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3章 王城編 13話 西の都市ニシバル


 この時期の山は冷える。焚き火で暖を取っていたから油断してしまった。


 バサッ!!  タタタタッ・・


「ハルッ!」


「リサ?」


 テントからリサが出て来て、俺を背後から抱き締めてきた。


「こんなに冷たくなっちゃって・・ゴメンなさい」


 リサが冷え切った俺の体を暖めるように、ギュッと強く抱き締めてくれる。


「そんなにくっつくと、リサが冷えちゃうよ」


「いいの・・早く暖めないと」


 俺は、リサの言葉に甘えて、彼女の腰に手を回し抱き寄せた。


「ん・・」


 抱き締めたとき、リサの声が漏れた。


「ありがと・・リサ。テントに戻ろうか」


「・・うん」


 イスから立ち上がり、リサの手を握ってテントの中へ戻ると、珍しくリル達が先に寝ている。


「ハル、ゴメンね。リルちゃん達が大騒ぎで収拾がつかなかったの」


 テント内に置いてあるイスに座っていたカラが、申し訳なさそうに口を開いた。


「いいよ。あの子らは、基本的に俺の言うことしか聞かなさそうだし。そろそろ寝ようか?」


 ルーシーは、今夜はリル達が寝ている方で寝るようだ。そのため、今夜はリサとカラと久し振りに寝ることになった。


 大きめの毛布に3人で入ると、1人より暖かく気持ちがいい。



「あのさ、たぶん・・リルとクウコが潜り込んでくるけど、許してね」


 2人はクスっと笑い頷く。


「いいよ。それまでは、私達の時間にするから。ね?カラ」


「そうだね。いつもリルちゃんとクウコちゃんに取られちゃってるからね」


 2人はそう言って俺にくっついてくる。その2人の頭を撫でてキスをした。すると2人が半分ずつ俺の体に乗ってくる。


 周りには、リル達やルーシーが寝ているためこのままだと気付かれてしまうと思い、隠密スキルを発動し毛布の中で2人を抱きしめ愛した。


 リサとカラは、汗だくになったまま寝てしまったため、生活魔法クリーンをかけて全身を綺麗にして乱れた寝間着をなおし、隠密スキルを解除し眠りにつく。



モゾモゾ・・モゾモゾ・・


スリスリ・・スリスリ・・



「ん?・・・・」


 リルとクウコが足元から毛布に潜り込んできて、俺の下半身を嗅いでいる。


「ハル、終わった?」


 起きた俺に気付いたリルが聞いてくる。


「終わったって?」


 とりあえず誤魔化してみる。


「「・・交尾だよ」」


 直球で2人が聞いてきた。


「し・・知ってたんだ」


 2人は頷く。


「次は、リルとクウコの番だよ」


「・・・・はい?」


 リルが言っていることが一瞬わからなかった。


「いやいや、まだ2人は子供だろ?」


 するとクウコが胸元まで寄ってきて口を開く。


「それは、人族の基準だよ。わたしたちは違うから」


 リルも胸元まで寄ってくる。


「そうだよ。だから、わたしたちもハルが起きている時にも・・そろそろ欲しいから」


 リルの言葉に引っかかる言葉があった。


「リル?俺が起きている時にもって、どういうこと?」


 リルとクウコが顔を合わせて、やっちゃったーみたいな表情になり観念したかのようにリルが口を開く。


「じつはね、ハルが先に寝ている夜は必ずアレを貰っていたの。リサとカラは、ハルが起きている時に貰っているでしょ?わたしたちも同じように欲しくなっちゃったの」


「そうか・・てか、俺が寝ているときにさせるなよ」


「「ゴメンね」」


「しょうがないな」


 そう言いいながら2人を抱き寄せて、リサ達に続いてリルとクウコをいっぱい愛してから眠りについた。



 目覚めた俺は、全身が倦怠感に包まれてはいなかった。きっと、リルとクウコからの恩恵だろう。


 リルとクウコは珍しくルーシーの近くで寝ていて、隣にはリサとカラが寝ていた。



「そろそろ朝飯の支度をしなきゃな・・」


 ゆっくりと毛布から抜け出てテントから出る。焚き火は消えているため、近くにある薪を新たに組んで火をつける。


「朝も寒いな〜」


 東の空はだんだん明るくなってきているが、陽は出ていないため空気がヒンヤリとしている。


 イスに座って、みんなの朝飯の支度を始める。いつものメニューで、パンと野菜スープにした。


 何も挟まないパンだと、リルとクウコから静かなる文句があるため、肉はかかせない。


 それと、水を沸騰させ少し冷めたぐらいにハーブを入れて、ハーブティーを作る。これは、リサ達用だ。


 朝日を浴びて、暖かくなる頃に皆がテントから出てきた。それぞれが、好きな場所のイスに座る。


「おはよ〜みんな。今日中にニシバルに入りたいから、朝食食べたら出発するよ」


 寝惚けた皆は頷き、朝食を食べ始める。リル達獣人族には果実水を渡し、リサ達人族にはさっき作ったハーブティーを手渡す。


 そして、朝食を食べ終わった頃には皆が積極的に片付けをしてくれたため、思ったより早く出発することができた。


 馬車の旅も順調に進み、魔物に襲撃されても猫人族のミオが軽く排除してくれる。その度に横に座って褒美の頭撫で撫でを所望してくる


 。


 それに対抗心を燃やしたリルとクウコが厄介だった。


 魔物の襲撃は皆無なのに、俺の横で座りいきなり頭撫で撫でを所望する。


「どうしたんだ急に?」


「ミオみたいに、撫で撫でして」


「えっ?なんで?」


 すると2人に気配探知スキルを使えばわかると騒ぎ始めたため、スキルを発動すると遠くに魔物がいる。まだこちらには気付かない距離にいる。


「まだまだ、あの魔物は遠いぞ?って死んだな・・」


 リルが見上げて満面の笑みになる。


「あ〜そういうことか」


 俺はリルの頭を優しく撫でてやると嬉しそうな表情になっていく。


 すると、探知していた魔物がまた死んだことがわかると、クウコが見上げて俺を見ている。


「そうかそうか・・よくやったなクウコ」


 手綱を足に絡ませてから、両手で2人の頭を撫でてやった。


 すると2人は俺の横で立ち上がると片手で俺を掴み、落ちないようにすると、もう片方の手を上げて笑いながら踊るかのように手を振っている。


 周りから見ると、御者の横で少女が戯れているように見えるが、実際は遠く離れた場所にいる魔物が蹂躙され無慈悲に命を奪われていく。


 気付けば、200以上探知していた魔物が全滅してしまっていた・・。


 これで、西の都市ニシバルまでの道のりに魔物は存在しなくなった。


 彼女らが俺を慕っていてくれて本当に良かったと思う。


 そして、俺たちの初めての旅は3日目を迎えた朝には、都市ニシバルの街並みが見えてきた。


 そのまま馬車で門まで行き、みんなのギルドカードや身分証明書を提示して無事に辿り着いた俺達だった。



王城編は終わり、舞台は王都マーカーから西の都市ニシバルに変わります。これから、勇者一行も魔王討伐に動き出し。ハル達も、どこかで巻き込まれてしまうかもしれません。これから戦闘が増えて行くので、軽く失うモノもでてきます。

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