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7章 王国マリア編 11話 絡む男


 宿を先に確保するため、ギルドは後回しにした。



「ハル、あそこの黄色い看板の宿はどうだ?」


 アルシアが指差す方に黄色い看板で白猫が描かれた、宿屋ミーコヌッコがある。


「ネコか・・」


 頭の中にあの居眠り猫人族クロネを思い浮かべてしまう俺は、また残念ネコの相手をしなければいけないのかと考えながら宿屋に入ると予想を裏切られてしまった。


「いらっしゃいませ〜!ようこそ、ミーコヌッコへ」


 受付で待ち構えていたのは、青髪青目の綺麗なお姉さんだった。お姉さんの透き通る声に惹かれて中へと進み、口を開く。


「あの・・4人が泊まれる部屋空いてますか?」


「4人部屋ね・・えっと、最上階の部屋しか空いてなくてしかも1泊金貨10 枚だけど・・」


 チラッと見ながら金貨10枚と告げるお姉さんの言葉を遮るように了承する。


「その部屋でお願いします!」


「えっ?・・あ、はいはい。金貨40枚です。夕食と朝食付きで、部屋に湯あみ用の場所もあるから追加料金は不要よ。でも・・でも、シーツ交換は1ベット銀貨2枚だからね」


「シーツ代です・・」


 端的に告げて先払いで金貨2枚をカウンターに置く。


「そ・・そんなに・・スゴイのね」


 受付の青髪お姉さんは俺とアルシア達を交互に見て顔を赤くし俯きながら部屋の鍵を俺に手渡し、受け取った俺は受付横の階段を上がり最上階の1部屋しかないドアを開けて中に入る。


「おぉ〜豪華な部屋だね」


 部屋に入ると4人では広すぎる部屋だった。ベッド4人文も間隔を広くとって設置されていて、湯あみ用の部屋もあったのだ。そして、宿屋には珍しいバルコニーがあり街並を眺めることができる。


 タタタタッ


 マリアが隠密スキルを解除し部屋を走りソファに座ると、窓越しに外を眺めアルシアとシェルはベッドにダイブしてポワンポワンとバウンドするのを楽しんでいる。


「みんな、宿の食事が部屋で食べれるか聞いてくるよ。マリア、しばらくへやで留守番になるけど我慢してくれ」


「わかってるわ。立場上、仕方のないことだから」


「それじゃ、ギルドに行ってくる」


 マリアは、隠密スキルを使わないと街を歩けないため、アルシアとシェルを護衛役として3人は宿屋で留守番をしてもらい、俺1人で冒険者ギルドに向かう。


 街並を見ながら歩いていると、なぜだかすれ違う人達の視線が冷たいことに気付き、フードを深く被り急ぎ足でギルドへ向かうことにした。


 ギルドにはたくさんの冒険者達が窓口に並んでいたり、イスに座り談笑している姿があった。その中で、依頼掲示板の横に大きく貼り出されている召喚勇者の活動情報と王国発行の告知のようなものが張り出されていた。


 勇者様活動情報・・・・勇者様一行は、北の地下ダンジョン攻略し王都へ帰還。


「マジか・・勇者も王都へ行くのかよ。もう1つは・・」


 告知・・・・スパイル王国第3王女マリア=スパイルが行方不明。王国騎士団の大捜索をするも発見に至らず。残り20日をもって、第3王女マリアを死亡扱いとし国葬を執り行う。


「・・これは急がないとマズいな」


 冒険者がいなくなった窓口へ移動し、受付嬢にこの街から王都までの移動日数を尋ねると都市ニシバル経由で約19日は最低でもかかると聞き、この街での活動登録を諦め急いで宿屋に戻り勢いよくドアを開けてマリアを呼ぶ。


