがなくなるまでの間、壁面を観察するのだ。


 広い部屋の壁面には、古代エジプトの壁画のような絵が壁一面に描かれている。僕はワームの放つ毒液を避けながら、駆け回って壁面を見たが、とても全部をみることはできそうにない。


 描かれているのは、雲上の庭園、動物、宮殿など、ヒエログリフのような絵で、手がかりになるようなものが分からない。

 さらに、ワームの放つ毒液を浴びてHPが削られていく。

 もう、死ぬ寸前というときに、気になる絵を見つけた。それは、天に伸びる塔で通天回廊のようだ、ということはスワン・ヒルが近いかもしれない。

 そのあたりを重点的に探すと……


(これは、スワンヒルでレイカと一緒に水浴びした、森の泉……そこに、女神のような女性が入って、手をかざした先に、動物か召喚獣が降臨しているようだ)


「ひょとして、これかも」


 次の瞬間、ワームの攻撃をうけて力つきた僕は、聖堂にもどされた。


 先に帰っていたミホロに

「何かわかった」

「それらしいものを見つけたよ」

「ほんと、よかったね。早く知らせてあげなきゃね」


 辛い思いをさせたのに、笑顔で答えてくれるミホロやゴンゾーに、胸が熱くなり。

「ほんとにありがとう」

 少し涙ぐんでしまった。 


 最近、毎日徹夜だったので、学校ではフラフラ状態だった。

 このまえは授業中居眠りをして、急にあてられとき「おはようございます! 」と叫んでしまい、皆んなに笑われ、麗華にも笑われてしまった。

 

 こうして、ミホロやゴンゾーも巻き込んで、苦労して情報を得たものの、通用するかは半信半疑だ。

 しかし、何も方法のない中、ダメ元でもやる価値はある。

 ただ、少しやばい方法ではあるのだが。

 

 さらに、リアルでは麗華に避けられている僕が、どうやって伝えるかだ。麗華にはいつも取り巻きがいて一人になることはなく、近寄ることもできない。


 でも、消沈する麗華を見ていられないのと、舞うような美しいレイカの剣技と一緒に戦いたい思いは消し去れない。

 そこで僕は、古典的だが放課後の教室に戻り、周囲にだれもいないのを確認して、その方法を書いた手紙を麗華の机の中に入れた。


 僕の名前を書いておくか相当迷ったが、どうせ最後のチャンスだし、思い切って名前を書いておいた。くどいようだが、かなりやばい方法で、もし違っていれば、変態呼ばわりだ。でも、成功したら僕への好感度はV字回復間違いなしだろう。


 そしてその内容は……


『森の泉に裸で入って、モフモフを呼べ! 』



 ◇

 二日後の夜、僕は再び召喚された。

 そこは新緑の木漏れ陽が降り注ぐ泉、どこかで見た懐かしい光景。


(ひょっとしてここは! )

 スワンヒルの森の泉……


 僕は戻ってこられたのだ。あの壁画は正しかったのだ!

 でも、スワンヒルということは、通天回廊を攻略できなかったのだろうか……


 振り返ると目の前に、両手を広げて涙目で微笑むレイカ

 僕も嬉し涙が出てきて、レイカの腕に飛び込んだ。

 そして、僕は心の中で叫んだ


「モザイク消えろ! 」




◇ 翌日ーー


 こうして麗華のリアクションを期待して登校したが、全く反応がない。

 その放課後、僕は麗華と早瀬が立ち話しているのに出くわした。二人で会うなんて、ものすごーく気になる。

 僕は、となりの壁で、いけないと思いつつ、聞き耳を立ててしまった。


 ****


『早瀬くん! ありがとう、おかげで上手(うま)くいきました』

 うれしそうに話す麗華。


『変な方法だったし。ごめんね』

『そんなこと気にしてませんよ。それで、成功したのだし感謝してます』

『でも、まさか白鳥さんもストレイン・ワールドをやっていたなんて驚いたよ。もし、困ったとことがあったら連絡して』


『うん、ほんとうにありがとう。でも、ゲームのことは誰にも言わないでくださいね』

『わかってる。僕達だけの秘密といこうとで』

 麗華は笑顔で頷いた


****


 僕は、にわかに信じられなかった。


(早瀬も、ストレインワールドをしていたのか………でも、早瀬がなぜスワンヒルに閉じ込められている麗華のことを知っているんだ。それに、僕の手紙はどうなった? )


 話の内容や、麗華の口調から、付き合っている感じではないけど、『僕たちだけの秘密』って、僕が言いたかった言葉なのに………



 その後、麗華と早瀬が一緒に学校を出るのを、僕は胸がキリキリする思いで見送るだけだった。


 第一部 <了>






読んでいただき、ありがとうございます。m(_ _)m

第一部の終了です。引き続き、第二部を作成していきます。

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