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13章 帝国活動編 4話 公爵家令嬢の裏の悪行

アクセスありがとうございます。


 突然始まる、とある屋敷の裏庭で・・・・。



 懐に飛び込む公爵家令嬢は、躊躇いがみられない。


(かなり対人戦闘の経験を積んでいるな・・)


 そんな令嬢の動きを見ながら俺は片手剣を抜くことなくギリギリで回避し力量を見て、周囲の気配を探る。


(・・5人はいるな)


 視界に捉えれられなくとも、5人の気配が・・いや窓から覗く視線が2人・・合計7人が俺と令嬢の闘いを見ている。


(・・理由が謎だ)


 強く短く息を吐きながら刺突動作をする令嬢の切っ先を躱しながら右回りに移動して周囲の状況を気配探知スキルと目視で確認する。


 反撃を一切しない俺に苛立ってきたのか、余裕の表情から真剣な顔つきへと変わり連撃のスピードも速くなってくる。


 令嬢との闘いで、最初の立ち位置からちょうど1周し元の立ち位置に戻った頃に、令嬢が俺の眉間を狙った。


「うぉっと」


 仰け反り回避したと思ったら、1歩ほどさらに切っ先が伸びてきたことに驚き咄嗟に後方へ下がる。


「・・ちっ」


 俺を仕留めれると確信していた令嬢は舌打ちをして、後方へ下がり間合いをとりなおす。


「終わりでいいかな?」


「はぁ・・はぁ・・貴方は、何者なの?」


「ただの、冒険者だけど・・」


 ジッと見つめる令嬢は、諦めてくれたのか細剣を鞘に収め右手を少しあげて下げた。


 その動きに合わせるかのように周囲から、迫る気配を捉え土魔法アースウォール無詠唱で足元から出現させ防御態勢をとる。


 ドンドン・・


 数回ほど衝突音が聞こえるとともに僅かに呻き声を聞きながら、隠密スキルを発動し逃げ道のある頭上から抜け出しアースウォールを蹴り屋敷の屋根へと移動する。


 令嬢と俺を襲ってきた男達4人は、俺がまだその中で隠れていると思っているようで視線はアースウォールに固定されている。


 彼女らに有効な打開策がないのか、いくつかの魔法をアースウォールに向けて放つも僅かに土埃が舞う程度で破壊される様子はない。


(攻撃力は思ったほどじゃないな・・どちらかというと隠掩蔽に優れた者達だな)


 あくまでもここまでの動きを見ての感じた俺の感想だ。彼女らに奥の手があろうとも、対処は可能だということになる。


 彼女らが俺が出てくるまでアースウォールの破壊に夢中になっている隙をついて、この屋敷に潜り込むことにする。


 屋根を歩き裏庭側から正面側へ行きバルコニーへと音を出さないように降り立つ。そこから見える部屋は誰もいないようで、窓を開けて中へと侵入した。


(・・まるで空き巣だな)


 そう思いながら部屋を見渡すと、どうやら誰かの書斎のようだ。棚にはたくさんの書物があり、机には読みかけの本が開かれて置いてある。


 その机に置かれた本に目を通すと、過去の物語が書いてある。


 ・・・・・・


 どうやら過去に帝国で召喚した人物の話しを記述した本だった。この世界でにた容姿なのに言葉が通じない者や突然武器を振り回し腹を切って自害した者・・そして製法がわからない高級な衣服に身を纏い戦うことに縁がなかった子供達のこと・・・・。


 そんな召喚者達の生き様を俺は夢中に読んでいた。


「この世界の連中は、魔王討伐に異世界の人間を召喚することに罪悪感は存在しないのか?」


 そう呟きながら本を読んでいると、1つ気になることが書いてある。


 今から数百年前に召喚し現れた全身真っ黒な服で素顔を覆面で隠した召喚者のことを。


 その存在が、どうやら隠掩蔽に関する知識をこの帝国の一部に伝承し皇族と一部の貴族家が独占していると。


「だから隠密スキルに似たスキルがあったんだな・・」


 その技を擬態スキルと言うようだ。周囲の風景や物に似せて、視覚を誤魔化し存在を無意識的に除外させて気付かせないスキルだった。


「・・・・忍者みたいだな」


 彼らが使うスキルがわかった俺は、それに対抗すべきスキルを取得することが必要だなと痛感する。


 それから、部屋を出て屋敷の廊下を歩くと下から使用人らしきメイドが2人階段を上がってきた。


 気付かれぬよう壁沿いに移動し廊下を並んで歩くメイド達が行き過ぎるのを息を殺して見守り、メイド達が通過して部屋に入るのを見送った。


(危なかったな・・貴族の屋敷だから使用人達に気を付けないと)


 2階の部屋を探索した後に俺は1階に降りて、さらに好奇心で歩き回っていると外から大きな音が聞こえる。



 ドゴォーーン!!


