5章 王都マーカー編 9話 達成すべき目標②
いつものことですが、テンポ遅くてすいません。
赤い重厚な扉をゆっくりと開けて中に入る。さすが王族が暮らす場所に使われる扉なのか、宿屋で聞くような音はしない。
高級な扉に感心していると、中にいる男に警告された。
「止まれ!許可無く立ち入る者は誰だ!」
正面の受付のような場所に2人の兵士が抜剣して入ってきた俺を警戒している。
「あの・・俺、シイナと言います。スパイル国王様に呼ばれ、会う約束をした召喚者の者ですが」
もちろん約束なんてしていない。俺の一方的な都合だ。
「シイナ・・あっ!黒髪黒目の・・これは勇者様の関係者様ですね。しかし、今は南の森で討伐中では?」
まじ?全然勇者達の予定なんて考えてなかった・・。
「あ〜それは、明日に延期されましたよ。ハイド団長が伝えて来ましたし」
「そうでしたか、それは大変失礼いたしました。こちらの確認不足をお許しください」
俺は頭を掻きながら、気にしないで欲しいと伝えると2人の兵士は安堵の表情に変わった。
そして、1人の腰が低い兵士が俺を案内してくれることになった。
「どうぞ、こちらです」
「・・あ、ありがとうございます」
兵士が居た場所の左側にあるドアを開けて廊下を歩く。
無言の空気で緊張をしているのか、右隣を歩く兵士が額から大量の汗をかいている。
俺は、場を和ますことを考え1つの気になることを聞いてみた。
「・・あの」
「は、はい。なんでしょうか?」
「こないだ処刑された女って、どう処刑されたのですか?」
兵士はジッと俺を見て口を開く。
「王城門前で公開処刑された女2人のことですか?」
「はい。それです。ちょうどいなかったので、どんな状況だったのか教えて頂けたらなと・・」
すると、兵士が立ち止まりニヤついた顔で語り始めた。
「あの忌まわしい獣人共が、処刑執行直前の反逆者男を奪い返し逃走したのですよ。それを予期していた、王国騎士団長様が部下に関係者の女2人を広場で捕えさせていて、逃走劇の後にそのまま処刑台へと連行したのです」
「・・なるほど、そのまま何も執行されず終われませんからね・・それでどんな罰を?」
「初めは斬首刑を執行する騎士団長だったのですが、勇者様が急遽、斬首から鞭叩きの刑に変更されたのです」
「鞭叩きの刑に?それは・・何故ですか?」
「若き美しい女性の命を、簡単に摘み取ることは惨すぎると。それを聞いた民衆は拍手喝采で勇者様を褒め称えました」
あの野郎のポイント稼ぎか・・そう内心で思っていると兵士が鞭叩きの光景を思い出したのか下衆な表情に変わり続きを話してくる。
「・・それはもう最高でしたよ。女2人の両腕を縛り上げ吊るした後に民衆の前で鞭で叩きあげたと同時に響き渡る2人の鳴き声を。今、思い出すだけでゾクゾクします・・あの2人が出す素晴らしい鳴き声が!」
「そ・・そうなんですね」
今すぐにこの男の存在を亡き者にしたい感情が右手に宿る。俺の心情に気付かない兵士は、自慢話かのごとく喋り続ける。
「それでですね、鞭に叩かれて行く度に着ていた服が破れていき、とうとう下着姿になったのです。だんだん赤黒く腫れていく足、尻、腹、胸、腕そして顔までも・・もう叩き込まれた場所がないほど叩き込まれた女2人は、鳴き声も出さないとても醜い肉の塊へと変わっていったのです」
ギリッ
奥歯を噛み込む音が、俺の口の中から響き渡る。
「ど・・どうかしましたか?」
「い、いえ・・想像したら、興奮のあまり・・」
「うひっ・・なかなかの物好きですね」
「それで・・そしたらもう、女は死んでしまったのですね?」
歩き始めていた兵士が、再び立ち止まり俺を見て口を開く。
「召喚者様ですから極秘事項をお伝えしますが、醜い肉の塊になった女は死んではいませんが、死人と何も変わらない状況で今も生かされています」
「えっ?生かされているのですか?公開処刑ですよね?」
兵士は、1歩近づき口を開く。
「鞭叩きの刑は生かさず殺さずです。完膚無きまでにするのが目的です。また、罪人が女であれば鳴き声を聞く性癖の者もいますからね」
「なかなかの強者ですね。それで・・女はどこで生かされているのですか?」
兵士は少し黙ってしまった・・。
「・・・・たしか、地下にある独房で棄てられていると聞きま・・」
ズブシュッ!!!!
