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6章 帝国編 15話 アルシアとの旅・・からの爆誕チートプリンセス


 アルシアを追放したパーティーに復讐をした日から数日後にマリアの鍛錬をすることが決まって、みんなで魔物討伐をしながらマリアの鍛錬が始まり10日ぐらい繰り返しやっている。


 そして、今日も帝国領の国境沿いにある要塞都市フェズドレイにある冒険者ギルドの依頼掲示板にあった魔物討伐に決めて、都市から北へ行った先に広がる森で活動中だ。




「セィッッヤァーー!!」


 

 森に響き渡る少女(マリア)の声を聞きながら、声の主を観察する俺とアルシア。シェルは、馬車の荷台で爆睡している。


「マリア!初撃の踏み込みが甘い!打撃がうまくできたからって戦闘中に喜ぶな!反撃されるぞ!」


 マリアは肩を上下させながら乱れた呼吸を整えようと両手を膝に乗せ、前屈みになった姿勢で俺を全力で睨みつけている。


「はぁ・・はぁ・・うぇ・・このハル(悪魔)・・」


「・・・・はい、次が来るぞー!」


 ガルルルゥゥ


「お?ウォーウルフか・・コイツは素早いから、さっきまでのゴブリンやオークみたいに攻撃しても素直に受けてくれる相手じゃないからきをつ・・・・」


 ザッ!


「きゃっ」


 ズザァー!


 俺の忠告を聞かずにマリアは地を蹴って、ウォーウルフの正面から突っ込んで振りかざした短剣は予想通り躱されてしまい反撃のタックルを受けて後方に飛ばされてしまった。


「マリア、いつまでも寝てる暇はないぞ!」


「・・ハル。これは、かなりの苦行ではないか?」


 俺の横で見守るアルシアが不安そうに訴えてくる。


「アルシア・・これはマリアのためだ。短期間で仕上げるには、極限に追い込まれた状況下の状態で鍛えた方が人間の本能が覚醒されて急成長に繋がるんだよ」



「でも・・・・」


「まぁ、俺なら絶対にやらないけどな・・だって普通に死んじゃうし」


「おいハル!そんな無責任な・・・・」


 ボロボロの姿になっていくマリアを見ながら笑う俺は、もちろんもしもに備えて準備はしている。それを知らないアルシアは泣きそうな顔でマリアの姿を目で追っているようだった。



