4章 西の都市編 15話 地下ダンジョン⑤
投稿遅くなりました。
ドラゴンが死んだ場所の周辺は、まだ熱気が残り息苦しいのを我慢しながら通過する。
パーティーの先頭を歩いているリルとクウコの後ろ姿は、なんだか楽しそうだ。
魔物からの襲撃が数回あった程度で、ドラゴンを倒した階層から10層ほど降りた俺達の前に広がるのは森だった。
「なぁ、アイナ・・地下ダンジョンに森があるの知ってたか?」
「いや・・いくつもの地下ダンジョンに潜ったが、これは初めての経験だ」
隣りに立つアイナも周囲を見渡し驚いているけど、さっきからチラチラと視界に入ってくる獣人シスターズは
元気に森を走り回っている・・。
「ハル〜はやくはやく〜!」
リルが早く来いと催促するため、止めていた足を動かし移動を再開する。
地下なのに天井は青い空に見え地上の森と同じように小川もあり空気の匂いも同じ感じがするため、まるで地上に戻って来たような気分になる。
しばらく森を進んでいると、茂みを大勢の生き物に踏まれたような痕跡を見つけ、リルが勇者達が居る方向と同じと言うためこのまま痕跡を辿りながら進むことにした。
痕跡を辿りながら歩いていると、大木の根元で数人の騎士が座り込んでいる光景が目に入ると、隣りにいたアイナが走り出し騎士の元へ向かって行く。
「ちょっと、待てよアイナ」
アイナは俺の呼び掛けを無視して座り込む騎士の元へと急ぐ。アイナを追いかけて行くが、一足先にアイナが騎士に辿り着き肩を掴む。
「だ、大丈夫か!お前達!」
アイナに肩を揺らされた騎士は、力なく地面に倒れこむ。
「お・・おい・・」
倒れこんだ騎士の異変に気づいたアンナが、その場に座り込んでいる。
遅れてアイナの側に寄った俺は、この場にいる騎士達がすでに死んでいることに気付いて、そっと震えるアイナの肩に触れる。
「アイナ・・」
「・・・・・・」
俯いたままのアイナから返事は無かった。
だが、勇者捜索を優先とする俺達は先に進まないといけない。
「行くぞ・・アイナ」
「・・・・・・」
「ここで立ち止まっている時間は無い。彼らも覚悟の上で歩んで来た道だ」
「あぁ、そうだったな。わかっている・・わかっているんだ・・・・」
半ば強引に座り込むアイナを立たせて歩かせるが、なんども騎士達の方を向くたびに背中を押して進ませた。
森を歩き進むに連れて、1人また1人と騎士の亡骸と遭遇する。その度に騎士の顔を確認し立ち止まるアイナのゆがむ表情を見ながら強引に連れて行くことが心苦しい。
「今は、一刻も早く勇者達と合流するためだから・・」
アイナは力無く頷くだけだった。
ひざ下ぐらいの草が歩き進んで行くと腰下あたりまでになりリルとクウコの頭がヒョコッと出てる状況だったが、今は俺の背より高くなり2メートルぐらいまでになり藪漕ぎで進む。
俺の前で草がワサワサと揺れているのをリルの目印として揺れる草だけを見ながら進んでいると、急にひらけた場所に出た。
「あれ?・・・・」
先に歩いていたはずのリルとクウコの姿も無く、後ろからついてきたはずのアイナの姿も無い。
気配探知スキルを発動しようとしたが、阻害魔法のせいかうまく探知できない。
「ダメか・・」
そのうち見つかるだろうと考え、この開けた場所の真ん中に立つ大木の根元に座り一休みすることにした。
「・・・・静かだ」
しばらく待っても誰も来ないし、魔物でさえ姿を見せない。
「完璧にはぐれてしまったな・・」
ともあれ腹が減っては、なんちゃらと聞いたことがあるため肉串と水筒をアイテムボックスから取り出す。
1人で肉串を食べていると草が不自然に動く音がする。
ガサッガサガサ・・ガサガサ・・ガサ
音のする方向を見ていると、リルとクウコそしてミオとミリナの顔がスポスポッと飛び出し俺を見つけるとニコッと笑顔になる。が獣人シスターズの視線は肉串のようだ。
「よう!食うか?」
アイテムボックスから人数分の肉串を取り出すとダッシュで近づき風のように俺の手から肉串を取り、俺の前で並んで座り行儀良く食べている。
モグモグ・・モグモグ・・
「そういえば、アイナは?」
モグモグ・・モグモグ・・
「おーい!アイナはどうしたの?」
モグモグ・・シュビッ!!!!