「マリア!」


「ハル、どうしたの?」


「大変なことになった。ギルドに王国発行の告知が貼り出されていて、20日以内にマリアが王都に戻らないと死亡扱いにされて国葬が執り行われるみたいなんだ」


「そんな・・死んだことにされるなんて・・・・」


「今から消耗品とかを買い揃えて明朝に出発しよう。明日出れば、20日後に王都へ辿り着ける距離らしいんだ」


 マリア達は納得し、俺とアルシアで必要な物資を大量購入し翌朝の開門時間とともに街を出て都市ニシバルへ急いだ。


 都市ニシバルへつながる街道を昼夜関係なく馬を走らせ、疲労で馬の速度が落ちる度に治癒魔法エクストラヒールとポーションを全身に浴びさせながら蓄積している疲労を誤魔化し走らせる。


「ゴメンな・・」


 俺達のために最低限の休憩だけで走り続ける馬に謝りながら手綱を握る俺は都市ニシバルを目指し、8日目の日の出の時間に都市ニシバルに辿り着くことができた。


 ニシバルの門を通過し、馬車預かり所で馬を預けてきたアルシアが泣きながら俺達の元へ帰ってくる。


「アルシア?」


「ハル、馬が死んでしまった・・」


 アルシアを無言で抱き寄せると、我慢できなくなったようでアルシアが号泣する。しばらくして泣き止んだアルシアの手を繋ぎ宿屋の部屋に入ると、アルシアはベッドで寝込んでしまった姿を見たシェルが側につきっきりとなった。


 俺は、3人を宿屋に残し冒険者ギルドへ情報収集nのため向かうと、北に地下ダンジョンがあるためか、大勢の冒険者パーティーでギルド内が活気に満ち溢れている。


「すごい人だな・・」


 入り口から受付窓口がハッキリ見通せないことが初めての光景で驚いてしまう。


「とりあえず、どこかに情報が張り出されてないかな?」


 そう呟きながらギルド内を歩き見渡していると、突然右肩を掴まれた。


 グイッ


「イタッ・・なんだよ」


 振り向くと見知らぬ青年が俺の肩を掴んだようだ。


「貴様っ!ダンジョン攻略に参加させてやる」


「はぁ?無理なんだけど」


 青年は、目を背けたくなるぐらいの装飾品を付けた鎧を纏い俺を見下すように見ている。


「ん?もう一度言い直してくれるか?」


「・・だから、忙しいから無理なの」


 掴んでいた手を振り払い、さっさと離れて目当ての情報板を探し歩き見つける。


 勇者様活動情報・・・・王都へ無事に帰還


「マジかよ・・俺達より先に王都に着いたなんて」


 俺達より王都から遠くの北のダンジョンにいたのに、もう王都に着いていることが信じられないまま受付嬢のところへ移動する。


「すいません、ここから王都まで行くのに馬車でどれくらいかかりますか?」


 帝国冒険者のギルドカードを受付嬢に見せて話しかける。


「あっ帝国の方ですか・・そうですね、王都へは通常10日くらいだと聞いていますが、勇者様の凱旋パレードが王都で計画されていますので道が混んでいればもう少しかかるでしょうね」


「・・・・ありがとう」


 混雑したギルド内をすり抜けてギルドを出て大通りを歩き宿屋に向かう俺の後方に、3人が一定の距離を保ち追跡する気配を捉え歩くペースを上げて角を曲がった瞬間、出会い頭に何者かと衝突し立ち止まってしまう。



「きゃっ!(うわっ!!)」


「ゴメン。大丈夫ですか?」


「こちらこそ、すいません」


 不意に少女の声がした後に、家の壁側にフードを深く被った姿を見せたのはマリアだった。


「マリア?」


「ハル?」


「どうしたんだ?」


「そ、それは・・その、ハルの帰りが遅かったから」


「そっか、迎えに来てくれたんだ・・ありがとう」


「・・うん」


「スキル上達したね。わからなかったよ」


「うん・・がんばった」


 フード越しに頭を優しく撫でてやると、口元が笑顔になったのが見えた。


「さぁ、帰ろう」


 そう言った俺の手に、マリアが手を伸ばし右手を握ってくる。俺は、そのまま優しく握り返し手を繋いだまま並んで通りを歩き始めると、前方に3人の男冒険者が道を阻んで待ち伏せている。


『マリア、あの男達に注意して』


『わかった』



 念話でマリアと短い会話をして、男達と距離を取りながら通りの端を歩くことにした。











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