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7章 王国マリア編 4話 これからのこと


 俺達は、朝から冒険者ギルドにいる。



「・・マリア、なにする?」



「そうね・・アルシアはどう?」



「なにも無い・・シェルは?」



「・・・・王国勇者が獣人冒険者パーティーと北の新たな地下ダンジョンを攻略する旅に出たんじゃと!」



 朝からずっと座ったままで、やることがなに一つ決まらないポンコツ冒険者パーティーの俺達は、シェルが壁に大きく掲示されている王国勇者様の活動に興味を持った。


「そういえば、マリアは勇者様に会ったことあるの?」


「えぇ、何度かあるわ。勇者召喚に立ち会ったから」


「へぇ〜やっぱり凄い人なの?」


「ん〜凄いといえば凄い方ですわ・・でも」


 マリアは思い出すような仕草をしながら、俺の顔を何度か見ている。


「でも?」


「今はわからないけど、ハルの方が強いし魅力的よ」


「俺が?伝説の勇者様より?まっさかー冗談でしょ?ただの冒険者だぜ俺は・・」


 アルシアとシェルがなに言ってんのコイツって顔で見ている。鈍感じゃないと自覚しているハズだけど、なんでこんな風に見られているんだ?と考えているとアルシアが口を開く。


「ハル・・こんな美少女を3人侍らせているから、勇者と同じハーレムじゃないか?」


「えっ?ハーレムって数十人侍らせているとハーレムじゃないの?」


 アルシアとマリアが残念な顔をしている。


「はぁ、やはり自覚がなかったのぉ〜」


 シェルがニヤつきながら俺を見る。


「と・・とりあえずさ、勇者様の活躍が気になるから調べてみよう・・・・ね?」



 逃げるように俺は席を離れて、ギルドに置いてある王国発行の召喚勇者の活動記録を読んでいくうちに桁違いの強さに驚きを隠せない。


 勇者様も召喚時は平民と変わらない強さだったらしいが、鍛錬を積んでいくと爆発的に急成長したという。


 そして、王都の西にある地方都市ニシバルの近くにある地下ダンジョン攻略中に最強種ドラゴンを討伐し攻略したと。


 しかも、その地下ダンジョン攻略中に遭難し絶望の淵にいた冒険者パーティーを救出し街へ届けて、しかも夜間に発生した魔物大量襲撃をも撃退したと。



「マジかよ・・勇者様の強さは無敵だな」



 活動記録の続きを読んでいくと、唯一ぶつかり合う存在があったと記述されている。


 勇者様とぶつかり合ったのは、俺のような平民の男冒険者で、ある日偶然に王城で召喚された勇者様一行の鍛錬相手として臨時で雇われていたらしいが、その男冒険者が猫人族少女を奴隷として飼い無慈悲に痛めつけていたところを勇者様が目撃したと。


 その行為に勇者様が激怒して、男冒険者に決闘を申し込んで互いに抜剣する直前に騎士団副団長が止めたことで、男冒険者は殺されずに済んだらしい。



 しかし、その数日後に国家を揺るがす大事件が起きたと記されている。


「いったいなにが起きたんだろう・・」


 そして、王国騎士団に捕らえられた男冒険者は、王都の王城広場前で国家反逆罪で公開処刑される直前に男の仲間に助けられ逃亡したが勇者が追跡後、無事に討伐してくれたと。


「はぁ・・・・」


 なんだろう、これに記されている勇者様の活躍に物凄い不快感を感じるのは・・。


 その後、王都に潜伏していた男冒険者仲間達は、勇者様一行の手際のよさにより捕縛され同罪で全員が死刑と決まりかけた時に勇者様が異議を唱えたと。


 未来ある少女達の命を簡単に葬るのは心苦しいと。勇者様そして召喚者達が責任を持って更生することを条件に死刑執行の猶予を与えて欲しいと訴えた。


 その勇者様の熱い言葉に、スパイル国王は感銘を受けて了承し罪人達は献身的に勇者様を手伝って生かされているという。



 パタン・・・・



 勇者様の活動記録を読み終えた俺は、感動したどころじゃなく心の底から湧き出てくる感情は怒りだ。この理由はわからない。


「・・・・なんなんだ、アイツは」


「勇者様をアイツ呼ばわり?」


 背後からマリアが不意に声をかけてきた。


「あっマリアか・・なんかね、コレ読んだら理由もなくイライラしたんんだ」


「・・そう。あのね・・ハル」


「どうした?」


 マリアは、何か言いにくそうな表情をしている。


「あのね・・ハルの見た目って、この本に出てくる男冒険者に似ているの」


「俺に?他人の空似ってやつか?」


「うん。しかも名前も一緒なの・・でも、亡くなったって聞いたから」



「・・・・・・」


 

 俺は、マリアに何も答えられなかった。確かな記憶は、あの女神ナトリアと話しているときからだ。幼馴染や親の記憶さえ無い。


 ただ、知らないことを聞いた時に頭の奥が急に痛くなる事は何度かある。


 そう考え込んでいると、マリアから念話が届いた。


『ハル・・だからと言ってあなたのことを嫌いになんてならないわ。たとえ、この国が敵になるとしてもね。ただ・・理不尽なことにあなたが巻き込まれないかが心配なの』


『ありがとう、マリア』


 

 他の冒険者に声をかけられ雑談をしていたアルシアとシェルが戻って来て、教えてもらった勇者様の話をしてくれる。


「ハル、最近王都からここの街に来た冒険者達の話だと、ノスガンから遠く南西側にある都市ニシバルを活動拠点にhして魔王討伐に向けての鍛錬をしているらしいぞ」


「そうなんだ。アルシア、ここから都市ニシバルまでどれくらいかかる?」


「馬車移動で途中の都市や村で補給しながらだと、1ヶ月程度で着く距離のようだ」


「そうか・・マリア、王都に行く経路は他にも?」


「あるらしいけど、途中の森で強敵の魔物が出ると聞いて、私もその経路で帝国に行ったわ」


 それを聞いて俺は考えて、考えて・・・・決まった。


「よし!マリアを王都に送り届けるついでに、会えたら勇者様を一目見てみよう」


 


 俺達は、このノスガンでの冒険者活動をせずに旅の準備に今日の1日を消費することにした。


 まずは、手当たり次第に商店へ向かい欲しいのを買い集めるためギルドを出て商店へと向かったのだった。



 

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