 爆発音は裏庭の方から聞こえたため、俺の土魔法アースウォールが何らかの手段で破壊されてしまったのだろう。その爆発音とともに使用人達が、何事かと裏庭へと向かって行く。


 そのまま俺は、無防備な屋敷の正面玄関から外へと出て庭を歩き敷地の外へ出て気配探知の範囲を広げ、みんながいる宿屋の場所を探し見つけると、意外にも近くに2人の存在を見つける。


『ミオ、アリス!今からそっちに行くから』


 念話で伝え2人がいる場所へと向かい、人目のない場所で隠密スキルを解除し2人の前に姿を見せる。


「ご主人さま!」


 アリスより先に俺を見つけたミオが胸元に飛び込んで来る。


「ただいまミオ。待たせちゃったね」


「無事で何よりです・・どこか怪我してないですか?」


「大丈夫だよ、ミオ」


 ミオは、クンクン俺の身体を匂いを嗅いで確かめている。


「ハル・・どうやって戻ってこれたの?」


「闘いの隙をついてだよ、アリス」


「そう・・今からその貴族を潰しに行く?」


「いや、今日はやめておくよ」


「そう?いろいろあの娘の周辺のことを調べたわよ・・」


 アリスはペロッと唇を舐めて、戦いを求めているような表情をして見上げている。


 そんなアリスを抱き抱えて俺はクンクン匂いを嗅ぐミオの手を握る。


「さぁ、みんなのところへ帰ろうな」


 通りを歩き宿へ向かっていると、正面から慌てた衛兵達が俺達とすれ違う・・すると、不意にリルから念話が届いた。


『ハル・・今いい?』


『どうしたリル?」


『クウコがね、勝手に潰しちゃったみたい』


『クウコが潰したって何をだい?』


『・・おうちをだよ』


 その言葉に、あの夜に轟音とともに崩壊した貴族の屋敷を思い出す。


『それってまさか・・』


『・・ごめんなさい、ハル』


 リルとの念話にクウコが割り込んでくる。


『クウコ・・死んだ人はいるの?」


 驚いた俺は、クウコを責めないよういつもの口調で聞いた。


『おうちだけ・・今回は、誰の命も奪ってないよ・・』


『それなら良いよ、クウコ。ありがとね』


『・・うん』


 クウコの元気ない返事で念話が途切れる。帰ったらクウコをフォローしてあげないとな。


 帰り道の途中にあった商店から甘い匂いが漂っていることに気付き、その足を商店に向けて焼き菓子や果実を買い込んで宿へと辿り着いたのだった。



「ただいま〜」


 宿の部屋のドアを開けて、抱き抱えていたアリスを降ろした俺は最初にクウコとリルが座るベッドへと向かう。


 部屋には、アルシアとシェルの姿は無くメイド姿のラニア達は1階の共有スペースで雑談をしていたので先に会っている。


「クウコ、リル」


 2人の名前を呼びベッドに腰かけると、リルはいつも通り膝の上に乗って甘えてくるけどクウコは金色の瞳を一度合わせてくれたけど再び俯いてしまう。


 とりあえず甘えてくるリルのケモ耳を触り尻尾を撫でてスキンシップをしてから、チラチラと視線を向けるクウコを抱き寄せた。


「そんな気にすることないぞ、クウコ」


「・・・・」


 クウコは勝手にやったことを気にしているようだ。過去の手遅れになり俺が負傷したことで、過敏に反応するようになっているのだろう、だから俺は咎めることはしない。


「クウコ、近いうちに俺もあの連中に何かをする予定だったからさ」


 クウコはゆっくりと顔を上げて俺を見つめる。


「・・ホントに?」


「本当だよ、クウコ」


 クウコの頭を撫でながらそう告げると、少しづつクウコはいつものクウコに戻っていってくれたようで、遅れて膝の上に乗りいつもの様に甘えてきてくれたからリルと同じようにスキンシップをとっていると、アルシアとシェルが帰ってきた。


「おかえり・・アルシア、シェル」


「おぉ、戻っておったのかハルよ。アルシアとギルドに行ってもハルがいないわけなのじゃ」


「ま、まぁな・・いろいろあったからな」


「ハル、面白いことがあったぞ」


「どうしたアルシア?なんか楽しそうだな?」


「あぁ、シェルとギルドにいた時に、面白い情報を聞いたんだ・・あのグランフェス公爵家のリーナ令嬢が冒険者に絡んで敗北したとな・・」


 その早過ぎる情報に、俺はアルシアに聞き直す。


「どう言うことなんだ、アルシア?」


「ん?・・だからな、気に入らない冒険者を片っ端から潰している悪徳令嬢リーナが、狙いを付けた冒険者を倒せずに逃げられたと」


「・・悪徳令嬢リーナ?アルシアは、あんで知ってるんだ?」


「リーナはな、幼少の頃の知り合いなのだ。剣技では同じレベルだったが私は冒険者になり彼女は家を継ぐため学園へと入学したのだ」


 アルシアは、何だか懐かしそうな表情をしている。


「へぇ・・そんな子と知り合いなんだな・・それにしても、どうしてその知り合いの子が冒険者に負けたと?」


「簡単なことだ・・リーナは標的にした冒険者に勝つと、その冒険者を隷属させてギルドに姿を見せるのだ。それが無いってことは、リーナが負けたということになるのだ・・」


 そんな言葉を聞いて、俺はあの公爵家令嬢に負けず逃げ出して正解だったと心の中でため息をついたのだった・・・・。


(はぁ・・やっぱり貴族って、変な奴らばっかりだな)


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