獣人シスターズが指差す方向に顔を向けたと同時に、茂みからアイナが姿を見せる。
「はぁ、はぁ、待ってくれ・・」
疲労困憊のアイナが顔を上げて俺と目が合うと安心したような顔になり俺の元へ歩いて横に座る。
「アイナも食うか?」
「いや・・大丈夫だ。できたら、水を」
「はい、コレどうぞ」
「へ?・・え?」
足元に置いていた水筒をアイナに手渡すとなぜかアイナが俺を二度見し、深呼吸を2回してから水筒の水を飲みながらチラチラと赤い顔をしてみているが気付かないフリをした俺だった。
満足した獣人シスターズは、お腹が満たされたのかその場で横になり仲良く寝てしまったため、ここで大休止を取り4人が目を覚ましたところで出発することにした。
「みんな、そろそろ出発しよう」
またリルとクウコを先頭にして歩き出す。この先も藪漕ぎしながら進んで行く。さっきはぐれたしまった反省を活かし、背中が見える間隔で進んで行く。
しばらく進んで行くと、また開けた場所に出る。
「ここは・・」
目の前に広がるのは断崖絶壁だった。はるか向こうに対岸があるがどうにかなる距離ではない。
「リル、ここからどうするの?まさか跳び越えろとか言わないよな?」
「大丈夫、あそこから降りるから」
リルが歩き出す先には、少し窪んだ場所が一ヶ所だけあった。
窪んだ場所に近づくと、それは崖の下へと続く長い階段が姿を現す。
「この階段を下まで降りるのか?」
「ううん。途中に勇者達はいるよ」
「・・そうか」
大人1人が歩けるぐらいの幅しかない階段を降りて行く。
まだ崖の半分ぐらいを降りた来たところで、リルが立ち止まる。
「リル、どうした?」
「着いたよ」
「ここ?」
「うん」
まだ階段の途中なのにリルが着いたと言う。周囲を見渡しても、階段と絶壁そして谷底しかない。
すると、クウコが絶壁に手を触れるとゆっくりと形を変えていき横穴が姿を現す。
「幻惑魔法?」
「違うよ。土属性の錬成で偽装してたみたい」
クウコが俺に教えてくれていた途中に、横穴から殺気を放ち急襲するの生物に気付き、クウコの前で受け止める。
ガキンッ!
殺気に満ちた表情で襲って来たのは、あの勇者だった。
「お・・お前は!」
「くっ・・しぶとく生きてたんだな・・」
勇者の突進力を全身で受け止めきれず、右肩に勇者の長剣が突き刺さる。
「何しに来たんだ?」
「な・・何しにって・・」
勇者の表情は以前会った時よりもやつれて、目の下にできた隈も酷い。
ドゴッ!
リルとクウコに足蹴りされた勇者が横穴の奥へと吹っ飛ばされ暗闇に消えていく。
「ありがとなリル、クウコ」
右肩の傷に治癒魔法ヒールをかけて止血し、2人のい頭を撫でる。
「アイナ、ここから先は1人で行ってくれ。俺達は外で待っている」
「そうか・・わかった。ここで待っていてくれ」
アイナはそう言い残し横穴の奥へと消えて行った。
「みんな、とりあえず階段で休憩だ」
横穴の上側の階段に座るとリルとクウコが膝の上に座り、ミオが背中から抱きついてミリナは足元で座っている。
「なんか、すごい状況だな・・」
獣人シスターズに囲まれた俺は、両手でリルとクウコの頭を撫でながらケモ耳を弄り、足でミリナの尻尾の付け根辺りをスリスリしながら、ミオの大きな双丘に後頭部を沈めて癒されてしまっている。
「んぁ・・ご・・ご主人さま・・そんなにグリグリしな・・いでください」
ミオの息遣いがだんだん熱く荒くなるのを感じながら、続けていると足元に座っていたミリナが腰をあげて尻尾の付け根を俺の足に擦りつけ始めてきた。
「やべ・・こんなところで2人のスイッチ入れてしまった・・」
「「ハル・・どうするの?」」
リルとクウコが見上げ、俺を責めてくる。
「どうしよう・・」
不意に頬を挟まれ強制的に右に顔を向けられると・・
ハム・・・・
「ん〜〜!」
強引にミオが口付けをして来た。
「ぷはっ」
長く続いた口付けが終わると、リルとクウコそしてミリナまでもが次々に口付けをしてくる。
「ちょっ・・お前ら待ってくれ。ここじゃ流石に・・な?」
獣人シスターズの表情が女の顔になってしまった。これはヤバイと考えていると横穴の方から物凄い勢いで出てくる足音が聞こえる。
「みんな、誰かくるぞ!」
獣人シスターズのケモ耳も反応し、ピコピコ動いている。だけど、警戒の体勢をとらない。
ズザザザザァァァァ
足を滑らして急ブレーキをかけている音がして、2人つの人影が出て来た。
「おにぃ!(にぃに!)」
横穴から飛び出して来たのは、ボロボロの格好をした琴音と美音の2人だった・・・・。
お付き合いありがとうございます。
物語のペースが遅くてすいません。