「まぁでも・・ヤバイ時は助けるから心配ないさ」


「・・・・わかった。ハルが言うなら」



 たしかに目の前で、マリアとウォーウルフが命のやりとりをしている。


 死ぬか生き残るかの瀬戸際で・・これが鍛錬といえば、答えはノーだ。


 こんな死線をくぐり抜けるよりも地道に街で訓練した方が安全だ。


 だが、安全の中で訓練をしても大きな成長は得られない。


 マリアが挑んでいる命の駆け引きの中で鍛錬した方が本能が覚醒し急成長を遂げるからだ。



「マリア、ウォーウルフ1頭に追い込まれてるんじゃ、冒険者としてFランクにも満たないぞ!ランク外(ポンコツ)だ!」


「くっ・・そんなこと、わかっていますわ!」



 刃こぼれをしはじめた短剣を握り直したマリアは、意を決して飛び出してウォーウルフの眼前で進路を変えてフェイントをする。


 マリアの突然の変化に驚いた様子のウォーウルフは一瞬反応が遅れたことが致命的になり、右側から迫るマリアに首を切り裂かれ絶命し地に倒れた。



「マリア!よく倒したな・・偉いぞ、お疲れ様」


「・・・・ハル、もうクタクタよ」


 トボトボと疲労困憊で歩いて来るマリアに両手を広げて笑顔で出迎える・・・・フリをした。




「さぁ、最後の狩の時間だマリア・・倒したウォーウルフの仲間が復讐に来たぞ!返り討ちにしてやるんだ!」



「・・そんな。もう動けないよ・・もう無理だよハル」


「「・・・・・・」」


 茂みから姿を見せたウォーウルフ3頭は、座り込んだマリアに狙いをつけて一挙に襲いかかって来た。


 それぞれの役割を決めているのか、3頭のウォーウルフはうまく連携しているようで間隔を開けてマリアへ迫って行く。


 目の前に襲いかかるウォーウルフの姿を見ても動こうとシナイマリアは、ただ茫然と見ている。


「マリア、迫り来る脅威は全て自分で解決するんだ!この先も逃げてばかりの人生になるぞ!立ち上がれ!そして全力で脅威を排除するんだ!」



「もーーどうにでもなれぇーーー!!!」



 天を仰ぎ叫んだマリアは疲労困憊の身体と心を奮い立たせ立ち上がり構えるところで助言した。


「マリア、1頭に集中せずに全体の動きを把握し攻撃目標を適切に選び攻撃して離脱だ!同じ場所に留まると一気にヤられるぞ!」


 マリアは1頭目の攻撃を躱し2頭目の時間差攻撃をギリギリの間隙で躱すことができて、横腹を切り裂き2頭目を戦力外にしたが背後から迫る3頭目の対処が遅れて短剣を咥えられてしまい握っていた右腕の関節が偶然にも決められてしまい激痛のあまり短剣を手放してしまったようだ。



 武器を失ったマリアは素手で戦う事に切り替えて近接戦闘の構えをする。ウォーウルフ2頭は襲いかからず、マリアの周囲を回りながら間合いをとっている。


 そのうちの1頭がふと絶命した仲間の方を見て立ち止まった瞬間にマリアがそいつに駆けて行く。


「あっ・・バカマリア。誘いにのりあがって」


 俺は隠密スキルを発動し、地を蹴ってマリアのサポートがすぐできる位置につく。


「オリャー!!」


 マリアの気合い十分な声で、ウォーウルフが罠にかかった餌を見る目をしている事に苛立ちを覚え絶対に殺すと決めて彼女の背後で見守る。


 隙を見せたような行動をとったウォーウルフは、先程とは違う速さでマリアに突進したため、一瞬見失ったであろうマリアの動きが鈍くなる。



 ガアァァァァ!!


「・・イ・・イヤ」


 普段なら普通に対処できていたマリアだったが、今は疲れのあまり咄嗟の判断ができず混乱し両腕で顔を覆い隠し最悪の体勢でウォーウルフの前で急停止した。


 俺は背後からマリアを抱き寄せ、お姫様抱っこをしながら正面のウォーウルフの顔に右足蹴りをして頭が体からサヨナラして茂みへ飛んで行くのを見て、右足を軸に体を回転させた勢いを殺さずに左後ろから迫る3頭目のウォーウルフの頭に踵落としをして粉砕し絶命させた。



「マリア・・もう大丈夫だよ。ここまで本当に頑張ったね」



 顔を覆っていた両腕をゆっくりと下げて俺を見つめる目がだんだん滲んでしまいに涙を溢れさせた瞬間に首元に抱き付き泣いてしまった。



「うぇ〜ん・・怖かったよ〜もうダメかと思ったんだから〜・・・・」


「ごめんごめん・・俺が悪かった」



 泣きじゃくるマリアの頭を優しく撫でてから抱きしめる。


 それからお姫様抱っこをしたままアルシアの元へ向かうと、アルシアは苦笑いをしながら出迎えてくれた。



「マリア・・いい動きだったぞ」


「・・ホント?でも、最後はハルに助けられちゃったんだよ・・」


「本当だ。この鍛錬は、鬼畜の所業だ!Aランク冒険者でも不可能だ」


「ウソよ・・私より強いAランク冒険者じゃない」


 マリアはアルシアの言葉を信じれず、ジト目で見ているため俺はすかさずアルシアをフォローする。


「マリア、本当だよ。Fランク冒険者が今日1日で、ゴブリン90匹倒してオーク7体を倒してから休まずにウォーウルフを2頭を討伐したんだ。これは、Aランク冒険者が4パーティー集まらないとと安全に倒せない戦果なんだ」


「・・え?そうなのハル?だったら私って・・なに?」


 マリアは、自分1人でAランク4パーティー分と同等の戦力に実感が湧かないような顔で俺を見ている。



「ん〜そうだな・・今は疲労感で実感がないと思うけど今晩ゆっくり寝て明日になるとアレだな」



「アレって?」


 泣いた後の赤い目をしているマリアは、俺の言うアレが気になるようで執拗に聞いてくるから仕方なく教えてやった。


「チートだな!・・間違いない」


「・・チート?」


「あぁ、チートだ。名付けて、チートプリンセス・マリアだな。明日以降の称号が楽しみだなマリア」


「イヤ・・そんな称号なんていらないわ」


 めちゃくちゃひきつった表情をしているマリアは本当に嫌そうだった。


「そうか?結構いいと思うんだけどな・・Fランク冒険者少女の本当の姿はAランク以上の実力を持つお姫様」


 そして、マリアが力尽きたため馬車の荷台に寝かせてギルドへ依頼達成の報告をしに街へ戻る事になった。



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