5章 王都マーカー編 12話 代償の支払い②
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遠い昔に・・誰かが教えてくれた記憶がある・・。
軽度の魔力欠乏症であれば、頭痛や目眩と倦怠感の自覚症状があると・・。
重度の魔力欠乏症は、術者の死を招くため身の丈の合った魔法を使えと・・。
なぜなら・・魔力欠乏症の自覚なく意識を失い、そのまま死ぬと・・・・。
ならば、俺は後者である重度の方だろう。念のため魔力回復ポーションを飲んだが効果は無かったようだから。
・・・・・・!!
沈みゆく意識の中で考えていると、誰かに呼ばれた気がする。
沈んでいく意識が、誰かに優しく引っ張られるように水面に浮上した感覚を感じた後にゆっくりと目を開いた。
光を取り戻した視界に左側に金髪と青髪の女性2人と右側に銀髪と金髪少女が2人が、泣き顔で覗き込んでいる。
「あぁ、とても綺麗な髪だ・・・・」
小さく掠れた声で呟いた俺は左手で金髪と青髪を撫で、右手で銀髪と金髪の髪を優しく撫でた。
4人の髪を撫でていた両手を彼女達に優しく握り返されていた頃に、俺の視界にたくさんの虹色に輝く光の粒が天井へ向けて漂いながら上がって行くのを黙って見つめる。
「「いや・・うそ・・そんな・・だめ・・・・」」
左側に座る金髪と青髪の女性が懇願している。
「「ヤダ・・ハルを連れて行かないで!!」」
銀髪と金髪少女が叫びながら抱き付いてくる。
「・・ど、どうしたの?」
状況が理解できない俺は、彼女達に小さく聞いたが返事はなく、さっきまで彼女達に強く握りしめられ感じていた温もりがだんだん遠くに感じ消えていくことに気付いた。
彼女達の温もりを感じなくなる原因は、どうやら光の粒が両手を侵食し始めていて今は肘から先が光の粒へと変化し天井へとゆっくりと舞い上がり散っていくのを青髪の女性と金髪少女が必死にかき集めようとしている。
「そうか・・・・俺は消えてしまうんだ・・」
不意に浮遊感を感じると同時に周囲が虹色に輝き部屋が明るくなる。
「「「「 あぁ・・あぁ・・あぁっ・・・・」」」」
4人が俺を見つめ言葉にならない声を出して、ただただ泣いている。
「・・そんな泣き顔じゃなくて、笑顔を見せてよ・・」
自然と口から溢れでた言葉。
さっきまで見下ろしていた4人の顔がだんだんん上に向き、俺を見上げ立ち上がると震える手を精一杯伸ばして必死に掴まえようとしている。
「あれ?えっと・・え〜っと・・」
今になって4人の名前を知らないことに気付いた俺に、もうこれが最後なんだと誰かに言われたような気がして告げた。
「そうか・・今まで、ありがとう・・」
そう告げた後に視界が眩い光に包まれていく中で、また意識が途絶される。
どれくらいの時間を過ごしたのだろうか、この場所が何処かなのかさえわからない。
だけど、目の前には金色に燃える炎が存在している。
「やっと、目を覚ましたか・・」
急に声を掛けられた俺は周囲を見渡したが誰も存在していない。
「・・・・だれ?」
「そなた・・わざとなのか?」
「うわっ・・炎が喋った!」
目の前で金色に燃えている炎がボワッと火力を増し、俺に抗議していると感じているとスッと側に近づいて来た。
「な・・なに?」
「そなた・・妾に支払う代償が未払いである」
「ん?未払い?俺に借金はないぞ?」
「たわけ!」
さらに近づく金色の炎だが、熱さは微塵も感じない。
「す・・すいません。で・・どうすれば?」
「なんと・・素直に応じてくれるのであるな?」
なぜか喜びの感情が金色の炎から伝わってくる。
「えっ?まぁ、支払わないとダメなんですよね?」
「当然じゃ!バカなのか?」
「はぁ?バカって言う奴がバカだ!」
「な・・高貴なる妾をバカ呼ばわりするのか?」
「他人をバカって言う奴だからな・・当然だ!」
金色の炎がプルプル震えているような燃え方をしている。
「ムキィー!断じて許せぬ!許せぬのじゃ!」
自分で高貴だと言うクセに喋るほど威厳が薄れていく残念炎だと思っている俺は1つの疑念が浮かぶ。
「ってか、あんた誰?」
「・・ん?妾のことか?」
「そうそう・・」
「妾は名乗ったぞ!もう忘れたのか?だから凡人は・・」
「いや、名乗ってないぞ?支払いが未払いだからと、会話が始まったぞ?」
「そんなはずは・・あっ・・ない・・ぞ」
あぁ、コレは自分の失念に気付いたパターンだ。やっぱ残念炎だと軽蔑な視線で見ていると、金色の炎がだんだん小さくなっていき気になりはじめた時に一気に爆発した。
「うおっ!」
迫りくる金色の炎から逃れる術はなく、直前で目を瞑りしゃがんだが燃やされるような熱さは皆無で、そよ風程度の爆風を浴びる程度だった。
「いつまで寝てる気なのか?」
俺は、ゆっくりと立ち上がり前を見た時の光景に驚いた。
そこには、透き通るような金髪を腰まで伸ばし、まだあどけなさを残しつつも意思をハッキリ持つ金色の瞳で俺を見ている。
「あの・・どちら様で?」
「妾は・・生と死を司る女神・・・・ナトリアじゃ」
「め・・女神様っ!」
女神と聞いて土下座する。
「よいよい、くるしゅうないぞ!」
しかし女神と聞いて思わず土下座をしてしまったが、今までの言動からホンモノの女神なのか疑惑の目で俺は見上げ自称女神ナトリアを見る。
ジトー
「な・・なんじゃ・・その疑いの眼差しは・・妾は、本物の女神じゃぞ!」
「・・・・・・」
「くぅ〜!人族に舐められるとわは・・くっ屈辱じゃ」
「・・・・・・」
俺は無言で、ただただ目の前の自称女神をジッと見つめる。
「や・・やめるのじゃ。さっきから妾に向けるその眼差しは耐えれぬ・・・・くはっ」
自称女神は、その場で倒れ込みモゾモゾしている。
生地の薄い白いドレスを身に纏った自称女神は、俺に足を向けて倒れているため御御足とドレスの隙間から下着がチラチラと見える。
そして、ついに見えてはいけないモノを見てしまい、思わず口にした。
「・・あっ!・・クマぱん・・」
下半身をビクっとした自称女神は、座り込み乱れたドレスを直し真っ赤な顔をして顔を隠しながら呟く。
「み・・見られたのじゃ・・妾のお気に入りぱんつを・・ぱんつを・・」
自称女神がぶつぶつと独り言を言う様子を無視して、脱線した話を戻すことにした。
「クマぱん女神様ってことは理解しました。それで、代償の支払いとは?」
自称女神は立ち上がり、深呼吸をした後に無表情となり口を開く。
「其方が妾と契約したではないか。屍同然の女2人を元に戻せとな」
確かになぜか2人の女性を救ったような微かな記憶が片隅にある俺は、自称女神の言葉を否定することができなかった。
「そう・・ですか。ならば、どんな代償を支払えば?」
自称女神が1歩近づき告げる。
「・・魔王ジェドニスの討伐じゃ」
「・・・・・・」
魔王討伐というあまりにもデカ過ぎる代償に、俺はなにも答えることはできなかった・・・・。
5章もそろそろ終わります。やっと、魔王討伐という文言を具体的に出すことができました。




