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6章 帝国編 1話 新なる旅立ち① 




 「代償の支払いは、魔王ジェドニスの討伐じゃ」


 自称女神ナトリアが馬鹿げたことを言っている。


 魔王討伐をしろと・・俺は、しばらく無言で自称女神を見つめている。


 自称女神は、無言で見つめる俺に近づき呟いた。


「・・よいな?」


 コクッ


 突然、背伸びをした自称女神が俺の頭を両手で掴み、強引に頷かせスッと離れニヤつく。


「うむ・・よい返事じゃ。これで支払いの契約は滞り無く結ばれたのじゃ!」


「ちょ・・待て待て!こんな一方的な・・・・ん?」


 俺が抗議している途中に足元に白く輝く魔法陣が展開されていく。


「イヒヒヒヒ。神界法のクリーング・オーフ制度は適用除外じゃ!これから妾のために粉骨砕身で頑張るのじゃぞ!」


 自称女神は、いつの間にか豪華な椅子に足を組んで座り肘をついてニヤつきながら手を振っている。


「おい!ふざけんな!クマぱん女神!今すぐ取り消せぇ〜!」


 手を伸ばしクソ女神を掴まえようとしたが、足が沼にはまったようにズブリと沈んでいく。


 足を必死に上げようとしたが抗えないほどの強い力で一気に引き込まれ視界からクソ女神が消えた瞬間に意識を手放した。



 

 ハッと目を覚ました俺は、見覚えのない荒れ果てた狭い部屋にあぐらをかいて座っていた。



「・・ここは、どこなんだよ・・」


 狭い部屋を見渡しながら立ち上がると、左正面に置いてある机の上に数枚の紙が置いてあり何かが書いてあった。


「・・なんだ手紙か?」


 手紙を手に取り読んでみる。



ハルへ


 『其方が目を覚ました場所は、ノスコリー山脈のどこかの中腹ぐらいにある山小屋じゃ。妾のそれはそれは素晴らしい阻害魔法で外部から発見されることはないし、必要な物を全て揃えてあるから心配無用なのじゃ。とりあえず、準備が整ったならば山小屋から北にある街を目指すのじゃ』



追伸


 『そうそう書き忘れていたが、山小屋を1歩でも出たら10 分後に小屋を中心に半径1kmぐらい焦土化させる自爆魔法を山小屋に付与しておる。決して手紙を読む前に外に出ないよう気を付けるのじゃ』



神界のアイドル   女神ナトリア



「あっぶね・・手紙読んでなかったら完全に詰んでたな」



 クソ女神ナトリアからの手紙を読んだ俺は、置いてあるらしい必要なものを探していると背後の壁に紙が1枚貼ってあることに気付いて目を通す。


『其方の名前は、ハル。家名は無い。ステータスと唱えると個人情報が見れるぞ。ここを出る前に必ず確認することじゃ。その他は、今忘れていても体が覚えているから、きっと大丈夫?まぁ最後にすぺしゃるサービスで、妾の加護を付与したのじゃ』


「・・はいはい、クソ女神の加護ね・・」


 読み終わり呟くと、手紙がボッと燃えて灰になり床に散っていった。



「俺の名前は、ハル・・か。なんか間違ってない気がする」



 ストンっと名前を受け入れることができた俺は、ステータスを確認した。



ステータス



名   ハル (男)

種族  人族 18才

職業  無職

HP  1000/1000

MP  1500/1500

魔法  全属性 (火・水・土・光・闇・空間)

スキル 剣術Lv6隠密Lv6気配探知6Lv 鑑定Lv4召喚術Lv2念話Lv2

称号  ???

加護  (隠蔽中)女神ナトリア(生と死を観る者)



「これが、今のステータスか。無職・・冒険者登録しないとな。それに加護が隠蔽中って、他者に見せないことかな?」


 ステータスの疑問に答えてくれる人物はいない。溜息をつきながらステータス表示を消して、再び必要なものを探して、見つかったのはコレだ。


 片手剣1本とポーション類が数十本とテント関係と生活用品と木箱に金貨数千枚と白金貨数千枚。


 途中で数えるのを諦めた金貨と白金貨を必要な分だけ取り出し、他は木箱のままアイテムボックスに収納し他の物も収納する。



「このまま街に出て働かなくても一生生きていけるよな・・」


 とりあえず準備が終わった俺は、小屋のドアを開けて部屋から外を眺める。


「あの街か・・」


 ちょうどドアを開け遠い先に街が見えた。きっと今から目指す街だろう。そして、1歩目の足を踏み出した瞬間にアレが脳裏に過ぎる。



『小屋を出て10分後にココが焦土化するよ』



 背筋がゾクリとした瞬間に、全力で街に向けて走り出す。

 

 途中に襲い掛かってきたゴブリン数匹を火魔法ファイヤーアローで消し炭とし、山小屋の方向を1度も振り向くことなく、俺は全力で街を目指す。


 しばらくすると、背後から物凄い量の魔力が集中していくのを感じ、思わず立ち止まり振り向いた瞬間に遠く離れた山の中腹から、天まで届かんばかりの勢いで爆発が視界に入る。


「・・おい、あの威力マジかよ・・」


 そう呟いた瞬間に、山の中腹からこちらに向かい木々が薙ぎ倒され砂塵が舞い襲い掛かってくる。


ズッドドドォォォーーーーーー!!!!!!


 遠く離れた位置にいる俺に衝撃波が伝わり爆風に体を押されて、斜面を転がり落ちて行く。



「クソッ!あのクソ女神!加減ってもの知らねーのかよ!・・がぁっ!」


 全身に受ける衝撃に耐えながら女神へ文句を言い、大木に背中をぶつけなんとか止まることができた。


 女神のせいで削られたHPを貴重なポーションで回復し、荒れ果てた地面を数時間歩き続けやっとの思いで街道に出たところで、目指している街の方から馬に乗った集団がこっちに迫っている光景が目に入ったのだった。







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