あらゆる感情の限界点を突破していた俺は、2人の居場所を掴んだ瞬間に兵士の顔を右手で鷲掴みにして背後の壁に押し潰した。
「リサとカラは物じゃない・・俺の愛する人だ・・」
返事のない兵士の亡骸を頭から壁に押し込み、廊下の飾り物にしてやり先へ進む。
灰色の重厚な扉を開けると大きなテーブルと壁に大陸地図のようなものが掲げられているのが視界に入り、その後にテーブルを囲うように座る男達が驚いた表情で俺を見ている。
「よう、国王!仕事中に悪いけどいいか?」
「「貴様!!」」
入り口の左右に立っていた兵士が槍で突こうとしてきたため、躱しながらアイテムボックスから片手剣を出し2振りで兵士を斬り捨てる。
ズシュズシュ・・ドサドサ
俺を襲いかかって来た兵士が人形のように床へ転がる。
「なかなか手厚い歓迎だな?・・ハイド騎士団長にも用があって来たんだが・・」
「この死に損ないが!」
テーブル奥の正面に座る男が国王で、その右手前にハイド騎士団長。その他は初めて見るから誰か知らない。
国王を守るようにハイド騎士団長が立ちお上がり抜刀している。
「おい・・沖田より弱者の団長が、剣で俺に勝てると思っているのか?」
ハイド騎士団長は、眉間にシワを寄せて怒りをあらわにして怒鳴る。
「黙れ!この王国騎士団団長が、平民冒険者に劣ることはない!」
俺は溜息をついて告げる。
「そうか・・まぁ、そう死に急ぐなよ。それよりもスパイル国王」
「・・なんだ」
「こないだの処刑で、俺の愛する女が大変世話になったから礼を言いに来た」
「そ・・それを言うがためにここまで侵入したのか?」
こんなやりとりをしていると、部屋の外が騒がしくなり始めその音を聞いた国王に余裕の表情が滲み出てくる。
「まぁ、礼を言いに来ただけじゃないさ。彼女達を引き取りに来た」
「「「くっくっくっ・・あーはっはっはっは!!!!」」」
この場にいるスパイル国王以下が大笑いをはじめ、そのスパイル国王の左に立つ男がニヤつきながら口を開く。
「はー!はっはっ!何を言うかと思えば、あの塊を・・いや、ゴミの塊を?お前、かなりの好き物だ・・」
シュゴォォー!!
舐めた口を聞く男に右手をかざし、無詠唱で火魔法アウターフレームを発動しまばゆい白熱の炎を名も知らない男の顔面に命中させ、一瞬のうちに男の体から頭部と言う部位が消滅する。
高温で焼かれた傷口からは、血が吹き出すことはなくその場で崩れ落ち二度と起き上がることはなかった。
火魔法アウターフレームの直撃を喰らわなくても熱波により火傷は避けられない。
スパイル国王やハイド騎士団長そして他の男達は床に倒れ悲鳴をあげ、部屋には呻き声が聞こえる。
なかなか立ち上がってこない奴らに苛立ち警告した。
「そろそろ話の続きをしないか?じゃないと、さっきの男のように消すぞ!」
ヨロヨロとスパイル国王達が立ち上がり、口を開く。
「いったい何が目的なんだ?」
「・・聞いてなかったのか?俺の大事な人を迎えに来たんだ」
スパイル国王は、無表情で返事をする。
「もう手遅れだ。もう時間は戻らない」
「俺には関係ないな・・」
「ならば、勝手に生ゴミを持ち帰り立ち去れ!」
「・・はぁ?このまま素直に帰ると思っているのか?」
「何が言いたい!」
俺とスパイル国王の会話にハイド騎士団長が邪魔をする。
「黙れクソ野郎」
左に持っていた片手剣をアイテムボックスを収納し呟く。
「この王城を・・この国を潰す・・」
俺の言葉に国王と騎士団長が笑い飛ばす。
「たった1人で国を相手にするのか?平民の考えは理解に苦しむな!」
「そうか・・理解してもらえないか。最後に質問をしていいか?ハイド騎士団長」
「ふん・・いまさらなんだ?」
俺は、壁沿いにまで下がり間合いをとる。
「勇者達はどこにいるんだ?」
「今は、機動偵察隊と南の森へ討伐訓練中だ」
「そうか・・王女ミリアは?」
「娘達は視察中で不在だ」
案外簡単に質問に答えてくれる。さっきの魔法が効果あったかもな。
「そうか・・ありがとう」
「こんなことを知っていったい何がしたいのだ?」
「・・・・コレだよ」
この部屋のテーブルの上に銀色に輝く拳ほどの大きさの魔力玉を発生させる。
「な・・なんなんだコレは?」
「・・コレは、今から約5年前ぐらいのサイズかな?」
「「ご・・5年前?」」
スパイル国王とハイド騎士団長は理解できていない。
「そして今は・・」
グッと魔力を魔力玉に流し込むと、周囲にスパークがバチバチと起き始める。
呆然とした顔で男達は、魔力玉を見つめている。
「そんで、本気を出すと・・」
ドンッ!!
爆発音とともに、魔力玉が2倍の大きさになり銀色から月白色に染まり、さらに輝きを増す。
「今は、コレぐらいが制御できる限界かな?」
「貴様・・コレをどうする気なんだ?」
「・・・・・・」
「答えろ!どうする気だ!」
スパイル国王とハイド騎士団長の形相はオークの様に醜い。
「・・なぁ、スパイル国王・・5年前に起きた南の森の大爆発を覚えているか?」
「それが、どうした?」
「あの魔力暴走の犯人・・じつは、俺なんだよね。あの暴走より2倍以上の威力を持つモノが、今この王城にある・・」
「「なっ!!」
「この意味・・わかるよな?」
俺の言葉を聞いたスパイル国王達は、腰を抜かしその場に座り込んでガタガタ震え始めたのだった・・。
次回投稿は未定ですが、そんなに間隔は空きません。
これからもよろしくです。
そろそろ感想をくれた方への返事をさせてもらいます。
こんな作品に感想をありがとうございます。




