11章 王都逆襲編 15話 驚愕の事実・・
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ドボンッ!・・ドボンッ!
「・・・・・・」
街道沿いの小川にリルとクウコが水遊び中で、その光景を野外イスに座り見守る俺がいる。
「ハル〜!冷たくて気持ちいいよ〜!」
2人の腰上ぐらいほどの深さがある川の中から、リルが手を振りながら俺を呼んでいて水面からちょこっと尻尾の先が顔を出している。
「あんまり長いと、お腹が冷えちゃうよー!」
「「 だいじょうぶだよ〜!! 」」
そう言いながらリルとクウコは、顔と尻尾の先を出して遊び始める。
しばらくすることが無くなった俺は、立ち上がり小川の反対側にある林縁へと移動し焚き木になりそうなものを集め焚き火の準備をして、2人を見ながら再びイスに座る。
それから水遊びに飽きたのか、リルとクウコはゆっくりと川から上がり濡れた身体で俺の傍に寄り泣きそうな顔をしていた。
「・・どうした?そんな顔をして・・」
「・・・・」
「・・さ、寒いよ・・ハル」
リルは俯いたまま黙り込み、クウコが震えながら俺の袖口をつまんでいる。
「そうなるよな・・俺の言うこと聞かないから」
「「 ・・・・・・ 」」
震える2人のために、集めていた焚き木に火をつけて身体を温めさせる。それに併せて風魔法ブロアーで乾かせていくと、水に濡れて細長くなっていた2人の尻尾は、いつものフワフワ感を取り戻していった。
周囲の見渡す範囲に街道を通る人達がいなかったため、青空の下で服を脱がせ素早く着替えさせ落ち着いたところで移動を再開する。
3人で何気ない会話をしながら街道を歩き続け、遠くに小高い丘が見えてその麓に集落が少しづつ見えてくるようになった。
「もう少しだから、頑張ろうな」
「「・・・・」」
返事が無い2人を見ると、隣で僅かに空いている目を擦りながらフラフラと歩いている。
「どうした?」
「ん・・眠たいの・・」
「クウコも眠たい・・だから・・」
「・・わかったよ。おいで」
立ち止まりしゃがみながら両手を広げると、リルとクウコはフラフラとした歩きで寄り添いコテっと頭を委ねてきた。
その直後に耳元から2人の寝息が聞こえる。
「即オチかよ・・」
そのままいつものように抱き抱え歩き出す。この方が歩くペースが速くなり、結果的に予定通りに行動できるけど2人は言えない。
気持ち良さそうに寝ている2人は、普段から体温が高めのせいなのか、密着しているため思った以上に汗をかいてしまう。
(暑い・・)
3人で歩く時と違い遠くに見えていた集落の村の入り口前に辿り着き、警備しているようでしていない男2人に会釈をしながら中へと入る。
そのまま村の中心にある通りを歩き、目的地である小高い丘の上にある大きな屋敷を見上げながら足を進める。
「・・懐かしいな」
そう呟きながら通りを抜けて勾配が緩やかな坂道を歩き、屋敷の外壁を見ながら門扉へと向かうその途中に寝ているリルとクウコを起こす。
「リル、クウコ・・もう家に着くよ。起きて・・」
スゥ〜・・スゥ〜・・
熟睡している2人は、起きる気配がない。
「これは、起きそうにないな・・」
仕方なくそのまま門扉の前に辿り着き、扉の片側を右足で押して入ろうとした・・。
ガシャン
「あれ?」
ガシャシャン・・
「門扉はいつも開けてたハズなんだけどな・・」
抱いているリルとクウコの身体のせいで手元がよく見えないため、背中を門扉側に向けて振り向きながら覗き込む確認すると・・。
門扉の内側から施錠されていて、その少し離れた位置に何か押すような白い物が見えた。
「ん?・・なんだあれ?」
とりあえず、少し屈んで右肘で白いものを押してみる・・・・。
ビー!
「なんだ?」
家の玄関の方から音が聞こえ右肘を離すと、その音が止まった。
「・・呼び鈴みたいなもんか」
そして、もう一度鳴らす。
ビッ!ビーー!ビーー!
とりあえず3回鳴らしてみて、しばらく待つと家の玄関ドアがゆっくり開いてメイドが1人出てきて俺達を見ると、ゆっくり歩いて門扉の前まできてくれた。
(メイド?だけど、誰だろう・・ラニアの知り合いか?」
家から出てきたメイドは、俺達を怪しげに見ながらゆっくりと口を開く。
「どちら様でしょうか?」
「えっと、あなたは誰ですか?」
「はい?あの、質問を質問で返されても困ります」
目の前に立つメイドは、表情を微塵も変えずに対応してくる。
「俺は、ハルですけど・・あなたは?」
「ハル様。こちらへは、どんな用件で?」
「えっ?・・用件って言われても」
目の前に立つメイドの言葉がよくわからない。ここは、商人ギルドで買った俺の家なんだけどな。
「御用もなく、この屋敷に来られても困ります」
「んっ・・ついたの?」
メイドとやりとりをしているうちに、リルが目を覚ましながら俺の頬に頬ずりをしている。
「おはよ。着いたんだけど、ちょっと困っちゃったんだ・・」
「どうしたの?」
リルは頬ずりをやめて周囲を見渡し、家を見上げながら呟く。
「おうちだ・・どうして入らないの?」
「おはようございます、お嬢様。申し訳ありませんが、ここはお嬢様のお家ではありません」
「はぇ?・・そうなの?・・ねぇ、クウコちゃん起きて!大変だよ!おうちが無くなっちゃったみたい」
リルは寝ているクウコの頭を揺らし強制的に起こさせた。
「うぅ〜・・いったいどうしたのリル・・」
「だからね、リル達の家があるのにリル達の家じゃ無いんだって・・」
「・・なにを言っているの?そんな訳ないでしょ?」
不安になるリルと、まだ寝起きで信じられないクウコの会話にメイドが口を挟む。
「もう1人のお嬢様、間違いございませんよ」
「・・はい?」
少し機嫌の悪い声を出すクウコは俺から飛び降りて門扉越しにメイドを見上げると、リルも遅れて飛び降りメイドw見上げる。
その2人の態度でさえも、メイドは俺達の家であるわけがないと否定する。
「それじゃ。ここの家の所有者は誰なんですか?」
「・・王国上級貴族である、スクート公爵家の別邸です」
「スクート公爵家の別邸?」
いつのまにか俺の家が王国貴族の所有物になっていた・・・・。




