5章 王都マーカー編 10話 達成すべき目標③
どうもです。
短めです。
怯えているスパイル国王達を牽制しつつ隠密スキルを発動し、この部屋の扉を開くと一挙に兵士達が雪崩れ込んで混んでくる。
「国王様!ご無事ですか!・・なっなんだこれは?・・」
「触るな!近衛兵長!」
部屋に雪崩れ込んで来た兵士が、テーブルの上で浮遊している魔力玉を剣で刺そうとしたところをハイド騎士団長に制止される。
「・・はっ!し、失礼しました」
「それよりも探し出せ!この部屋に反逆者の男が侵入した!」
ハイド騎士団長の罵声の様な指示で、近衛兵達は俺を探している様だ。もちろん、この程度の連中には俺を見つけ出すことは不可能だ。
「・・み、見当たりません!」
先程の近衛兵長がハイド騎士団長に報告する。
「・・そんなはずはない!隅々まで探し尽くせ!それでも、王族直属の近衛兵か!」
「直ちに探し出します!」
近衛兵長は、部下に指示を出しこの部屋から出て行く。この部屋には、スパイル国王達と近衛兵が5人程残して。
残されたスパイル国王達は、俺の置き土産である魔力玉を忌々しく見つめていると、白いローブを羽織った金髪の男が部屋に入ってくる。
「国王様・・お待たせしました」
「よくぞ来てくれた、オルニ宮廷魔術師。コレをなんとかしてくれ!」
「仰せのままに」
宮廷魔術師の男がブツブツと呟きながら、魔力玉に両手を向けている。
しばらく経っても、魔力玉に変化は無い。その代わりに、宮廷魔術師の男の顔は滝のような汗をかいて苦しんでいる。
そっと宮廷魔術師の背後に行き、耳元で俺は囁く。
「そんなんじゃ、俺の魔力を抑えることはできないな」
宮廷魔術師はビクついて、詠唱が止まり周囲を見渡す。
「どうしたんだ?オルニよ」
「いえ、何者かに邪魔をされたような気がしまして・・・・」
「さっさと続けよ!」
「ははっ!」
スパイル国王の指示で、宮廷魔術師は詠唱を再開した。俺は、その光景を見ながら部屋を出て最終目的地に向かう。
「一度外に出ないと、あの扉からじゃないと地下に行けないよな・・」
そう呟きながら、捜索を続けている兵士達をすり抜けて王城の外に出た俺は、あの微かな記憶を頼りに拘束から解放された時の扉を探す。
「・・・・見つけた!」
長く使われていない頑丈な扉を発見し、近くに兵士達がいないうちに扉を破壊して侵入する。
暗く長く続く廊下を歩き何度か階段を降りて地下独特の空気感を感じながらいると、たった1人で警備する騎士を見つけた。
どうやら騎士は、居眠りをしているようで警戒している感じは無い。そのままゆっくりと近づき、寝息をたてている騎士の喉元を一気に切り裂いて絶命させた。
無造作に置かれていた鍵を拾い、独房区画とここを仕切る格子扉の鍵を解除して扉を開けて中に入る。
キィィ
独房区画を歩き、門を曲がると鼻にツンとくる刺激臭を感じた俺は自然と匂いの元を辿る。
そして、辿り着いた場所は一番奥の暗い独房だった。
・・そこには、2つのモノが寄り添いあうように置いてある。
・・・・独房の無機質な格子に近づき、その2つのモノを凝視する。
・・・・・・暗さに慣れた視界が、2つのモノの容姿の一部が僅かながらに認識できた。
・・・・・・・・赤黒く染まりきった左側の物に汚れた金髪と青髪の持ち主を。
あの壁に埋め込んでやった兵士が言っていた姿に変わり果てた姿をジッと見つめる。
「・・リサ・・カラ・・・・」
2人の名前を口にした時に、声に反応したかのように2人が動いたように見えた。
俺とリサとカラを隔てる、この格子を破壊して独房の中に入り2人を優しく抱き締める。
僅かながらに浅い呼吸で体が動いてることが伝わってきたため体を離すと、なんとか命の鼓動を続けている状態が奇跡と思うほどの酷い傷だ。
「いま・・今から、この苦しみから解放してあげるからね」
虫の息である彼女達からの反応は無い。
アイテムボックスから魔力回復ポーション4本取り出して一気に飲み干す。
「・・リサ・・カラ・・必ず助け出すからね」
そう伝えた俺は、俺が起きなかったことを考えてあイテムボックスから大量の食料と水を脇に置いて、アイテムポーチを2つわかりやすい場所に置いた。
「これなら、心配いらないはずだ・・」
2人を優しく抱き寄せ髪をゆっくり撫でた後に目を閉じて意識を集中し、最上級治癒魔法を詠唱する。
「神よ、我は代償を支払うことを誓いここに願う。若き愛おしい2人の身体の再生を。若き愛おしい2人の生命の復活を叶えたまえ!」
『エクストラ・マキシマムヒール!』
全身から俺の全ての魔力が一気に溢れ出す感覚を自覚した瞬間には、魔力欠乏症の痛みを感じる暇もなく意識を手放した。




