表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/300

7章 王国マリア編 1話 マリアを王都へ


「ギルドカードの準備をして」


 御者を務めるアルシアからの指示で、門兵に提示する準備をして順番を待つ。


「おい!そこの馬車こっちだ!こっち!」


 門兵に呼ばれ、アルシアは馬車を呼んだ門兵の側へ移動させる


「身分証を出してくれ」


 門兵がアルシアの対応をしている間に2人の門兵が荷台に近づき俺達にも身分証を出すように言うため素直に提示した。


「・・ん?あんた、昨日酒場で女と一緒にいた・・」


「あぁ・・どうも・・」


 俺のギルドカードを確認した門兵の男は、酒場でシェルが絡んでいた客の男だった。


「王国への旅か?」


「はい・・そんなところですかね」


「この先の王国国境都市へつながる街道から外れて進むと、両国の兵士に捕縛されるから注意しな」


「はい。ありがとうございます」


 ギルドカードを返してもらい出国許可が出たため、馬車は動き出し門を通過しその後は暇だった。


 遠くに見える商人馬車を追いかけるように街道を順調に走り続け、両国の監視下に置かれた地域でもあり賊が存在しないからだ。



「・・ヒマだな・・・・」



 御者台にいるアルシアの隣にマリアが座り、荷台で横になっている俺の脇にシェルが当然のように寝ているのは良いんだ・・寝相が悪すぎて何度も目が覚めてしまう。


 あれからどれくらい経ったのだろうか、馬車の揺れとは違う揺れを感じて目を開けるとマリアの顔が目の前にあった。


「ハル・・起きて」


「ん・・どうしたマリア?」


「向こうから騎士が来てるみたいなの」


「騎士が?」


「うん」


 俺に抱き付いて爆睡しているシェルの腕と足をどかせて立ち上がり、アルシアのいる御者台へ移動する。


「アルシア・・どんな感じなんだ?」


「ハル・・寝ていたのにすまない」


「あぁ、大丈夫だ・・ってあの集団か?」


 街道のかなり向こうに陽の光に反射する銀色の集団が、目視できるギリギリの距離に存在するのがわかる。


 俺は気配探知スキルを発動し詳細を確認すると、騎乗した騎士40人だと分かった。


「ハル・・どうする?」


「アルシア、向こうも俺達を視認しているハズだ。ここは変な動きをせずに、このまま行ってみよう」


「わかった」


 俺は振り向き不安そうな顔をするマリアを呼んで、側に来た来たところで手を握る。


「マリア・・気配探知スキルを発動して、あの騎士を捉えてみて」


「えっ?あの距離を?」


「マリアなら、できるさ」


「わかったわ」


 

 マリアは目を瞑り気配探知スキルを発動したようだ。


「・・・・うぁ、たくさんいて頭の中がゴチャゴチャして気持ち悪いわ」


「大丈夫。落ち着いて。しばらくしたら慣れるから」


 マリアは強く目を瞑り耐えていると、少しづつ落ち着きを取り戻した表情に戻り呟く。


「ホントに40人いるのね・・」


「うまく捉えれたみたいだね。アルシア、俺とマリアは荷台で隠れているから」


 アルシアは頷き、俺は荷台に戻りマリアを側に座らせ、隠密スキルでマリアと俺の姿を消して状況を見守ることにする。


 警戒するように前方の騎士が隊列を組み抜剣して俺達の馬車を止め囲んだ後に1人の騎士がアルシアへ近づいて兜を取る。



「帝国からの冒険者か?」


「はい・・そうですが」


「女2人だけでか?」


「はい」


「私は、スパイル王国騎士団第3中隊長のリン=マードラだ。我々は、帝国から戻って来られない貴族を捜索するため帝国へ移動中だ。道中にこの女性を見ていないか?」


 どうやら、リンと名乗る女騎士はアルシアに尋ね人に関する紙を見せているようだ。


「・・・・見覚えはないですが、綺麗な方ですね。この方はどのような貴族様なのですか?」


「すまない。詳しいことは言えないが、王国にとってとても大事な方なんだ」


「そうですか・・」


「荷台を検分しても?」


「あっはい。どうぞ」


 女騎士リンがアルシアと共に荷台へ回って来る。身長が低めなのか、背伸びをしても良く荷台が見えないようで荷台に乗ってきた。


 姿を消している俺とマリアを認識できず1人座っているシェルに声をかける。


「あなたは?」


「シェルじゃ」


「あなたのギルドカード見せてくれますか?」


 シェルは女騎士リンに大きな双丘に隠ししまっているカードを取り出し視線が釘付けになっている女騎士リンへ手を伸ばすと、ハッと現実に戻ったような態度をとる彼女を見て笑っている。


「・・確かに本物のギルドカードですね」


 シェルのギルドカードに鑑定スキルを発動し本物と判定した後にカードを返す女騎士リンだが、また胸元に埋もれるようにしまうカードに釘付けになっていた。


「そこに挟む目的は・・・・じゃなくて、王国へ行く目的は?」


「ただの旅じゃ。ついでに魔物討伐依頼でもして路銀稼ぎするのじゃ」


「そうですか、お2人で?」


「よにゅ・・2人じゃ!2人旅なのじゃ!!」


「よにゅ?」


 変に言い直すシェルをジト目で観察する女騎士リンは、溜息をついた後に部下へ道の開放を命令し荷台から降りて行く。


 騎士達が街道を開放したため、俺達は出発し王国方面へ向かう。


 荷台から見送る騎士達を見ていると、明らかに女騎士リンの表情に余裕が無くなっていくことに気付いたが俺には何もできることはなく遠く見えなくなったことを確認してから隠密スキルを解除した。



「マリア、あの女騎士を知ってるの?」


 暗い表情のマリアは俺の顔を見ることなく口を開く。


「えぇ・・彼女は入団後の初陣の時に未遂でしたが辛い出来事に遭遇したから印象が強いの。護衛する男冒険者達が裏切って新人女騎士を襲撃して来たところを、唯一残っていてくれた男冒険者が副団長と救ってくれたらしいの。


「そうなんだ・・」


「彼女達、きっと私を必死に探してくれているのね・・」



 それからマリアは黙ってしまい俺は景色を眺め時間を費やしていると、街道にはここからスパイル王国領地と書かれた看板を見つけた。


 それからしばらく走っていると、遠くに街の外壁が見えて来て陽が沈む時間と共に閉門時間ギリギリでなんとか辿り着くことができた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